華やかで美しい「着物マスク」に反響 三重の専門店が本気で開発...店長の思いを聞いた

2020年4月24日(金)6時0分 Jタウンネット


マスクの品薄が続いている。シャープ製のマスクがネットで買えるらしいと聞けば、アクセスが殺到し、同社のサイトはたちまちダウンしたそうだ。

ドラッグストアに行っても、「本日、マスクの入荷はありません」の掲示が毎日掲げられている。しかも腹立たしいのは、この品薄状態が解消する気配が、まったく見えないことだ。

そんな折、2020年4月22日に投稿された次のツイートが目にとまった。

写真には、色鮮やかなマスクがびっしり並べられている。これらはすべて、ゆかた地でつくられたという。「本日ゆかたマスク100枚以上入荷しました!」というコメントも添えられている。

ドラッグストアにはほとんど入荷がないのに、ここにはゆかたマスクが毎日のように入荷しているようだ。安倍晋三首相が送ってくれるという布製マスクを待たなくても、

「そうか、ゆかたマスクという手もあるのか」

と思った。

投稿したのは、三重県菰野町、イオンタウン菰野の中にある「着物のまるき」という着物店のアカウントだ。ゆかたや着物の生地でマスクを作っているらしい。「ゆかたマスク」「着物マスク」をつくることにしたのは......いったい、なぜ?

Jタウンネット編集部は、4月23日、山川孝太店長に詳しい話を聞いた。

絹は肌触りが良くて、肌が弱い人に喜ばれる

いったい、何がきっかけだったのか? というJタウンネット編集部の質問に、「着物のまるき」山川店長はこう答えた。

「実は、うちの店の隣が薬局で、2月上旬ころから行列ができていました。その様子を見て、大変だな、日本国が困っているときに、何かお役に立てることはないかな、などと思っていたのです。
着物の生地というのは、絹なんですよ。絹は肌触りが良くて、肌が弱い人には喜ばれています。保湿性はコットンの2倍と言われています。マスクにしたらどうだろうと思って、試作品を作ってみました。
すると好評で、もう1枚欲しいという要望がありました。それからですね、開発に本腰を入れ始めたのは......」

それから、従業員と一緒に、形、デザインなど、細かい検討を続けて、試作を繰り返したという。

「絹は洗うと、縮むんですよ。先に水洗いして、縮ませてから、縫製しなければならない。着物マスクは、毎日のように洗うと思うので、縫製前に十分に縮ませておくことが重要でした」

着物マスクの裏地も、胴裏と呼ばれる絹(100%)だという。試作の段階では端切れも利用したが、商品製作にあたっては、問屋から新しい生地を仕入れているという。和裁経験者に声をかけて縫製チームを結成し、着物マスク・プロジェクトが動き出したのだ。

3月下旬、店頭に並べ始めると、大反響だったという。評判は評判を呼び、口コミで広がっていった。「同じイオンタウンの中のテナントさんが応援してくれたのが、嬉しかったですね」と山川店長。

着物マスクが好評なら、ゆかたマスクも良いのでは......、そんな声が自然に上がったという。ゆかたマスクも製品化し、売れ行きを伸ばしている。

「派手目の柄もかわいい、おしゃれができそう、と年配のご婦人が買って行かれます。楽しんでもらえれば、それがいちばんです」

3月下旬から4月中旬までの間に、着物マスク、ゆかたマスクは、合計500枚ほど売れたという。「今は作るのに必死なんですよ」と、山川店長は語る。

「着物のまるき」の公式アカウントからは、4月19日、次のようなツイートも投稿されていた。

「ウイルスの影響で全国の呉服屋さんが売り出しを中止しています。そのため産地、作家、問屋、すべてが苦しんでいます。まるきに出来る事は着物を仕入れる事。販売する事。マスク不足で困ってる人の為、着物を失くさない為、着物をマスクに変えて販売します。地域と着物に恩返し」

「着物のまるき」の公式アカウントには、毎日のように、「ゆかたマスク」「着物マスク」の新作がアップされている。一度のぞいてみてはいかがだろう。


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