水田に「星」が植えられていく 熊本・扇棚田の幻想的な美しさに感動...絶景が姿を見せる「条件」とは
2023年4月17日(月)20時0分 Jタウンネット
「星が田んぼに植えられていく」——そんな表現がぴったりの夜景が話題になっている。
星空の風景を撮影・発信しているツイッターユーザー・HARLOCK(@susanoo_harlock)さんが、2023年4月7日に投稿した写真だ。
「目の前で星が植えられていく光景に感動した夜」
というつぶやきが添えられた1枚。そこには、星空が反射して、一面に星が輝く棚田が写っている。
とても幻想的で、現実の光景とは思えないほどの絶景だ。
どのような条件で、このような写真を撮影できるのか。Jタウンネット記者は14日、HARLOCKさんに聞いてみた。
「一年のうちのわずかな期間」を狙い撃ち
撮影場所は熊本県産山村にある扇棚田。いつかこの場所で星空を撮りたいと思っていたHARLOCKさんは2019年5月に現地を訪れた。重要なのは、タイミングだ。
「田植え前の水が張った状態で星空のリフレクションと共に撮るには一年のうちのわずかな期間を狙うしかありません。さらに月齢や天気、時間などの条件が全て揃って初めて姿を現す景色です」(HARLOCKさん、以下同)
撮影を行った日は、車の中からでも星がよく見えるほど、空気が澄んだ夜だったという。
現地に到着すると、夜にもかかわらず、星を反射した水面を写真に収めようと多くの人々が集まっている。HARLOCKさんは人混みを避けて棚田の一番端でカメラをセッティングし、「その時」を待った。
「次第に昇り始める天の川。すると手前の田んぼの縁のカーブと夜空の天の川が繋がるように弧を描き、1枚の写真としてカメラのバックモニターに写し出されました。僕は思わずガッツポーズをしたのを覚えています」
また、HARLOCKさんはただその場所に赴いてシャッターを切ったわけではない。カメラをセットする位置にも、こだわりぬいた。
「田んぼの縁のカーブと天の川のアーチが繋がって見えるように最後まで位置の微調整を行いました。星は地球の自転運動の為、常に動いている状態です。構図作りに時間をかけていると天の川が想像以上に移動してしまっていたということはよくあります。今回はうまくこの構図を見つけ、天の川の位置もそこにピッタリ昇ってくるという運にも恵まれた撮影でした」
HARLOCKさんはこの写真を、19年に開催された星景写真のコンテストに応募し、見事、最優秀賞に選出されている。そのこともあって、印象深い1枚になっているそうだ。
「これからも心震える瞬間を追い続けていきたいと思っています」
と語るHARLOCKさん。
次はどのような星空を届けてくれるのだろうか。