「夫と妻、どちらかに介護が必要になったとき」を事前に話し合うことが大切。「介護は妻の役割」と思い込まない

2024年5月26日(日)12時30分 婦人公論.jp

人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。

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誰に介護をしてもらうか


「看取られるはずを看取って寒椿(かんつばき)」

これは、故・永六輔さんが、最愛の奥さんを亡くされたときに詠んだ句です。

結婚している男性に「介護が必要になったとき、誰にしてもらいますか? または誰にしてほしいですか?」と質問すると、ほとんどの男性は「妻」と答えます。

長年連れ添ってきた妻に自分の身のまわりのことをしてほしいと思うのは、夫としては自然の感情でしょう。

しかし、「妻が夫の介護をするのは当たり前」と考えるのはいかがなものか……です。

日本では統計的に女性のほうが長生きですし、家のことはたいてい奥さんがやってきたことからすれば、たしかに介護に適しているのは男性よりも女性となりそうです。

でも、妻が夫よりも元気でいるという保証はありません。

自分が介護してもらう可能性もある


そこで考えるべきは、「夫と妻、どちらかに介護が必要になったとき」という「もしも」です。

危機感とまでは言いませんが、可能性がゼロではない「Xデー」について、きちんと話しあう機会を持つのは大切です。

夫とふたり暮らしの65歳の女性は、日頃から、夫の介護は自分がするものと考えていました。夫が、彼女より一回り年上だったこともあります。

しかし、ある出来事をきっかけに、その考えはガラリと変わりました。

ある日、彼女が自転車で買い物に行く途中、車と接触。幸いケガは軽かったものの、ドクターから「ほんのちょっとでもズレていたら、歩けないほどの大ケガをしていたかもしれない」と言われたのです。

そのとき、「もし私が寝たきりになったら、夫はどうなってしまうのだろう」という思いと、「自分が介護してもらう可能性もある」という思いが交錯したのです。

「介護は妻の役割」という認識が変わった


そこで、ケガが回復すると、夫と一緒に役所に出向きました。

どちらかに介護が必要になったとき、在宅ではどんなサービスが受けられるのか、介護認定を受けるまでの期間はどれくらいか、また入所するならどんな施設があるのか、それはどこにあるのか……などを調べるためです。

何度か足を運んで、「これなら、いざというときにも大丈夫」という準備と心構えができたといいます。

その間には、さまざまな夫婦の会話もあり、また、夫のほうも「介護は妻の役割」という認識が変わり、絆がより強くなったと感じたそうです。

婦人公論.jp

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