やる気が出ない、なんだか気分が優れない……5月病から抜け出す4つの方法とは?【医師監修】

2024年5月16日(木)8時30分 マイナビニュース

ゴールデンウィークが終わり「なんとなく体がだるい」「やる気がでない」といった5月病の症状を感じている人もいるのではないでしょうか。今回は、5月病から抜け出すための方法について東京慈恵会医科大学精神医学講座舘野歩先生に教えてもらいました。
■5月病の症状は?
——5月病について教えてください。
ゴールデンウィークを過ぎた頃に注意が必要なのが、5月病です。5月病とは新入社員や人事異動など環境変化のあった方が、新しい環境への適応がうまくいかず、なんとなく体調が悪い、やる気が出ないなど心身に不調があらわれる状況を指します。
最近では子供や思春期の学生にもあります。5月病と検索している数は、2020年のコロナ禍で落ち込んで以降、年々増えており、コロナ禍の緩和や人々の行動増加、出社回帰の傾向との関係性が伺えます。しかし5月病は正式な病名ではありません。医学的には、「適応障害」、「うつ病」などの病気と関係があるとされることが多いです。
——「適応障害」「うつ病」の違いも教えてください。
適応障害は環境反応として起こりますが、うつ病ほど重症ではない方です。適応障害は比較的きっかけがはっきりしていること、環境からは慣れると速やかに症状が軽減する場合が多いです。それに較べてうつ病はきっかけなく起こったりします。また、環境を調整したり、気分転換をしても気持ちが流れないのが特徴的です。ただ適応障害とうつ病を明確に区別することは専門家でも難しい場合が多く、経過を慎重に診ていくことが重要です。
——5月病になりやすい人の特徴や具体的な症状について教えてください。
5月病になりやすい人の特徴として、環境の変化を伴うストレスに弱い人、真面目で完璧主義な人、責任感が強い人、ストレスを抱え込んでしまう傾向にある人が挙げられます。
具体的な症状としては、気持ちの症状の代表例は憂鬱な気分、頭がいつもより回らない、身体を動かすのが億劫、不安感などがあります。身体の症状では、眠れない、食欲がない、めまい、ドキドキするなどがあります。
■5月病から抜け出す4つの方法
——5月病から抜け出す方法を教えてください。
1つめは、周囲の人に不安や悩みを相談することが大切です。5月病を発症してしまう方は新しい職場や環境でうまく適応できず、相談や愚痴を吐露できる場所がないことでストレスを溜め込んでしまう方が多いからです。特に、完璧主義者の方や周囲とうまくコミュニケーションを取れない方はストレスをだれかと前向きに共有することができず、自分の中に溜め込んでしまう傾向にあるため、特に注意が必要です。不安や悩みを誰かに相談することは決して悪いことではないです。自分の心の健康を保つためにもまずは信頼出来る人に話してみると良いでしょう。
2つめは、当たり前のことかもしれませんが規則正しい生活を送ることも大切です。5月病だからと言ってダラダラと家にこもって、睡眠リズムが乱れたり不健康な食生活を送ってしまうと自律神経の乱れてしまい、ますます具合が悪くなってしまいます。たまったストレスをうまく発散するために、5月病の人こそ自身の生活を正し、睡眠や食事・運動などを見直すことです。また規則正しい生活は、免疫力を高め、自律神経を安定させる効果も期待されるため、5月病の原因となる精神的な病気に対しても非常に効果的と言えるでしょう。
3つめは、ストレスをうまく発散するかが重要で、ストレスが限界まで溜まる前に上手に発散することで発症の予防や改善が見込めます。ストレスの発散方法は個人によっても異なり、映画鑑賞や適度な運動、ヨガ、音楽鑑賞などさまざまでしょう。間違っても、ストレス発散のために暴飲暴食やアルコールの過剰摂取など、健康に良くない方法は避けるべきですね。
4つめは、先程完璧主義ともつながりますが、理想を高く持ちすぎ現実の自己とのギャップに苦しんでしまう人もいるかもしれません。高い理想を持つこと自体悪いことではないのですが高すぎると自らをがんじがらめに苦しめてしまいます。高い理想を持ちつつ、少しずつ現実の中での折り合い点を探っていくことも必要かもしれません。
——5月病から抜け出すまでの期間の目安はどのくらいなのでしょうか?
5月病から抜け出す明確な期間を示すのは難しいです。参考までに適応障害の回復期間を示します。適応障害の場合ですと、ストレスから解放されれば6カ月以内に改善すると言われています。しかし実際にはストレス環境から離れて1カ月から3カ月くらいで回復する場合が多いように思えます。
——どういった症状ある場合、受診した方がよいのでしょうか?
お伝えした4つの方法を1から2週間行ってみて、改善しない場合は受診をした方がよいでしょう。これはある程度の目安であり、学校や会社へ行くことを体が拒んでいるなどの症状がある場合は、早めに受診することをおすすめします。また、比較的早期に専門家の診断や治療を受けることで、回復が早くなることもあります。
5月病は誰でも経験する可能性があります。5月病の疑いがある場合は、精神科・心療内科に行くことをおすすめします。精神科・心療内科では、現在の環境やストレス要因、生い立ち、病前性格など聴取した上で、回復に必要な環境調整や心理的サポート、場合によっては薬物療法を行います。
精神科か心療内科か迷う場合があるかもしれません。大まかに言いますと、気分の落ち込みや意欲低下などの精神的不調を抱えている場合は精神科、食欲不振や倦怠感などの身体的不調を抱えている場合は心療内科を選択すると良いかもしれません。
舘野 歩 たての あゆむ 東京慈恵会医科大学附属病院勤務/東京慈恵会医科大学精神医学講座所属・准教授/専門は精神神経科/保有免許・資格は、日本精神神経学会専門医、日本精神神経学会精神科指導医、精神保健指定医、日本森田療法学会認定医 この監修者の記事一覧はこちら
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