自力で車中泊カスタムしたSUZUKI『エブリイ』は16万キロ超えでもノープロブレム。ユーザー車検も一発合格

2024年4月19日(金)11時0分 マイナビニュース

2台のマイカーを所有している。
なんて言うと、もしかしたら富裕層の自慢話と思われるかもしれないが、2台とも国産大衆車で、1台は走行距離10万キロ越え。もう1台はまもなく走行距離16万キロに達するポンコツ。
車の運転が好きなただの庶民なので、なるべくお金をかけずに趣味の車を楽しむようにしているのだ。
今回ご紹介する16万キロの方は、2年前の春に中古車屋から入手した軽バン貨物車、スズキ『エブリイ』である。
○■コミコミ24万円で入手した車中泊用カスタム車の車検が切れちゃった
僕は当時、巷でにわかに注目度が高まっていた“車中泊”を、自分の新しい趣味として取り入れたいと考えていた。
コロナ禍がピークを迎えていたその頃、なるべく他人と接触せずに楽しめる趣味として、キャンプとともに車中泊がもてはやされていた。ミーハーな僕は、まんまとその波に乗っかったのである。
諸々コミコミ24万円で購入したスズキ『エブリイ』に、全塗装を含む様々な内外装カスタムを自力で施し、車中泊専用カーを作った。そいつで2年間、いろいろな場所への旅を楽しんできた。
そして、車検の時期が迫ってきた。
しかし困ったことに、ここのところ公私ともども異様に忙しく、どうしてもこの車のことをケアする時間を作れなかった。
で、敢えなく車検切れだ。
どうせポンコツだし、このまま廃車にしてもいいかなとも考えたのだが、楽しかった車中泊一人旅のことを思い出すと、そうも決められない。
4月になってやっと状況が少し落ち着いたので、やっぱり車検切れのエブリイを復活させることにした。
まず最初の問題は、エブリイを手元に持ってくることだった。
我が家はデュアルライフ(2拠点生活)を実践しており、エブリイはメインで暮らしている東京の家ではなく、山梨県・山中湖村の“山の家”に置いているのだ。
車検切れのうえ自賠責保険も任意保険も期限切れとなっているこの車を、東京まで運ばなければならない。
まず自賠責保険の入り直し。
そして最寄りの役所で仮ナンバーを取得。
取り敢えずこの2つが揃えば車を動かすことはできるが、山梨から東京までの自走はちょっと不安だったので、仮ナンバー時点でも加入できる会社の任意保険に入り直した。
そうして東京の家に運んだ仮ナンバーのスズキ・エブリイ。
次はいよいよ、車検である。
車関係の仕事をしていくる友人の力を借りて、自分で車検を通す手続き、いわゆる“ユーザー車検”にチャレンジしてみることにした。
○■できるだけ事前にチェックし、いざ、軽自動車検査協会へ
当日の朝、友人の家で我がエブリイちゃんを一通りチェックしてもらった。
過走行ながら調子はすこぶる良く、大きな問題はなさそうな車だが、友人は2箇所ほどまずいところがあると言った。
ひとつはヘッドライトの曇り。
もうひとつは、ナンバー灯の汚れだった。
古い車はヘッドライトのガラスが曇りがちだが、これは水垢によるもの。
友人が貸してくれた専用クリーナーで力を込めて拭いたら、見違えるほどクリアになった。
ナンバー灯の汚れは、自力で全塗装した際、うっかりペンキをつけてしまったようだ。
マイナスドライバーを使ってペンキを削り落とし、こちらもOK。
いざ、車検場へ。
車を持ち込んだのは、東京・府中市にある軽自動車検査協会・多摩支所というところだ。
自賠責保険証や納税証明書など、事前に揃えた書類を窓口に提出。
自動車重量税印紙代8200円と検査手数料1800円、技術情報管理手数料400円、合計10400円を支払った。
2万円余りの自賠責保険とこの10400円が、軽自動車にかかるいわゆる「法定費用」だ。
検査ラインがある建物に入ると、同行者は助手席から降りるように指示があり、運転席の僕だけで検査の工程を進んでいくことになった。
最初はドアや内装のチェック。僕のエブリイは、もとの天井内張を剥がし、板張りにカスタムしていたので少し心配だったが無事にパス。
