65歳、厚生年金保険料を引かれても月収30万円くらい。老齢年金は70歳から受け取った方が得でしょうか?

2024年3月22日(金)11時30分 All About

老後生活の収入の柱になる「老齢年金」ですが、年金制度に関することは難しい用語も多く、不安になってしまう人もいるのでは? そんな年金初心者の疑問に専門家が回答します。今回は、65歳以降に、厚生年金に加入して働く場合の年金を受け取るタイミングについて。

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老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。
今回は、65歳以降に、厚生年金に加入して働く場合の年金を受け取るタイミングについての質問です。

Q:65歳以降、老齢年金をもらいながら働いた方が得か、老齢年金を70歳から受け取った方が得か教えてください

「65歳になり、収入は減りましたが、厚生年金保険料を引かれても30万円くらいの収入はあります。70歳までは在勤できるので働かせていただきます。その場合、老齢年金をもらいながら働いた方が得か、老齢年金を70歳から受け取った方が得か教えてください。なお、私は1年半前に離婚して単身です」(まるももさん)

A:繰下げした方が得かどうかは、年金額、収入、寿命により異なります

老齢年金を70歳で繰下げ受給するかを迷っているようですね。
相談者「まるももさん」のおよその月収(標準報酬月額)が36万円ほどと仮定した場合、老齢厚生年金の月額が11万円(老齢厚生年金のうち給与に応じて支給される部分が年額132万円)以上であれば、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金が減額されてしまいます。
だからといって、老齢年金を70歳まで繰下げすることが必ず有利とも言い切れません。収入が高くて在職老齢年金で支給停止になる老齢厚生年金分は、繰下げしても増えないからです。繰下げすることによって増額するのは、主に老齢基礎年金となるでしょう。
しかし在職老齢年金で支給停止になる可能性はあるものの、厚生年金に加入して働くと、65歳以降は毎年、老齢厚生年金が再計算され、もらえる老齢厚生年金が増額になります。収入が高いことは、将来もらう老齢厚生年金には有利です。
結論として、繰下げ受給の損得については、年金額、収入、寿命により異なります。単身者は、条件を満たした配偶者がいることによって65歳からもらえる「加給年金」は元々受給できず、「繰下げ受給の待機中に加給年金を受けられない」というデメリットがありません。
そのため大まかに計算すると、82歳を超えて長生きするのであれば、65歳から受給するより、70歳まで繰り下げて受給する方が、年金の受け取り総額が多くなるでしょう。
一度、年金事務所に出向き、年金を繰り下げたときの受け取りの見込み額などを確認してみることをオススメします。
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
(文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))

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