気になる「年金受給額」!厚生年金と国民年金は月々いくらもらえる?

2024年4月20日(土)18時30分 All About

年金受給額の平均、厚生年金と国民年金の平均は月々いくらなのでしょうか? 厚生労働省が発表した令和6年度の国民年金から支給される老齢基礎年金は最大で1人1カ月6万8000円。厚生年金もモデル夫婦で23万483円。ともに前年度よりは増えました。

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会社員や公務員、専業主婦の将来の年金受給額をチェック!

厚生労働省が発表した令和6年度の国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間保険料を支払った人で、1人1カ月6万8000円。また、厚生年金から夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額として23万483円と、前年度よりは増えました。

年金は月々平均いくらもらえる? 老齢基礎年金と老齢厚生年金の平均受給額

公的年金(老齢年金)は老後の生活設計には欠かせない物です。生涯にわたって受給でき、受給額も物価にある程度は連動するので、長生きした場合のリスクに対応できるのが年金です。
では実際に自分たちの老後にはいくら受給できるのでしょうか? 数十年後の値を正確に知ることは難しいものですが、現在の受給者の状況はわかります。現状の老齢年金受給事情をご紹介します。

年金制度の基本的な仕組み

日本に居住している20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入することになります。会社員や公務員など職場から加入している人を「第2号被保険者」、その第2号被保険者の被扶養配偶者で年収130万円未満の人は「第3号被保険者」、それ以外の自営業者等は「第1号被保険者」と国民年金の加入者は3種類にわかれます。
また年金制度は「3階建て」といわれています。
全員が加入している国民年金(基礎年金)=1階部分
会社員や公務員などの第2号被保険者が加入している厚生年金=2階部分
確定拠出年金や厚生年金基金、年金払い退職給付などの企業や個人が独自に加入する年金=3階部分
この記事では、基本的な1階、2階部分の年金支給額をご紹介します。

標準的なモデル世帯の年金受給額、老齢基礎年金は1人月々6万8000円、老齢厚生年金は夫婦で23万483円

まずは、厚生労働省が発表した令和6年度の年金額についてご紹介します。

国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を支払った人で、1人1カ月6万8000円(前年より1750円増)。また、厚生年金額は、標準的なモデル夫婦2人で23万483円(前年より6001円増)*とのこと。令和5年度より2.7%の引き上げとなりました。
*夫が平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))を受け取り始める場合の給付水準
老齢年金額は、名目手取り賃金変動率や物価変動率に応じて年金額が変化します。令和6年度は物価変動率も名目手取り賃金変動率も上がったため、前年度より増加という結果になりました。このように、物価などに変動して年金額が改定されるため、物価上昇の時も安心です(ただし、少子高齢化等の対策として、実際の物価上昇率より年金上昇率の方が低く設定されるマクロ経済スライドによる調整が行われています)。
では、実際に受給している人は、どれくらい年金をもらっているのでしょうか?

平均受給額は老齢基礎年金が月々5万6316円、老齢厚生年金が14万3973円

表は、現時点で老齢年金の受給権を持つ人の平均年金月額です。

令和4年度で国民年金が5万6316円、厚生年金が14万3973円となっています。ここでいう厚生年金は公務員や私学共済等以外の民間企業からの加入者になります。厚生年金が国民年金の約2.6倍となっており、厚生年金として8万8000円弱が上乗せされているのがわかります。
国民年金のカッコ内は、厚生年金の受給権を持たない人の平均です。一般的にずっと自営業だった人などが当てはまります。平均が5万3157円と、さらに低い水準となっています。

老齢基礎年金の月々の平均支給額、最多層は6万円台

図表は、国民年金受給権者の受給金額(月額)とその割合を男女別にまとめたものです。

全体では、月額6万円台を受給している層が一番多く、平均は5万6316円。全体の半分以上が6万円以上の支給となっています。
男子は全体と同じような傾向ですが、女子は事情が違っています。一番多く受給しているのは6万円台ですが、3万円台から5万円台に多くばらついています。また、3万円までの人も一定数おり、年金受給額が4万円未満は合わせて15.6%もいます。国民年金だけの老齢年金を受給している女性の15%は4万円未満というのは、厳しい現状です。
第3号被保険者の制度ができたのは1986年でした。それまでは、専業主婦など会社員以外の人は任意加入でした。したがって当時年金制度に加入していない人もいるため、もらえる年金が少なくなってしまっています。ただし今は第3号被保険者制度がありますので、このような低年金の女性は、今後は減少すると思われます。

老齢厚生年金の1カ月あたり平均支給額を男女別に見ると

図表は、厚生年金保険(※)受給権者の受給金額(月額)を男女別にまとめたものです。

この受給額は、国民年金から支給される老齢基礎年金に加えて、厚生年金からも老齢厚生年金も支給されているので、国民年金受給権者の平均受給月額より多くなっています。
厚生年金保険受給権者の平均受給金額は月14万3973円と、老齢基礎年金のみの約2.5倍。会社員などは、現役時代に厚生年金保険料を多く払っていたわけですが、この差は大きく感じられます。この金額であれば、老後の生活費として多くをまかなえるのではないでしょうか?
男女別にみると、男性は43%が15万〜20万円なのに対し、女性はあわせて86%が5万〜15万円と大きく差が開いています。老齢厚生年金は現役時代にどれだけ働いて厚生年金保険料を納めたかに比例します。女性は結婚や出産で会社を退職し、その後は専業主婦や社会保険に加入しないパートなどで働いている人が多いから、年金額も少ないのでしょう。
正社員を辞めずに仕事を続けると、男性と同じように年金額も増えることでしょう。今は、短時間労働者でも社会保険に加入する機会が増えています。目先の保険料負担は大きいですが、このように将来の年金額なども考えて、積極的に加入して老齢年金を増やしたいものです。
※厚生年金保険の被保険者のうち、公務員以外の民間企業から加入している人

繰下げ受給、iDeCoなどの活用も考えて

現時点で年金の受給権を持つ人たちの平均額を紹介しました。多くの人にとって、これらの支給額だけでは老後の生活はまかなえそうにないという結果です。
実際、自分自身が受け取る年金額は、ねんきんネットで確認することができます。働き方を変えてシミュレーションすることもできるので、一度確認してみるとよいでしょう。
これらの公的年金は一生涯受給できる大切な収入源です。ただ、これだけでは生活ができそうにないのであれば、年金の繰下げ受給をして年金額を増やす、iDeCo(個人型確定拠出年金)等を利用して、自分自身で老後の資金を作るなどの対策を考えるとよいでしょう。
文:福一 由紀(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後システムエンジニアとして勤務。2人の子どもを出産し退職後FP資格を取得。女性のFP仲間とともに会社を設立し、セミナー、執筆、各種メディアへの企画監修、コンサルティングなどを行っている。
(文:福一 由紀(ファイナンシャルプランナー))

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