東海道だけじゃない! 中山道で「江戸時代から残る」宿場町や地元の名産を楽しむ

2024年4月7日(日)8時11分 マイナビニュース

江戸時代に整備された五街道のひとつとして、東海道と並ぶほど有名な「中山道」。
東京日本橋と京都三条大橋をつなぐ街道という点は二つとも同じですが、中山道は内陸側を通っていて、岐阜県内に17の宿場が設置されていました。
岐阜県東部の「東美濃エリア」では、江戸時代から変わらない風情のある道を歩いて散策することが可能。今回はそんな岐阜中山道の古き良き魅力に触れてきました。
中山道の宿場町、それぞれの特徴
岐阜県南東部(東美濃エリア)には、中山道の宿場町の風情が現在においても、多く残っています。町ごとに雰囲気が違っており、それぞれの魅力を備えています。
○細久手宿
細久手宿は江戸から48番目の宿で、歌川広重の「木曽街道六十九次」に描かれた場所です。1610年頃には70軒ほどの建物が立ち並んでいたとされていますが、現在は資料館なども残っておらず、「大黒屋」が最大の見所となっています。
大黒屋は、かつて尾張藩の本陣として利用されていた場所で、本館は有形文化財に登録。正確な創業時期はわからないそうですが、1700年代にはすでに宿として機能していたとのこと。
そんな大黒屋で出迎えに頂いたのは「からすみ」。からすみと聞くと一般的には、魚の卵を使った珍味を想像すると思いますが、中津川では米粉で作った竿ものの蒸し菓子のことを指します。
くるみやよもぎ、黒砂糖などが原料として使われることが多いのですが、それぞれの家庭で味が違い、大黒屋さんでは紫蘇が使われたもので、ただの甘味とは違った食べ応えのあるお菓子となっていました。
○中津川宿
中津川宿は中山道と飛騨街道が交差していたため、交通の要衝であると同時にエリア内随一の商業の町として大いに栄えた宿場町です。街歩きをしていると、長い歴史を持っている老舗に加えて、古民家を再利用したゲストハウスなどの新しい風が入ってきているのが印象的です。
岐阜県の名産品といえば全国的にも有名な「栗きんとん」があり、「中津川栗きんとん」という地域ブランドにも認定されているほど。中津川宿の中心地には、人気の栗菓子を提供している「川上屋」の本店も置かれています。
「栗きんとん」は、例年9〜12月までの期間限定の品ではありますが、蒸し羊羹地で包んで蒸し上げた「さゝめさゝ栗」などの通年販売商品も用意されているので、本場の味をお土産に買って帰るのがオススメです。
土地の名産品としては、お酒も見逃せません。特に日本酒は県内の至るところに酒造があり、東美濃エリアも例外ではありません。
フルーティで女性にも好まれている「恵那山(えなさん)」や、お米のしっかりとした旨味がありながらもスッキリな後味が印象的な「鯨波(くじらなみ)」、今回の訪問では二つ飲み比べましたが、どちらもとてもおいしく、水がきれいなエリアのお酒はおいしいという認識を新たにしました。
中津川宿では、「中山道大鋸(おおが)」にも立ち寄りました。地元の日本酒を中心に、中津川産の栗や芋、麦、蕎麦などを使った焼酎に加えて、近年話題となってきている県内産のクラフトビールやクラフトジンも取り扱っています。
開業は1931年ですが、2004年には中山道の街並みを意識した昔ながらの造りに店舗を改装。中山道の歴史を伝え、中津川の文化を守ることで、街並みを活性化させたいという思いで営業されています。
○馬籠宿
中山道の宿場町の中でも、特に全国的にその名を知られている馬籠宿(まごめじゅく)。長野県との県境近くに位置しています。
坂道に広がる町は、日本近代の文豪である島崎藤村が生まれた場所でもあります。長編小説『夜明け前』の主な舞台にもなっているので、ファンは必見の宿場町です。
町の見所は多くあるのですが、蕎麦や五平餅のお店が並んでいて、町の歴史を感じながらの食べ歩きも人気となっています。
五平餅といえば、平たいわらじ型のものを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、東美濃の郷土食である五平餅はエリア内に100を超えるお店で提供されていて、それぞれ特徴を持っています。
わらじ型やだんご型、隠し味に山椒の葉や鷹の爪を使うというお店もあるほど、バラエティに富んだご当地グルメなのです。
今回立ち寄った馬籠の「近江屋」では、うるち米をつぶして丸めただんご型の五平餅を一本一本丁寧に焼いていくスタイル。
くるみとごまを使ったソースをたっぷりつけて焼くととても香ばしく、歩き疲れた体にエネルギーを与えてくれるような滋味深い一本を味わうことができました。
町を抜けた高台には「馬籠見晴台」があり、エリア周辺では最も高い恵那山を眺めるのに最適なスポットとなっています。
さらに眼下には馬籠宿が、少し遠目には中津川中心街が一望でき、歩いてきた道程を振り返るのにこれ以上ないポイントでした。
ただ歩くだけじゃない、宿場町をつなぐ中山道にも見どころが満載
それぞれの魅力がある宿場町ですが、町と町をつないでいる道中にも多くの見所があります。
江戸時代から利用されているものが残っているということで、日本らしい風情ある景色が見られる場所も多く、ここを歩くことを主目的に東美濃を旅するという人も少なくありません。
中でも、写真映え抜群なのは長い石畳と自然がマッチした「十曲峠(じっこくとうげ)」や「琵琶峠」などのゾーン。目的地に向かって自然の中をゆっくりと歩く、それだけで癒やしを感じる体験になります。
他にも、馬頭観音や一里塚といったポイントが所々に置かれているのも、中山道を楽しむには見逃せません。
場所によって観音様の表情が違っていたり、逸話が残されているものがあったり、歩いて疲れた頃にはチェックすべきスポットが現れるので、休憩がてらさまざまな楽しみを見つけてみましょう。
今回訪れたのは、長い中山道の中でも細久手宿から馬籠宿までのエリア。
馬籠宿は全国的に有名なため、すでに訪れたことがありましたが、しっかりと歩いて中山道を楽しんだのは初めての経験でした。
山道を歩く、と聞くと尻込みしてしまう人も多いでしょうが、きちんと整備された自然たっぷりの道を歩くのは、思った以上に爽快で安心感のある道のりです。
日本の「古き良き」を味わえるエリアで、あなたの思う中山道の魅力を探してみてください。
岡本大樹 おかもとだいき 全国各地を旅しながら、景色や野生動物、ご当地グルメなどを撮影し、インタビュー取材も行なっている旅人ライター。47都道府県・21ケ国・約100の離島を訪問。Instagramでは、各地を訪れて出会った「いいもの」を写真・動画・文章で紹介中。 この著者の記事一覧はこちら

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