萩原博子 被災後のお金の手続きはどうなっているかというと…慌てて通帳や土地の権利書を探さなくても大丈夫!「命」さえ守れれば、その後なんとでもなる
2024年4月19日(金)12時30分 婦人公論.jp
経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「被災後のお金の手続きは」です(イラスト:さかがわ成美)
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被災後のお金の手続きは
今年は、日本が地震列島、災害列島であることをあらためて思い知らされる幕開けでした。
いつ、どこで起きるかわからない大規模な自然災害。もし遭遇したら、まずは命を守るために逃げることだけを考えてください。
すぐに逃げなくてはいけないような状況なら、預金通帳やキャッシュカード、印鑑、保険証、土地の権利証などは捜さず、そのままにしてすぐに逃げましょう。「財産」と呼べるもののうち、危険を冒してまで持ち出さなくてはならないものなんてないのです。
通帳やキャッシュカードは、紛失してしまっても、罹災(りさい)証明書と口座番号、本人確認資料の提示などで預金を払い戻してもらえます。
大規模災害なら、日本銀行が被災地の金融機関に「災害時における金融上の特別措置」を要請します。本人確認ができれば、キャッシュカードなどがなくても1日10万円(ゆうちょ銀行は20万円)の引き出しが可能に。自分が預金している金融機関が被災して、建物が倒壊した時には、ほかの金融機関が代わりに対応してくれます。
ネット銀行は、ネットが使えなくても、コールセンターに電話すればOK。本人確認ができれば、実店舗のあるほかの銀行の本人名義の口座に、1回10万円までなら振り込んでくれます。
とにかく「命」を守ることが最優先
株券、投資信託、保険証券(生命保険・損害保険)などは、現在ほとんどが電子管理されているので、本人確認さえできれば大丈夫。
土地を所有していることを示す「登記済権利書」も、現在は12桁の英数字で管理されています。2004年から、「登録済権利書」という書類そのものが交付されなくなっているのです。
住宅ローンのある家が倒壊すると、借金だけが残ることになります。海外では、「ノンリコース」という、家がなくなれば借金もなくなるローンが主流ですが、日本ではそうではないケースが多い。
ただ、大規模な自然災害で被災し、まだ住宅ローンや自動車ローンなどが残っている場合には、「自然災害債務整理ガイドライン」という、17年4月からスタートした民間の自主ルールが役立ちます。弁護士などの「登録支援専門家」が、債務整理の相談に乗ってくれるのです。
ローンの状況や金額にもよりますが、預金などの一部財産を手元に残しながら、物件を手放すことも可能になるので、詳しくは、ローンを組んでいる金融機関に相談してみましょう。
とにかく「命」を守ることが最優先。その後は、なんとでもなります。
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