【立ち食いそば放浪記332】地味すぎる「具倍盛りフェア」から読み解くメッセージ / JRの駅そばが今伝えようとしていること
2025年4月13日(日)21時0分 ロケットニュース24
チラ見でも目に飛び込んできたその文字。中山道ってこういうフェアやるんだなあ。そう思って注文しようとしたところ、あることに気づいた。
・そば処中山道とは
JR東日本のフーズカンパニーであるJR-Crossが運営している『そば処 中山道』。大宮駅にしかない駅そばだが、系列店として「あじさい茶屋」「大江戸そば」「奥多摩そば」「清流そば」「菜の花そば」などがある。大江戸そばは店舗も多めだし、池袋で存在感を発揮しているので知ってる人も多いかもしれない。
メニューとか雰囲気も似たような感じなので、これまで大宮に来たからと言って『中山道』に入ろうとはならなかった。ただ、それゆえ、具倍盛りフェアは渡りに船かもしれない。かき揚げ天倍盛りとかテンション上がるやん? そこで券売機を確認してみたところ、「具倍盛りフェアはこちら」というボタンが表示されている。
お? てっきり通常メニューで全部倍盛り状態になっているのかと思っていたのだが、どうやら倍盛りメニューがあるようだ。そこでタッチして開いてみたところ、ホゲエエエエエエエ!
きつねとわかめのみ!!!! 繰り返す! 倍盛りになるメニュー「きつねそば・うどん(税込550円)」と「わかめそば・うどん(税込450円)」のみ!!
・ストイックすぎる
念のため、通常のきつねそばを確認してみたところ、価格は470円できつね単品トッピングが130円なので、普通のメニューで再現しようとすると600円になる。確かに、50円安くはなっている。ただ……
地味・・・! あまりにも地味・・・! せめてかき揚げ天がメンバーに入っていれば絵的に派手になったかもしれないのに。しかし、そういう映えとか関係ねえ不器用さは、むしろJRの駅そばっぽくて良い。これはきつねとわかめ好きだけを狙い撃ちしているフェアと言えよう。実にストイックだ。
・注文してみた
そこで倍盛りきつねそばを注文してみた。ファサ……とそばにかかった油揚げ。実物を目の前にしても、「倍」という響きほどテンションが上がらないのが良いところ。安定感がある。
食べてみても、その安定感は変わらない。むしろ、昆布の風味を強めに感じるつゆの方が印象が強いくらいだ。「珍しい」と言うほどではないけど、関東のそばつゆの出汁のメインストリームは鰹なので、優しくまろやかな口当たりは「おっ」と思った。そんなつゆをよく味わえるという意味ではきつねそば倍盛りは結構良いかもしれない。
・読み解く
ちなみに、JR-Crossの公式サイトのフェアページによると、この具倍盛りフェアは系列店でも開催されている模様。ただし、同じJR-Crossのそば屋でも『いろり庵きらく』と『そばいち』は毛色が違うので注意。サイトでも駅そばブランドではなく独立したブランドとして表記されており、事実、大宮駅のいろり庵きらくでは倍盛りフェアは開催されてなかった。
コスパ最高とか激ウマという質のフェアではないけれど、少しだけ気が抜けるような安心感はあるこのフェア。激流の世の流れに流されて、気づいたら生き急いでたかもしれないなあ。食べた後、ふと、そんなことが頭をよぎった。
そんなに急いでどこ行くの? ひょっとしたらJRの駅そばはこのフェアを通して我々にそんなメッセージを伝えたかったのかもしれない。人が行き交う駅そば。それは様々な人生の交差点。このフェアで一服してまた歩き出そう。
・今回紹介した店舗の情報
店名 そば処中山道 エキュート大宮ノース店
住所 埼玉県さいたま市大宮区錦町630 JR大宮駅構内
営業時間 月〜土6:30〜22:30 / 日・祝6:30〜21:30
定休日 無休
参考リンク:具倍盛りフェア
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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