舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』舞台手話通訳付き公演満員御礼!
2025年5月28日(水)20時11分 ジェイタメ
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』では、聴覚に障がいのある方にもお楽しみいただけるよう、2025年5月に2回、舞台手話通訳付き公演を実施。両公演とも舞台手話通訳対象席は完売しました。
【対象公演】
5月17日(土)12時15分
5月24日(土)12時15分
舞台手話通訳者:田中結夏(1幕)、江副悟史(2幕)
手話監修:森田明
コーディネート:株式会社momocan、となりのきのこ、株式会社エンタメロード
■サポート内容について
ロビーや客席で手話通訳スタッフがご案内をサポートし、場内アナウンスの際も手話通訳を実施。字幕機器の貸し出しスペースも設け、筆談ボードやコミュニケーションボードも追加設置して対応しました。
本番中は、舞台に向かって左側のエリアに舞台手話通訳対象席を設け、客席エリアに設置した台の上で舞台手話通訳を行いました。通訳者はキャストが着用している衣裳と同じグリフィンドールのローブを着用。緻密に構成された舞台手話通訳で、聴覚に障がいのあるお客様にも舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の世界を臨場感たっぷりに堪能していただきました。
また、舞台手話通訳対象席の一部に設けた“抱っこスピーカー対象席”では、持参いただいたスピーカーを音響機器と接続し、音の振動も楽しんでいただきました。
カーテンコールでは、ハリー・ポッター役の吉沢悠が手話で通訳者を紹介。そして、最後は出演者全員で、手話で挨拶しました。
■舞台手話通訳について
本作の舞台手話通訳付き公演の実施が決まったのは2024年7月。その後舞台手話通訳を務める田中結夏さんと江副悟史さん、手話監修の森田明さんと打ち合わせを重ね、台本をお渡ししてから約3か月の準備・稽古を経て、本番を迎えました。
舞台手話通訳は、講演会等の通常の手話通訳とは表現方法が異なり、登場人物の性格や雰囲気、演技を手話通訳に反映させることが求められます。ただ台詞を手話で表すだけだと伝わらないため、観客が感情移入できるような表現の工夫が必要なのです。すべての台詞を訳すと時間が足りない場合は、複数人のシーンにおいて、その中の1人のセリフの通訳に絞りながら、話している相手のセリフを受けているようなリアクション等も取り入れる「ミラー通訳」という手法を使うことも。
また、役の名前についても、指文字で表現するだけではなく、役によってはサインネーム(手話で表現するあだ名)を決めています。例えば、ハリー・ポッターは額の傷を表すような仕草がサインネームです。主要な人物のサインネームを決めるのにも一苦労でした。さらに本作では、魔法や、架空の物の名前が多数登場するため、それらの表現をどのようにするかなど、検討を重ねました。5月に入ってからは通し稽古を何度も行い、本番に備えました。
観劇したお客様からは、「臨場感があって楽しめた」「字幕機器だけだと感情を追えないので、舞台手話通訳のおかげで感情移入できた」などの感想が寄せられました。
今後も、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は多くのお客様に楽しんでいただけますよう、鑑賞サポートに取り組んでまいります。
■舞台手話通訳者 コメント
田中結夏(舞台手話通訳者・手話通訳士・俳優。これまでにミュージカル「SIX」、ミュージカル「アニー」、等、20作品以上の舞台手話通訳を担う)
本作品の舞台手話通訳付き公演は日本では前例がないため、それぞれのキャラクターのサインネーム(手話で表現するあだ名)や、劇中で使用される固有名詞、呪文等のより良い表現を求めて、ペアである江副さんや手話監修の森田さんと共に何度も検討を重ねました。お客様の「ハリー・ポッター」シリーズの知識量には個人差があるので、マニアの皆様も初見の皆様にも楽しんでいただけるような翻訳のレベル感をチーム内で一致させることも重要なポイントでした。
作品や出演者の皆様を好きになっていただきたい一心で通訳しているので、お客様のこれからの観劇体験に繋がるきっかけになればとても嬉しいです。2025年に入ってからは舞台手話通訳付き公演をご覧くださるお客様の人数自体が圧倒的に増えたことを実感じ、背筋の伸びる思いでいっぱいです。引き続き、より良い舞台手話通訳のかたちを追求し、お客様に心から作品を楽しんでいただけるようなアクセシビリティとなるよう、一つ一つ課題と向き合ってまいります。
江副悟史(俳優。日本ろう者劇団代表。株式会社エンタメロード代表取締役)
「ハリー・ポッター」はファンが多いので、呪文はどう表現するのか、それぞれのキャラクターをどう演じていくのか、本作品ならではの名言(教訓)もきちんと解釈を理解し、どう手話で表現していくか、田中さんと監修の森田さんと一緒にかなり悩みました。準備がとても大変だったので、終えた時はまず、「はぁ・・・楽しかったぁ」と思いました(笑)。
お客様から多くの拍手をいただいた時は、舞台関係者皆の、「ろう者のお客様にも楽しんでもらいたい」という思いが一つの形になったことを実感し、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
今年、大きな舞台で相次いで舞台手話通訳が実現し、ろう者のお客様から「楽しかった!」「手話で見て楽しめるっていいね!」などの言葉をいただけて、幼い時、「(ろう者が)もっと楽しめる時代がいつか来ると信じて」と励まされた記憶を思い出しました。
まだ障がいのある観客が100%楽しめる時代とは言えないと思いますが、ようやくスタートラインに立てたかなと思います。
■通常公演時の鑑賞サポートについて
舞台手話通訳付き公演以外の公演でも、下記の通り鑑賞サポートを実施しています。
・字幕機器の貸出をしております。事前に問い合わせフォームよりお申し込みください。
・筆談ボード・コミュニケーションボードを設置しております(チケットボックス、ロビーインフォメーション、公式ショップ、カフェ)。
・ 各階にバリアフリートイレがございます。1階のバリアフリートイレはオストメイトに対応しております。
・ほじょ犬(盲導犬、聴導犬、介助犬など)を伴ってのご来場およびご観劇が可能です。事前にホリプロチケットセンター(03-3490-4949)までご連絡ください。
・車椅子をご利用の方もご来場いただけます。事前にSプラス席のチケットをお求めの上、ホリプロチケットセンター(03-3490-4949)までご連絡ください。
・台本の貸し出しを開場時間から開演時間まで行っております。
数に限りがございますので、事前に劇場(03-3589-2277)までご連絡ください。電話リレーサービスからの着信にも対応させていただきます。
■舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』について
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ.K.ローリングが、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーンと共に舞台のために書き下ろした「ハリー・ポッター」シリーズ8作目の物語です。小説の最終巻から19年後、父親になった37歳のハリー・ポッターとその息子・アルバスの関係を軸に描かれる新たな冒険物語は、世界中で多くの演劇賞を獲得し好評を博しており、国内でも第30回読売演劇大賞の選考委員特別賞、第48回菊田一夫演劇大賞を受賞するなど高い評価を獲得しています。
【公演概要】
[日程]上演中〜2025年10月31日(金)
[会場]TBS赤坂ACTシアター
[上演時間]3時間40分 ※休憩あり
【主催】TBS ホリプロ ATG Entertainment
【特別協賛】東海東京フィナンシャル・グループ
With thanks to TOHO
In association with John Gore Organization
【舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式Webサイト】
https://www.harrypotter-stage.jp