3Dプリントで建てられたスターバックスが米テキサスに誕生、店舗建築の新たな挑戦
2025年4月26日(土)19時0分 カラパイア
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アメリカ、テキサス州ブラウンズビルに2025年4月28日、世界初の3Dプリント製のスターバックスがオープンする。
ドイツの建築企業の「Peri 3D」が手がけるこの店舗は、建築工法に3Dプリント技術を全面的に採用し、コンクリートを層ごとに積み重ねた近未来的な姿が特徴だ。
なおこのカフェはドライブスルーとデリバリーを対象としたもので、客席は一切ない。従来のカフェの常識を打ち破る新たな試みに世界が注目している。
世界初の3Dプリント建築のスターバックスが誕生
テキサス州ブラウンズビルのボカチカ大通りに、今までにない全く新しいスターバックスが誕生する。
この店舗は一般的なカフェのイメージとはかけ離れ、店舗全体がコンクリート製の3Dプリントによって造られている。設計・施工を担当したのは、ドイツの建築会社「Peri 3D[https://www.peri3dconstruction.com/en]」だ。
Peri 3Dはその名に3Dがつく通り、ヨーロッパ初となる「3Dプリントによる社会住宅」の建設で世界的に注目を集めている企業である。
その高い技術を応用し、約130平方メートルの店舗を従来の工法とは異なる、複雑で美しい曲線のあるデザインで仕上げた。
このスターバックスは壁全体が3Dプリントされたコンクリートで構成されており、梁や石膏ボード、足場を使わない工法が特徴だ。
建築コストは約1億8000万円(120万ドル)と決して安くはないが、将来的には大量生産によって費用削減も可能になると見込まれている。
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居心地の良いカフェから利便性へとシフト
この店舗はカフェ特有の居心地の良い椅子やリラックスできるBGMといった要素はない。客席をあえて作らず、ドライブスルーやデリバリーのピックアップ専用として設計されている。
これまでのスターバックスが重視してきた「居心地の良いカフェ文化」から、「利便性」や「スピード」を最優先した店舗として誕生することになる。
コロナ禍以降、世界的に持ち帰り需要が高まり、日本でもスターバックスのドライブスルー店やモバイルオーダーの利用が拡大している。
今回の店舗は、そのトレンドをさらに先取りした未来型モデルといえるだろう。
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テキサス州が最初の地に選ばれた理由
なぜテキサス州がこの革新的なプロジェクトの舞台に選ばれたのだろうか?
実はテキサス州は、3Dプリント建築の分野で世界的なリーダーとなっているICON[https://iconbuild.com/]社が本拠地を置き、実験的な建築プロジェクトが次々と立ち上がっている場所なのだ。
例えば、手頃な価格で提供する住宅プロジェクトやミッドセンチュリーモダンスタイルの「House Zero[https://www.iconbuild.com/projects/house-zero]」といった革新的な建築物も、すでにテキサス州に建設されている。
こうした背景から、この3Dプリント店舗は単なる奇抜なアイデアではなく、地域の自然な流れとして受け入れられているのだ。
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スターバックスが目指す未来の建築とサステナビリティ
今回のプロジェクトは、スターバックスにとっても重要な一歩だ。
持続可能で環境負荷の低い建築を推進する企業として、モジュール型建築(あらかじめパーツを組み立てて作る方式)や革新的な工法の導入に積極的に取り組んでいる。
3Dプリントは工期の短縮や建築廃棄物の削減につながるため、環境負荷が少なく持続可能性に優れた建築方法として注目されている。
スターバックスがこの技術を導入することは、将来的に他の店舗でも同様の工法を採用する可能性を示している。
コンクリートの層に囲まれた新しいスタバ。そこに香るのは、コーヒーの香りではなく、未来の建築とテクノロジーの香りかもしれない。
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3Dプリント建築は日本でも
ちなみに日本でも、2025年3月、JR西日本が和歌山県有田市の初島駅で、世界初となる3Dプリンターによる駅舎建設[https://karapaia.com/archives/495535.html]を実現した
このプロジェクトは、老朽化した木造駅舎の建て替えを目的に、建設用3Dプリンターを活用したもので、終電から始発までのわずか6時間で新駅舎の組み立てを完了させた。
こういった3Dプリンターを利用した建築への取り組みは、人口減少や労働力不足が進む現代において、新たな可能性を示している。