作るときに一応調べ、難燃性の高い5mm以上の厚みのある板を使っていたのが良かったのだろう。
検査官は眼光鋭く、そういうところも素早くチェックしているようだった。
次はライト周りのチェック。
検査官の指示に従ってヘッドライトを点けたり消したり、上向きにしたり下向きにしたり。
左右のウィンカーを出したりハザードランプやブレーキランプ、バックライトを点けたりと忙しい。
ヘッドライトの光量も測られたが問題なし。
朝、一生懸命磨いておいて良かった。
○■面白がっていたら、意外とあっさり全工程を終了
次の工程に進むと、検査官からギアをドライブに入れてアクセルを踏み込み、時速40kmでキープするように指示された。
狭い屋内でアクセルを踏み込むのはちょっとドキドキだが、4つのタイヤは回転するローラーの上に乗っているので、車が前に進むことはない。
工程の最後は、運転席に乗ったままリフトで2メートルほどの高さまで持ち上げられた。
ちょっとしたアトラクションのようで楽しく、下の通路で待機している友人に思わず手を振ったが、やつはあくびしながらよそ見をしていて、こちらに気づかなかった。
まあ、50代半ばのおっさんがこんなことで喜んでいる場合じゃないのだが。
車の下では検査官が何やら軽く叩いたりいじったりして、下回りの状態をチェックしているようだった。
これで全工程は終了のようで、指示に従って建物の外に車を進めた。
「はい、合格!」などと言われたわけではないので、素人の僕はイマイチ実感がなく、再び助手席に乗り込んできた友人に「もう終わった? これで完了?」と確認。
「そうそう。車検取れたよ」と返答された。
プロの世界はあっさりしたものだ。
○■それでも一般人にはあまりお勧めできないユーザー車検。その理由とは
駐車場で仮ナンバーから正規のナンバーに戻し、万事OK。
僕の車中泊専用カー、スズキのエブリイちゃんは見事に復活したのである。
なんだ、ユーザー車検って簡単じゃん! と思ったのだが、帰りの道中、友人からクギを刺された。
「今日は自分がいたからなんとかなったけど、本当は素人にユーザー車検はやってもらいたくないし、メディアでもおすすめしてほしくはないんだよね」と。
友人が言うところによると、ちょっと前、車検場にユーザー車検を受けるために来た一般人が増えたのだそうだ。
ユーザー車検だとディーラーや整備工場に支払う料金が省け、必須の法定費だけで抑えることができる。
コスパが良いということで一時期、ユーザー車検は流行ったのだが、車検場にいきなりやってくる素人に、友人のような車のプロは辟易としていたそうだ。
ユーザー車検を考える人は、ある程度車に詳しいのだろうが、やはりユーザーが車検場に直接持ち込んだ車には不備が多く、検査ラインは混雑・混乱。
プロの人たちは大きな迷惑を被ったのだとか。
確かに、僕のエブリイも友人に事前チェックしてもらっていなかったら、ヘッドライトの曇りやナンバー灯のペンキの件が指摘され、出直すことになっただろう。
そういう車が頻出すると検査ラインは混雑し、プロをイライラさせてしまうのだ。
ユーザー車検はやっぱり難しい。
そんじょそこらの整備士や検査官よりも車に詳しいという素人もいるだろうから一概には言えないが、一般的にオススメできないということは間違いなさそうだ。
それはさておき、そんな感じで大復活した僕の車中泊専用カー、スズキのエブリイちゃんはやっぱりかわいいやつである。
これからもこいつで車中泊の旅を楽しんでいきたいと思う。
目指せ20万キロ。
いや、30万キロまでいこう。頑張ってくれ!
文・写真/佐藤誠二朗
佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000〜2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。新刊『山の家のスローバラード 東京⇆山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』発売。
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