夫が自室でコソコソと何かしている…想定外の推し活に「父親なのに気持ち悪い」と非難したら

2024年3月24日(日)22時5分 All About

自室にこもりがちになったり帰宅が遅くなったり。夫の様子がおかしいので浮気かと思い部屋に侵入してみると、想定外のモノが……

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矢野経済研究所の「オタク市場の徹底研究 〜市場分析編〜(2022年度)」によると、アニメやアイドルなど、いわゆる「オタク市場」は7700億円を超えるという。そして、同じく2022年度のキャラクタービジネス市場が2兆6000億円だとか。
コロナ禍、SNSの普及などで「自分の好きなものや人」を自分で発信できるようになっていることが大きいのかもしれない。

帰宅後の夫がコソコソ何かしている……

結婚15年、13歳と10歳の子がいるナミコさん(46歳)。共働きを続けてきたので、夫もそれなりに家庭のことはやってくれてはいたのだが、最近、何やら様子がおかしいと思ったのが半年ほど前のことだった。
「遅く帰ることが増えたんですよ。そして帰宅すると、まず自室にこもって30分ほど何かやってる。おもむろに部屋から出てきて、その後は以前と変わりないんですが……。土日の外出も増えましたね」
てっきり浮気だと思い込んだナミコさん、夫は気が弱いところがあるので追いつめると逆ギレするか殻にこもるかのどちらかだろうと判断した。まずは調査だと思い立ち、夫の帰宅が遅くなる日に法則があるか、帰ってきたときの様子はどうか、誰かから連絡があってこそこそ電話で話すようなことがあるかなど、綿密に観察を始めた。

綿密な観察の結果、わかったこと

「帰宅後は誰かと連絡をとっている様子もないし、土日のどちらかに仕事だと言ってでかけるときも夕方は早めに帰ってくる。なんとも奇妙なんですよね。よく見ていると、平日はそれほど遅くはならない。金曜の夜に遅くなることが多い。とはいえ午前零時を回るようなことはない」
5年前に家を新築したとき、夫は小さくていいから個室がほしいと言った。ナミコさんも家で仕事をすることがあるので同意し、夫婦はそれぞれの個室を持って寝るときも別になった。部屋は自分で掃除するし、夫は洋服なども全部自分で管理しているので、夫の私物に触れる機会もなくなっていた。
「放っておこう、でも気になる。その繰り返しでした。でもとにかく夫の行動が不可解で、気持ちが悪くてたまらない。だから夫が2泊の出張に出かけたとき、思い切って夫の部屋に入ってみたんです」
そこで彼女が目にしたものとは……。

想定外の「推し活」

部屋に入ったものの、特に目立つものはなかった。だが机の引き出しを開けた瞬間、ナミコさんは固まった。
「アニメの登場人物なんでしょうか、いわゆる萌え絵みたいな、人間ではありえないようなプロポーションの女の子の絵がたくさんあったんです。それだけではなく、その子のフィギュアとかグッズが別の引き出しに数えきれないくらいあった。DVDなどもありましたね」
それに派生して声優のライブのチラシなども発見。夫が遅くなった日は、こういうライブに行っていたのだろう。それにしてもなぜ2次元なのかとナミコさんは考え込んでしまったという。
「浮気じゃないからホッとしたのは事実。でもなぜアニメ? 夫はもともとアニメは好きではなかったはず。私はマンガ好きですが、私がマンガを読んでいると夫はかつて嫌がったものなんです。いつから変わったのか、なぜ変わったのか……」
もしかしたら夫は出張ではないのではと彼女は疑いを持った。いろいろ検索をかけてみると、そのアニメがらみのイベントが、夫が出張先だと言った場所で行われていることがわかった。泊まり込みの推し活である。
「推し活って、お金も時間もかかると聞いたことがあるので不安になりました。有休をとって推し活しているとしたら、これはどうなんだろうかと」

妻は夫の引き出しにあった写真を突きつけた!

その後も、ナミコさんは夫に聞きたい気持ちを抱えながら生活していた。だが年末、夫が「ちょっと仕事に行ってくる」と出かけて帰ってきた夜、とうとう我慢ができなくなって問い詰めた。
「これが好きなの? 出張だと嘘をついてまで行くほど好き? と、夫の引き出しにあった絵を撮った写真を突き付けたんです。すると夫は『プライバシーを侵害するような女だと思わなかったよ』とつぶやいた。『引き出しの中がおかしかったから、きみが見たんだとは思っていたけど』とも言っていた。
こっちが見たのはバレていたわけです。なのに夫も何も言わなかった。お互いに複雑な気持ちになり、妙な緊張感がありました」
夫は「やめろと言うなら理由を言って」と不機嫌そうに言葉を発した。そう言われると、何が嫌なのかははっきりしない。それでも、「父親である40代後半のあなたが、こういう萌え絵にはまるのが気持ち悪い」とつい本音を漏らしてしまった。
「気持ち悪いは言い過ぎだったと反省しています。好きなものは人それぞれですから。ただ、自分の夫がこういうものが好きだと知ったとき、なんとなく生理的な嫌悪感が起こるのを止めることはできないですよね」
夫は「わかった。オレは家庭に支障のない範囲で趣味を続けたい。だからきみも何も言わないでほしい」と結論のように言った。それ以来、ナミコさんは「夫の趣味」に口をはさめなくなった。
「いいんですけどね……。夫の言う通りだとも思います。それでもなんだかモヤモヤしてしまうのは、私が狭量だからでしょうかねえ」
ナミコさんの気持ちはわかる。推し活したい夫の気持ちもわからなくはない。こういう場合、「妥協点」などないのかもしれない。
「長い目で見て、夫が飽きるのを待つしかないのかもしれません」
ナミコさんも少し苦笑しながらそうつぶやいた。
<参考>
・「『オタク』市場に関する調査(2023年)」(矢野経済研究所)
・「キャラクタービジネスに関する調査(2023年)」(同)

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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