ワニを強姦して返り討ち… 2018年に世界を混乱させたフェイクニュース5選! 集団リンチや自殺者も発生、中国の暗躍も…!

2019年2月13日(水)12時0分 tocana

イメージ画像:「gettyimages」より

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 MIT(米マサチューセッツ工科大学)の研究いわく「嘘は真実よりも早く、広範囲に広がる」とのことだが、前編に引き続き、2018年に話題となったフェイクニュースを中心に見てみたい。


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6.「ロシアのスパイがホワイトハウスに入り込み、トランプ大統領と一緒に写真に写りこんでいる」


 2018年7月、FBIはロシア国籍のマリア・ブティナを米国におけるスパイ活動容疑で起訴した。


 そのニュースの発表直後、ニュースメディア企業「Mic」のライター、エミリー・シンガーは「トランプが大統領執務室で訪問者と撮った写真に、そのロシアスパイ、マリア・ブティナが写りこんでいる!」という画像をツイッターに投稿した。それ自体は、2017年5月にロシア外務省のトップがホワイトハウスを訪問した際に撮影されたものである。


 シンガーのツイートは4,000件近くのリツイートを集め、また数多くのフォロワーを抱える有名ツイッター・ユーザーが、この情報を拡散した。しかし結果として、この赤い丸で囲まれた女性はマリア・ブティナではなかった。情報筋によれば、この女性はNSC(国家安全保障会議)のスタッフで米国人であるという。


 このシンガーのツイートはしばらくして削除されたが、「トランプ大統領の執務室に、ロシア人スパイが入り込んでいる」の一節は、都市伝説として残った。


7.フロリダ動物園の従業員が、ワニを強姦しようとして殺された


 カナダの「World News Daily Report(WNDR)」紙は、体長4メートル弱の巨大なアリゲーターを強姦しようとして、動物園の飼育員が殺されたと報じた。


 その報道内容は、ジミー・オルセン(24歳)が1匹のアリゲーターを強姦していた時に、後ろから別の大きなアリゲーターに攻撃されたというものだった。オルセンは水中に引きずり込まれ、溺死したという。事件は早朝に起き、他の従業員が数時間後、アリゲーターの住む池でバラバラ死体を見つけた——というものだ。


 これはもちろんフェイクニュースだったのだが、なぜかソーシャルメディアのユーザーによってあっという間に拡散された。ちなみに「WNDR」紙は風刺的な偽のニュースを得意とするサイトらしい。


 さてこれがフェイクニュースだとすると、この写真に写っている人の良さそうな男性は誰かという疑問が湧いてくる。実は、この人物は実在するスコットランド人男性で、ワニ好きが高じて(フロリダではなく)スペインに移住し、当地の動物園で働いている人物である。もちろん、彼はワニを強姦などしていないし、殺されてもいない。勝手に写真を掲載されてしまったこの男性こそ、真の被害者といえるだろう。


8.アイスランドは男性が不足しているためアイスランド人女性と結婚する移民に月額5,000ドルを支払う


 2016年頃から、アフリカ地域の信頼できないサイトで、「北欧の国アイスランドでは男性が不足しているので、アイスランド人女性と結婚すれば毎月5,000米ドル(約55万円)もらえる」とのニュースが広まった。この噂のはじまりは、「The Spirit Whispers」と呼ばれるブログだったと特定されている。


 アイスランドのウェブサイト「The Reykjavik Grapevine」によると、このニュースが広まってから、アイスランド人女性のフェイスブックには、見知らぬ外国人男性からの友だちリクエストが急増したという。


 しかし、最新の人口データによるとアイスランドには十分な数の男性がおり、決して不足してはいないのだ。アイスランド政府は性別に関係なく、アイスランド人と結婚するために、移民に補助金を提供することはないと否定している。


 北アフリカのある国でアイスランドのビザを扱う大使館は、この制度に参加しようとしている男性からの問い合わせにうんざりし、公式Facebookで噂を否定する声明を発表した。


 さて、次の2つは人の命が奪われた、より悪質なフェイクニュースだ。


9.台風被害時の関空での中国との対応の差を批判され台湾領事が自殺


 昨年9月、台風21号の襲来で関西国際空港では、外国人を含む多くの利用者が立ち往生した。するとSNSで「中国の総領事館は関西空港までバスを派遣し、中国人旅行者を素早く救出したのに、台湾は台湾人旅行者に対して何もしなかった」という情報が拡散された。


 その結果、ネットユーザーから台北弁事処(台湾領事館)に対して批判が相次ぎ、翌日、駐大阪代表が遺書を残して死を選んだ。


 しかし、SNSで広まった噂はフェイクニュースだったのだ。混乱を避けるため、関空が手配したバス以外は空港に入ることを許されず、すべての乗客は空港手配のバスで関空を出た。拡散された情報では、バスに乗る中国人乗客たちの写真もあったが、それは関空手配のバスだったという。


 このフェイクニュースは、台湾を陥れるために中国側から意図的に拡散された可能性もあるらしい。時にフェイクニュースが、人を殺すことさえあるという事実を知らしめる出来事となった。


10.インドでフェイクニュースによって5人がリンチされ殺害される


 近年のインドでは、児童拉致の噂がSNSで拡散され、それが殺人につながる事件が頻発している。2018年6月、インド北東部アッサム州で「よそ者が児童誘拐をしている」という噂が流された結果、男性2人が集団リンチを受けて死亡する事件が発生した。


 インド西部マハーラーシュートラ州でも、誘拐犯グループに関する注意情報がSNSで広がり、それを信じた住民が暴徒化し、無実の男性5人を殺害した。


 この事件ではSNSで「児童誘拐犯の一味が村の子どもを襲いに来た」という情報が次々と広まり、多くの人が村に駆けつけた。警察は暴徒と化した住民の制圧を試み、夜間外出禁止令を出し、さらに警察の特別部隊も加わる大きな暴動騒ぎとなったという。


 実は、これら一連の事件の発端は、拡散されたあるビデオだったと言われている。映し出されるのは、オートバイに乗った2人の男が子どもたちに近づき、あっという間に子どもを抱き上げ、走り去るというシーンだ。


 しかし、このビデオは本物でないばかりか、インドで撮られたものでもなかった。実際はパキスタン製で、子どもの安全教育のために児童に見せるために作られたものだったのだ。


 問題のビデオは当初、チャットアプリ「WhatsApp」で広まったが、テレビが噂を取り上げ、信頼性を高めてしまったことで住民のパニックがさらに激しくなっていった。そしてインド各地で、見知らぬ人や旅行者、地域の言語を話せない人を攻撃する事件が多発する結果となった。


 現地の警察は、「ソーシャルメディアで噂が広まり始めたら、それを完全に止めるにはしばらく時間がかかる」と語る。そして、このような噂に惑わされないよう人々を教育するためにパンフレットを配布、子どもの誘拐に関する偽りのメッセージを信じないよう、強く求めている。


 また、インドの多くの州で警察は、拡散中のメッセージやビデオをリアルタイムで監視するためのソーシャルメディア管理室を設けている。さらにインド政府は、嘘の拡散をシステム的に食い止めるため、Facebook傘下にある「WhatsApp」で、メッセージ転送可能なグループ数に制限をかける試みも始めた。
(文=三橋ココ)


※イメージ画像:「gettyimages」より

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