「隠れジミ」をシミにしない!皮膚科医の9割が推す効果的な対策とは

2025年5月13日(火)13時0分 大手小町(読売新聞)

日差しが強くなると、紫外線によるシミやくすみなど肌のトラブルに悩む人が多くなります。悩みを解消するためには、肌の表面に現れたシミだけでなく、いずれシミとなる「隠れジミ」の対策も重要です。皮膚科医の小林智子さんに、シミができる原因や効果的な隠れジミ対策を聞きました。

紫外線を浴びると、なぜシミが増えるのでしょうか。小林さんによると、紫外線を浴びることによって、肌の中に活性酸素が発生します。肌の奥には「メラノサイト」と呼ばれる細胞があり、メラノサイトが活性酸素に刺激されると、シミの原因となる「メラニン」が作られます。「このメラニンが隠れジミです。紫外線を浴び続け、メラニンが肌にどんどん蓄積することで、肌の表面にシミが現れるのです」と小林さん。

肌に現れてしまったシミを消すのは容易ではありません。美白化粧品などで肌のターンオーバー(代謝)機能を高めたり、クリニックでレーザー治療を受けたりすれば、それ相当の時間と費用がかかります。シミは肌の表面に現れる前、隠れジミの段階で対策を取ることが重要と言えます。

肌のケアを意識している人は、日焼け止めを塗ったり、日傘や帽子、サングラスを着用したりといった紫外線対策を講じているはず。しかし、どれも万全とは言えません。小林さんは「いろいろな対策を組み合わせるといいでしょう。日焼け止めやUVケア効果のある化粧品を使ったうえで、日傘などで物理的な遮光もしてください」とアドバイスします。

シミができるメカニズム

シミは日に当たらなくても濃くなることがあります。生活習慣の乱れや強いストレスもシミの原因になるからです。「もともと私たちの体には、活性酸素を除去する働きが備わっているのですが、生活習慣の乱れやストレスによって、体が除去できる以上の活性酸素が生産されると、シミもできやすくなります。そのため、日焼け止めなどのアウターケアだけでなく、食品やサプリメントを摂取するインナーケアもお勧めします」

「カゴメ あざやか生活研究所」が昨年12月、美容皮膚科医100人を対象に実施した「お肌のシミと紫外線のケア」に関するアンケート調査では、美容皮膚科医の92%が、猛暑が肌に与える影響は大きいと回答。5年前に比べて患者からの相談や診療希望が増えた肌トラブルを尋ねたところ、「隠れジミの増加」が55%で最も多く、「シミの増加」が51%で続きました。また、93%の医師が、隠れジミ対策にはインナーケアが重要であると回答しました。

隠れジミ対策に薦めたい食材を尋ねると、トマト、ニンジン、ホウレンソウ、カボチャ、モロヘイヤなどが挙がりました。いずれも抗酸化成分のカロテノイドが豊富な野菜で、β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、新陳代謝を促し、メラニンの蓄積を防ぐ効果があります。ただし、β-カロテンは体内で作り出すことができないため、食材から体内に取り込む必要があります。

小林さん自身は、β-カロテンが豊富なニンジンをジュースにして摂取しているそうです。「朝の忙しいときは、市販のニンジンジュースにオリーブオイルを少し入れて、レモンを搾って酸味を加えて飲んでいます。お料理に使うときは、ミネストローネがいいですね。β-カロテンは加熱したり砕いたりすると吸収力が高まります。生のニンジンより、ジュースやスープの方が効率良く吸収できるんです」

小林さんは、夏だけでなく一年中、紫外線対策を講じる必要があると説きます。たとえ部屋の中にいても、窓から差し込む日差しなどで紫外線によるダメージを受けるそう。「シミを作らないためには、毎日継続して予防・対策することが大切。アウターケアとインナーケアの両面から、隠れジミを対策して、美肌をキープしましょう」

野菜を使ったレシピを提案している「野菜の料理家」西岡麻央さんに、β-カロテンが豊富でキレイのエッセンスを加えたオリジナルジュースを紹介してもらいました。

ニンジンとパプリカ&柑橘のカロテンチャージスムージー(左)、ニンジンとフルーツのミルクスムージー

<ニンジンとパプリカ&柑橘(かんきつ)のカロテンチャージスムージー>ニンジンをベースに、肌にうれしいビタミンCを含むオレンジやパプリカ、マンゴーを組み合わせました。パプリカの華やかな甘みが深い味わいに。(※カロテンチャージ:β-カロテンを摂取すること)

【材料(1人分/約200ml)】・ニンジン(皮をむいて薄切りにする)(※)……正味40g(1/4本)・水(※)                ……90ml・オレンジ(薄皮をむいて一口大に切る)  ……正味30g(1/5個)・マンゴー(冷凍可)           ……30g・赤パプリカ(薄切りにする)       ……正味10g(1/14個)(※)市販のニンジン100%ジュース130mlに変更可能です材料を滑らかになるまでミキサーにかけ、グラスに注いで完成。

<ニンジンとフルーツのミルクスムージー>リンゴとバナナの甘さで飲みやすいスムージー。β‐カロテンは牛乳と一緒に取ることで吸収率が高まります。

【材料(1人分/約200ml)】・ニンジン(皮をむいて薄切りにする)(※)……正味50g(1/3本)・牛乳(※)               ……100ml・リンゴ(皮をむいて一口大に切る)    ……正味30g(1/8個)・バナナ(皮をむいて一口大に切る)    ……正味20g(1/4本)(※)市販のニンジン100%ジュース75ml・牛乳75mlに変更可能です材料を滑らかになるまでミキサーにかけ、グラスに注いで完成。

(読売新聞メディア局 後藤裕子)

プロフィル小林智子(こばやし・ともこ)皮膚科専門医・医学博士。ドクターレシピ監修。日本医科大学医学部卒業後、名古屋大学皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了。2015年よりアメリカ Northwestern大学でポストマスターフェローとして、皮膚科の臨床研究に従事。帰国後は同志社大学アンチエイジングセンターにて糖化についての研究を行う。食事と健康に関してレシピや情報などを医学的な立場から発信する「ドクターレシピ」を監修。2016年長男、2019年次男、2022年三男をアメリカで出産。SNSの発信も積極的でInstagram、YouTube、X合計のフォロワーは15万人を超えている。

西岡麻央(にしおか・まお)野菜の料理家。大学卒業後、航空会社で国内線・国際線の客室乗務員として4年間勤務。不規則な生活リズムと食生活を解消するため休日に通った料理教室で、食べ物が心と体に与える影響力を実感し、料理の世界に転身した。退社後は料理研究家の井上絵美に師事し、エコールエミーズ・プロフェッショナルコースにてディプロマを取得。現在はCM、広告、雑誌、Webなどで野菜を使ったレシピの提案を中心に活動している。野菜を使って心と体を整える栄養満点レシピ、ベストな体形をつくるための野菜の取り入れ方を日々研究、開発中。

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