麻辣連盟総裁に訊く! “よだれが出るほど美味しい”本場四川の「よだれ鶏」の魅力とは?

2019年4月5日(金)12時0分 食楽web


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今年で3年目となる「四川フェス 2019」が4月20(土)・21日(日)、新宿中央公園で開催されます。来場者数のべ10万人を超え、本場・四川の味伝えてきた大人気フェス。その仕掛け人の一人、麻辣連盟総裁・中川正道さんに、四川料理の魅力について語ってもらうカウントダウン企画。

 四川料理の冷菜の一つに「口水鶏(コウシュイジー)」という料理があります。「口水(コウシュイ)」とは「よだれ」という意味で、日本では「よだれ鶏」と呼んでいます。

 最近、四川料理屋さんだけでなく、居酒屋でも食べられたり、また家庭用として『コストコ』などで「よだれ鶏のタレ」が人気商品になっていたりして、日本でもかなり認知度がとても高まってきています。

 過去2回の「四川フェス」でも「よだれ鶏」は大人気で、今年も、名店のよだれ鶏を楽しむことができます。そこで、今回は「よだれ鶏」の魅力についてご紹介したいと思います。

ラー油まみれの鶏料理


『元祖皇帝口水鶏_陳家私菜』の「よだれ鶏」は、過去2回の「四川フェス」で最高売上を記録

「よだれ鶏」の由来は、中国を代表する文筆家の一人、郭沫若氏が著作「典波曲(典は貝へん)」の中で、四川省楽山に住んでいた少年時代に食べた故郷の「白カン鶏(バイカンジー)」=口水鶏を思い出し、

「茹であがった白い鶏肉に、赤い油辣子(ラー油)、今思い出してもよだれがでる」

 と書いたのが始まりと言われています。ちなみに「白カン鶏(バイカンジー)」とは、鶏を刻んで調味料を和えて食べる料理全般を指し、現地では「口水鶏」を「白カン鶏」を呼ぶことも多いんです。

 では、「よだれ鶏」はどんな料理かというと、茹でた鶏に四川名物の油辣子(ラー油)をたっぷりとかけ、醤油、塩、花椒などのスパイスで味つけをした冷菜です。食事の最初に食べると、猛烈に食欲がわきます。私も思い出しただけで、よだれが出るくらい美味しい料理です。

よだれ鶏は四川省成都では棒棒鶏?


『香辣妹子』(板橋)のよだれ鶏は、自家製調味料を使った本場の味です

 しかし、四川省成都にいた長く住んでいた私は、じつは現地でよだれ鶏を食べたことはありませんでした。よく食べていたのは「棒棒鶏(バンバンジー)」で、これがほぼ「よだれ鶏」と一緒なんです。とはいえ、日本で食べるゴマダレ味の棒棒鶏とは全く違います。

 四川の「棒棒鶏」は、よだれ鶏同様、火を通した鶏肉を一口サイズに切り、大量のラー油をベースにし、各調味料で味付けをする冷菜。口から火を噴くほど辛くて痺れる麻辣味です。

 ではなぜ、同じ中国でも「口水鶏(コウシュイジー)」と「棒棒鶏(バンバンジー)という2つの名前があるのか。


『四川料理 天府舫』(西新宿)の「棒棒鶏」。ラー油が決め手の激辛ソースを合えた看板メニューです。

「棒棒鶏」のほうは、丸ごと茹でた鶏を切る際に棒で叩いてから包丁で切る。その作り方から「棒棒鶏」という名前が付いたようです。つまり、よだれ鶏とは切り方の違いだけ。

 現在、成都市ではこのような棍棒で叩いて棒棒鶏を作っているお店はほとんどなくなっていますが、発祥の地と呼ばれる四川省雅安エイ経県に行けば、昔ながらの棒棒鶏が食べられます。つまり、今となっては棒棒鶏もよだれ鶏もあまり変わらないのです。

 じつは、この「よだれ鶏と棒棒鶏の違い」については、四川料理好きでよく議論になり、いろいろな意見があるのも事実。ただ、やっぱり僕の見解だと、よだれ鶏と棒棒鶏はほぼ同じ味です。

 そして、日本では棒棒鶏が先に有名になっていますが、これは担担麺と一緒で、辛さの免疫がない日本人にこのラー油まみれの料理は到底受け入れられなかったために、食べやすいようにアレンジした結果、ゴマダレ風味に落ち着いたのではと推測しています。


私が成都でよく食べていた『老胡記』の「棒棒鶏」。 ゴマダレの味は一切なく、シンプルなラー油ベースの味つけが本家本元の棒棒鶏です

店によって異なるラー油の魅力


『メリメロ』(飯田橋にあるフレンチ+自然派ワインの店)のよだれ鶏は、フレンチシェフが作る渾身の味

 さて、現地では「よだれ鶏」にしろ「棒棒鶏」にしろ、その美味しさは四川省のみならず、中国全土にも広まり、日本でもプチブレイク中なのは前述したとおり。実際、昨年開催した「四川フェス2018」では、麻婆豆腐に次いで2番目に売れた料理は実はよだれ鶏だったんです。

 何と言ってもよだれ鶏の味の決め手はラー油。四川料理屋にとって、自家製ラー油は生命線であり、よだれ鶏だけでなく、さまざまな料理の要です。

 そして、冷菜のよだれ鶏や棒棒鶏を食べることでそのお店の力量もわかるとも言われています。同じ「よだれ鶏」でもお店によって味わいはかなり違うんです。

「四川フェス2019」では、今回、写真でご紹介した個性豊かな5つのよだれ鶏(棒棒鶏を含む)が食べられます。ぜひ、食べ比べてよだれ鶏の深い魅力を感じてみてください。


『陳麻婆豆腐』(赤坂)の@「口水鶏(よだれ鶏)」。麻婆豆腐はもちろん「よだれ鶏」のラー油も絶品です

●DATA

「四川フェス2019」

開催日時:2019年4月20日(土)11:00〜17:00、4月21日(日)10:30〜17:00
会場:新宿中央公園(東京都新宿区西新宿2-11)
※料理は売切れ次第終了
四川フェス2019 公式サイト
https://meiweisichuan.jp/sisen-fes2019
四川フェス実行委員会は3月22日から四川料理クラウドファンディングを開始しています。
https://camp-fire.jp/projects/view/131659

●プロフィール

中川正道

四川省公認の四川料理の専門家、麻辣連盟総裁、時色株式会社代表兼デザイナー。2002〜2006年まで四川省に滞在、四川料理に魅了される。2012年に単身、四川省へ行き、四川の仲間たちと200店舗の四川料理店を食べ歩き「おいしい四川」サイトをリリース。2014年夏に日本初!四川料理食べ歩きガイドブック「涙を流して口から火をふく、四川料理の旅」を出版。2日間で6.5万人を動員した四川フェス主催。これまでの活動が実を結び、2018年のマー活、花椒がブームに。「今年の一皿」ではしびれ料理が準グランプリになる。

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