世田谷・渋谷区が国保加入の全員に「資格確認書」…マイナ保険証の有無問わず、厚労省方針と食い違い
2025年5月28日(水)16時16分 読売新聞
記者会見で、区の国民健康保険の加入者全員に資格確認書を送ると説明する世田谷区の保坂区長(26日、東京都世田谷区で)
マイナンバーカードと健康保険証を一体化させた「マイナ保険証」を巡り、東京都世田谷区と渋谷区は、マイナ保険証の有無にかかわらず、両区の国民健康保険に加入する区民全員に保険証の代わりとなる「資格確認書」を送付することを決めた。
厚生労働省は資格確認書について、マイナ保険証を持っていない人のほか、来年7月までの暫定的な対応として75歳以上の高齢者らに送る方針を示している。両区の対応はこの方針と食い違っており、厚労省の担当者は「事実関係を把握した上で、必要な対応を検討したい」と話している。
世田谷区は、約16万人いる区の国民健康保険加入者全員に9月中旬に資格確認書を送る方針だ。同区によると、マイナ保険証の登録の有無を識別できるシステムの開発が必要なことや、マイナカードの電子証明書の有効期限が切れる問題なども考慮し、国民健康保険の加入者が医療保険を適切に受けられることを優先して全員に送付することを決めたという。
世田谷区の保坂展人区長は26日の記者会見で、「医療を受ける権利を損ねてはならない。区の対応はマイナ保険証の普及を妨げるものではない」とした上で、「制度を作る時は特に大規模自治体がどういう事務を抱えるのか、国はよく話を聞くべきではないか」と政府の対応に注文をつけた。
一方、渋谷区も7月中旬に、対象となる区民約4万6000人に発送を始める予定だ。政府方針と異なる運用を行うことについて、渋谷区国民健康保険課の担当者は「システムのトラブルで医療機関で受け付けができない可能性があるので、誰でも保険が使えるようにしたい」と話している。