石川県・山代温泉「界 加賀」で大人の湯めぐり&文化体験を堪能

2024年3月30日(土)10時30分 マイナビニュース


ついに3月16日、北陸新幹線「金沢〜敦賀間」が延伸開業した! その停車駅の一つでもある「加賀温泉駅」は、新幹線の延伸に加えライドシェアなどでも注目を集める今ホットな場所である。
そんな加賀温泉駅から車で10分ほどの場所にある「界 加賀」を訪れ、『温泉×石川の幸×文化体験旅』を満喫してきたので早速紹介していこう。
■文化人が愛した山代温泉
「界 加賀」の佇む山代温泉は、725年に高僧・行基が霊峰白山へ向かう途中で発見したと言われており、約1300年の歴史を持つ。長い歴史の間には、明智光秀や北大路魯山人、与謝野晶子も訪れたとされ、文化人や偉人に愛されたことでも有名だ。
同温泉地には、江戸時代から「総湯」と呼ばれる共同浴場が存在する。この総湯を囲むように旅館や商店が立ち並ぶ「湯の曲輪(ゆのがわ)」という町並みが形成され、今もその形態が残されている。
同エリアにある総湯の1つであり、街のシンボルともいえる「古総湯」は、明治時代の総湯を復元し、外観はもちろん、内装の床や壁の九谷焼タイルも当時のまま。そんな「古総湯」の目と鼻の先、歩いて約10秒に位置するのが「界 加賀」だ。
■老舗旅館の歴史を受け継ぐ「界 加賀」とは?
同旅館は、1624年の創業以来、多くの文化人を迎えてきた老舗旅館「白銀屋(しろがねや)」の歴史を受け継ぎつつ、新しい感性を加えた温泉旅館。フロントホールを含む伝統建築棟と園庭にある茶室は、国の有形文化財に登録されてており、加賀の伝統が息づいている。
江戸時代に加賀藩主、1915年には芸術家であり書道家などの顔を持つ魯山人も滞在したという由緒ある旅館には、随所に趣を感じる仕掛けが施されている。
例えば、細かな木を縦と横に組み合わせた加賀地方の伝統的な建築様式「紅殻格子(べんがらごうし)」をはじめ、太い大黒柱と大きな丸太梁を、金物を一切使用せずに組み上げた「枠の内(わくのうち)」など、建築だけでもその魅力は計り知れない。
また、訪れる人がくつろげる「トラベルライブラリー」には、魯山人が書いた「いろは屏風」が飾られている。書をしたためた際、酔っぱらっていたため、最後の3文字を書き忘れてしまったというから面白い。
■加賀の伝統を感じる客室
「加賀伝統工芸の間」は、九谷焼・山中塗・水引・加賀友禅といった、石川・金沢エリアが誇る代表的な4つの伝統工芸を配した客室。情緒あふれる室内は和のぬくもりを感じる落ち着いた空間に仕立てられている。
特に筆者が気に入ったのは、九谷焼で造られた鍵や客室の表札。華やかさとかわいらしさを兼ね備えた繊細な演出に心が躍る。
部屋には露天風呂が付いており、好きな時間に入浴できるもの魅力。客室には、ハーブ棒茶などうれしいウェルカムドリンクも用意されている。そして、それらをいただく茶器も九谷焼と徹底したこだわりを見せる。
部屋で一息ついたら続いては、オリジナル作務衣に着替えて、ご当地体験へ向かうとしよう!
■文化体験で土地の魅力を知る
○金継ぎ体験
「界 加賀」には、日本で初となる温泉旅館の内部に併設された「金継ぎ工房」がある。「金継ぎ」とは割れてしまった器を鮮やかに修復する伝統技法のこと。
同旅館でも、九谷焼や山中漆器など多くの器を扱っているが、どんなに大切に扱っていてもヒビや欠けが生じてしまうことがある。それらを「破棄してしまうのはもったいない」とのことで、自分たちの手で器を守っていくことを目的に元蒔絵師(まきえし)のスタッフが金継ぎを始め、この工房が誕生した。
うれしいことに宿泊者もここで「金継ぎいろは」を無料体験できる。1日2回、所要時間は30分。
うるしを使い、欠けてしまった部分を少しずつ埋めていく。でこぼこさせずに、元の部分とおなじぐらいなめらかにしなければいけないのだが、これが意外に難しい。それでもスタッフにサポートしてもらいながらなんとかやり終えた。
器にもう一度、命を吹き込んでいるようで、"創る楽しみ"とは違ったおもしろさを感じられた。ちなみに、この体験で修繕した器は、実際に食事処でも使用している。体験ではあるが修復の一部を担っているのが、なんだかちょっぴり誇らしかった。
○温泉いろは
続いては、温泉に精通した湯守りが教えてくれる現代湯治プログラムの1つ「温泉いろは」を体験。温泉の基礎知識や山代温泉について知れるのはもちろん、呼吸やストレッチをとりいれたオリジナルの体操をレクチャーしてもらう。
「弱アルカリ性」でとろみのある山代温泉の泉質は、保温や保湿効果が高いとされる塩化物泉を含んでいることから、別名"美人の湯"と言われているそう。一度入浴すると、体が芯から温まり湯冷めしにくいというからうれしい。
そのほかにも入浴指南や、入浴のタイミングにあわせて行うストレッチを教わり、温泉を最大限楽しむ武器を手に入れた。
■大浴場で旅の疲れを癒やす
温泉いろはで学んだあとは、実践あるのみ! 加賀の四季を表現した九谷焼のアートパネルや、金沢箔で加賀地方の象徴・白山あしらった大浴場で早速、湯浴み!
温泉いろはで教わった入浴前・入浴中のストレッチを行うと、血行がよくなったのか徐々に体が温まっていく。さらに、肌をやさしくなでるようなとろりとした名湯に包まれ気分は上々。
入浴後は、大浴場を出た場所に無料で用意されている「加賀柚子みつ」をごくり。これが美味しくて美味しくて……、入浴前後、食前食後、帰る前と隙あらば飲んでいた(笑)。

