Perfumeのライブで踊った!20年越しの悲願のご対面。薄暗い場内はまるでクラブ、かつての杵柄の血が騒いで
2025年4月19日(土)12時30分 婦人公論.jp
ツアータイトルロゴはこんな感じ
世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第51回は「Perfumeのライブで踊った!」です。
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前回「自転車は車道、歩道、どちらを走行するのが正解?『お邪魔します』の気持ちを忘れずに」はこちら
いくつになっても遠足前夜
過日。有明アリーナで行われたPerfumeのライブ『Perfume 10th Tour ZOZ5 “ネビュラロマンス” Episode 1』へ出かけた。記念に当日のおばさん大興奮の一夜を書き残しておこうと思う。
あ〜ちゃん、かしゆか、のっちの3人ユニット・Perfumeに強烈な印象を持ったのは、2007年発売の『ポリリズム』。ここから彼女たちに興味を持ち、「なんと可愛い曲だろう!」と個人的に大ブレイクしたのは、『チョコレイト・ディスコ』。サビの振り付けが特徴的で、歌番組を録画して、何度も繰り返し練習をして完コピをした。まあ、振り付けはどこかに披露するわけでもなく、ひとりカラオケで踊るのみでお蔵入りしたけれど。
脚長で全体に無駄肉が一切見受けられない、日本人離れのパーフェクトボディの3人。しかもテクノポップを踊るステージは、アイコンなのか必ずヒール靴をはいている。こんなタイプの女性グループは、日本にもう誕生しないのかもしれない。そんな思いを巡らせながら、密かに彼女たちの応援を続けていると、運良くチケットに巡り会った。約20年越し、悲願のご対面である。
参戦日の3カ月前からサブスクで毎日のようにアルバムを聴き込み、ファンがアップしているセットリストを脳内記憶。寝る前はSNSでエゴサをしてツアーの情報を仕入れる。
(はは〜ん……今回のツアーは会場ごとに後半のセットリストが違うのね……)
ライブ参戦で完全に興に乗ったおばさんの姿は、遠足前夜に興奮して寝られない小学生状態だった。
潔いステージ
毎日、Perfume漬けの日々を過ごして、いよいよライブ当日を迎えた。当日まで私が気になっていたのはファンの年齢層である。3人娘の実年齢である36歳よりも年下なのか、年上なのか。いずれにしても場違いではありませんように、と願いながら会場へ。
会場の有明アリーナ。まだまだ新しくてキレイでした
地下鉄からゆりかもめに乗る。電車内の乗客を見て「あ、この人もライブへ行くのかしら」と想像を膨らめるのが非常に好きだ。この人は何歳くらいで、今日はどんな理由でこの会場に来たのか。いつもは家事子育てに追われているけれど、今日だけは昔からファンだったPerfumeで友人と息抜き……いかん。想像の風船が膨らみすぎて破裂する音で、我に返る。最寄り駅をうっかり通過するところだった。
そして気になっていた年齢層は……意外にも高!年!齢!私と同じ、中年側が目立つ。30〜40代層が多く、男女比率は半々。中にはPerfumeのステージ衣装を完全再現しているファンの姿も見えた。そういえばライブ中、あ〜ちゃんがコール&レスポンスで、観客に年齢層を聞いていた。レスポンスの音量から察すると、40代が中心だったような。いずれにしてもおばさんは、懸念していた若手だらけの会場ではないと知り、ホッと安堵をして客席へ向かう。
ライブの詳細は今後、ドームツアーまで続くのでここでは割愛するけれど、とにかく3人のアーティストの潔さを感じるステージだった。登場してから一瞬で脳内に飛び込んでくる、彼女たちのドール感。「あ、バービー!」と即座に大昔遊んでいた人形を思い出した。当たり前だけど振り付けの動きにはひとつもムダはなく「なぜこんなにきっちり振り付けが揃うのか」とため息。
これから出かける方にも見逃してほしくないのは、ライティングの打ち出し方。割といくつも色を使っているのにも関わらず、目に邪魔にならない。若手のグループのライブになると、ちょっと老眼には厳しい明るさでライティングを攻めてくる演出が散見されるが、このライブでは一切感じなかった。加えてダンスグループの定番と言われる、派手な特効(炎や煙、光、水、紙吹雪などを使った演出)などもない。にも関わらず、充足感は高い。
おばさんクラブナイト
ちなみにライブ中、私は恥も外聞も捨てて、踊った。私の着席した席は、アリーナではないせいか「立とうか」といった雰囲気も見られず、着席したままライブは進行。
(……立ちたい……)
当日のチケットと会場でもらったカード
実は私、30代まで毎週末クラブに通うほどのテクノ好きの、ダンスミュージックバカ一代。オープニングからかつての杵柄の血が騒いでいた。会場のやや上から見渡す、アリーナ席の観客が音の波に揺られている景色。薄暗い場内はまるでクラブ。視界に入ってくる衝動に触発されて、途中、座席から立ち上がった。
(楽しい!)
同行者は座ったままだったけれど、後部座席の人たちも同じくジリジリした思いだったのか、立ち上がりステップを踏んでいた。ステージには一糸乱れず、踊るドールたち。そして踊るおばさん。これぞライブだ!! また行くぞ!!!