■器と料理のマリアージュ
美食家の一面も持つ魯山人は、「器は料理の着物」と唱えた。彼の料理哲学にならってできた料理テーマが「器と料理のマリアージュ」。九谷焼や山中塗の器を用いて、北陸の旬を届けてくれる。
運ばれてきた料理はどれも芸術品! 美しい器とあいまって、料理がより一層おいしさを増す。ちなみに、器の一部はゲストとの会話や雰囲気に応じて、スタッフがその場で選ぶこともあるという。
季節に合わせた会席コースは、のどぐろやエビなど北陸の幸をたっぷり使用。特に酒好きの筆者が興奮したのは「鮑の若芽包み蒸し」。ぷりっぷりの大きな身と濃厚な肝が、山代温泉でしか販売されていない日本酒「やましろ」とも相まって、うまみが幾層にもなって押し寄せた。
■ラウンジで町と酒を愛でる大人のひととき
食後は大人の雰囲気漂う伝統建築棟の「べんがらラウンジ」へ。1日限定4組しか入れないここでは、お酒を楽しむ以上の体験が待っている。なんと、九谷焼や山中塗など100種類を超える中から自分が選んだ器や酒器を使って、お酒とおつまみを味わえる。
お酒は北陸地方の日本酒を含むアルコールから1種類、おつまみは、香の物・甘味・ナッツ盛り合わせから1種類をセレクト。そこに北陸の食材を組み合わせたピンチョスも加わり、ドリンク&フード合計3種を堪能できる。
頭をからっぽにして、盃片手に古総湯や温泉街の灯りをただただ見つめる——。非日常感満載の優雅な時間に一人悦に入っていた。
利用料金は、ラウンジ利用料・ドリンク1杯・おつまみ2品が含まれて3,500円(要予約)。贅沢な体験にも関わらず、意外に値段はリーズナブル。これを利用しない手はないだろう。
■ご当地楽 加賀獅子舞
続いては、「ご当地楽 加賀獅子舞」を鑑賞。実は石川県では各地で獅子頭が受け継がれているほど盛んなんだとか。同旅館では、加賀獅子を独自にアレンジした「白銀の舞」を、毎晩ゲストへ無料で披露している。
ラウンジでの落ち着いた雰囲気が一変。鋭く左右に広がった大きな両眼の獅子が、力強くダイナミックに舞う姿を目の当たりにし、体の芯から震えるような不思議な高揚感を味わった。
わずか15分だったが、その迫力はすさまじく、見ているだけで元気をもらえた。こうして、この日は終了。ふかふかの布団に包まれ、あっという間に夢の中へと誘われた。
■宿泊者は無料! 古総湯でエネルギーチャージ
起床は朝6:00。こんな早朝に起きたワケはというと古総湯での朝風呂だ。なんと古総湯は、「界 加賀」の宿泊者であれば無料で利用可能(通常大人500円)。部屋で渡される入湯料がわりの風呂敷とタオルを持って行く。
明治時代の総湯を復元したという「古総湯」は、外観や内装だけでなく、当時の入浴方法も再現。43℃の熱めのお湯にそっとつかり、体があったまったら2階の休憩処でひと休み、その後また温泉へ……を繰り返す。そうすると、体は驚くほどぽっかぽか!
ステンドグラスから朝陽が差し込むことで、水面にカラフルな光がゆらめく光景はなんとも幻想的。鳥のさえずりをBGMに、普段は味わえないくつろぎの時間を過ごすことができた。
ちなみに最初、間違って2階に上がってしまったが、1階に温泉(玄関右横を抜けると入り口がある)、2階は休憩所なのでご留意を(笑)。
■体操×朝食で身体を整える
○おはよさーん体操
古総湯でシャキッと目が覚めたあとは、毎朝7時に開催される「おはよさーん体操」へ参加。
これは茶室で行うことを前提にした深呼吸ストレッチで、"姿勢・呼吸・心を整えて(茶室に臨むように)一日を始めよう"という意味がこめられているのだとか。筆者も体操を終えたあとは、不思議と姿勢が正され、頭や心がスッキリ。
○ご当地朝食
朝型ではない筆者だが、久しぶりに健康的な生活をしたからか、おなかはいつの間にかペコペコに。色とりどりの小皿料理に加え、特徴的だったのが魚醤を使った鍋。
海の幸に恵まれている石川県では、古くから魚醤が料理に登場する。この日は、イワシの魚醤をベースに仕立てた鍋だったが、のどぐろをベースにした魚醤での提供もあるようだ。食材本来の旨みと、優しい汁が心と体にしみるしみる! 風呂×体操×朝食で朝からエネルギーチャージ完了だ。
■旅の記念をゲット
旅の終わりに訪れたのは館内ショップ。九谷焼やお茶など、ご当地アイテムがずらりとそろう。九谷の職人が絵付けを施したオリジナル紙箱のお菓子など、「界 加賀」でしか手に入らないお土産にも注目だ。
湯めぐりや文化体験など、さまざまなコンテンツを通して泊まる以上の楽しみをもたらしてくれる「界 加賀」。伝統を今に受け継ぐ場所にあなたも滞在してみてはいかがだろう。
取材協力:界 加賀
■Information
「界 加賀」
【住所】石川県加賀市山代温泉18-47
【アクセス】加賀温泉駅より車で10分

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