すごい大人は幼少期にやっていた!2秒後からできる「情操教育」とは?|教えて保育士さん
2021年6月20日(日)10時0分 マイナビ子育て
“情操教育”という言葉を耳にしたことはあっても「早くから習い事をさせること?」「芸術に触れさせればいいの?」など内容を詳しく知っている方は多くないようです。実は情操教育はもっと身近で、そして思っているより大切です。情操教育のメリットや、家庭で簡単にできる活動、おすすめの習い事などを紹介します。
情操教育とは? 4つの分野で何が育つ?
近年、STEAM教育や非認知能力を育てる教育などが注目されていますが、実は情操教育もとても大切です。
中央教育審議会の答申でも、『急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力』の中でも『豊かな情操や規範意識、自他の生命の尊重(中略)などは、どのような時代であっても変わらず重要である。』とあります[*1]。—————————※STEAM教育:Science, Technology, Engineering, Mathematics(科学・技術・工学・数学)にArt(芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等)を加えたものを横断的に学ぶ教育手法。
情操教育ってどんな教育?
「情操」とは、『感情のうち、道徳的・芸術的・宗教的など文化的・社会的価値を具そなえた複雑で高次なもの』とあり[*2]、簡単に言うと、家族や他者への愛情や敬う気持ち、美しいものに感動する豊かな心のこと。
情操教育とは、人とのかかわりや芸術・宗教などの文化に触れ、さまざまな経験をすることで豊かな心を育む教育のことです。
1. 科学的情操教育|好奇心と解決力を育む
「なぜ夜になると暗くなるんだろう?」「どうして海は青いんだろう?」など、子どもの頃に疑問に思った記憶はありませんか? 3歳頃になると「なんで?」「どうして?」と質問し大人を困らせる……なんて話もよく聞きますよね。科学的情操教育は、このような子どもの疑問を大切にし、「答えを知りたい」という子どもの知的好奇心を満たすことで、”学ぶことが楽しい”と感じられるようにしていく教育です。
2. 情緒的情操教育|命を大切にする心を育む
情緒的情操教育とは、自分や家族、周りの人々だけでなく、動物や植物と触れ合うことで、命の尊さや愛情を育てる教育です。
3. 道徳的情操教育|道徳心や社会性を育む
勉強がどれだけできても、社会のルールやマナーが守れなかったり、人を傷つけるような言動をしてしまったりということがあると、どうしても生きづらさを感じてしまいますよね。道徳的情操教育は、遊びを通してルールや思いやりの心を育てる教育です。
4. 美的情操教育|美しさに感動する心を育む
美的情操教育とは、「お花がきれいだね」「ピアノの音が心地いいね」など、美しいものを素直に美しいと感じたり、感動したりする心を育てる教育です。さまざまな芸術や景色などに触れることで想像力を養い、自己表現をする力も育みます。
情操教育はいつから行う? いつまでにやるべき?
情操教育を行う時期や年齢については、子どもの成長には個人差があるため、一概に「何歳から始めるのがよい」と言うことはできません。一般的には、言葉がある程度理解できるようになる3歳前後からということが多いようです。しかし、幼児期から幼少期に行えば効果があるとされているため、10歳前後までに行えるようにするといいでしょう。
家庭でできる! おすすめの情操教育15選
情操教育は、知育や読み書き計算などの早期教育と違い、やるぞ! と意気込まなくても、日々の子どもとの生活を楽しむ中で自然とできることも多いです。具体的にはどのような活動をすればよいのか、幼稚園で行っている活動も含めて紹介します。
1. 絵本の読み聞かせをする 2. 散歩をする 3. スポーツをする 4. 歌を歌う 5. 楽器を演奏する・触れる 6. 手遊びをする 7. 音楽を聴く 8. 植物を育てる 9. 生き物を育てる10. 季節の行事を体験する11. 旬の食べ物を食べる12. アウトドアを楽しむ13. 美術館に行く14. コンサートに行く15. 冠婚葬祭に参列する
絵本の読み聞かせをする
絵本を読み聞かせることにはさまざまな効果がありますが、情操教育の視点から見ると、・想像力を膨らませる・初めて見る物に興味をもつ・親子の愛着関係が形成されるなどの効果があります。
また、大人が抑揚をつけて読むことで、音の高低や言葉のリズムを感じ、音楽的なセンスも身につきます。
身体を動かす
スイミングや野球などのスポーツをするのも良いですが、散歩も立派な運動です。散歩では、・景色の綺麗さ・自然事象への興味・動物や植物とのかかわり・身近な人々とのふれあいなど、さまざまな情操教育ができます。
また、集団でするスポーツでは、・ルールを守ることの大切さ・忍耐力・達成感などが養われます。
歌を歌ったり音楽を聞いたりする
音楽というと、習い事をしなくてはいけないと思うかもしれませんが、家でできることもあります。・ママやパパが歌う・音楽を流す・ピアノやギター、タンバリンや鈴などさまざまな楽器を大人が演奏する・楽器を子どもに触らせてあげる・手遊びや触れ合い遊びをするなども効果的です。
植物や生き物を育てる
お花や野菜を育てたり、メダカや犬などの生き物を飼育したりするのもおすすめです。育てていく中で、赤くなったトマトを収穫して食べたり、さなぎが蝶になったりなどの喜びを味わうことができます。ときには、枯らしてしまったり生き物が死んだりという経験もあるでしょう。命の尊さ感じたり、心が揺さぶられたりと、子どもはさまざまな情操を学ぶことができます。
季節の行事や旬の食べ物を体験する
正月、節句、七夕など、日本にはさまざまな行事がありますよね。その中には、海外が起原のものもあります。さまざまな行事を体験することで、日本や海外の文化に触れ、興味をもち、子どもの世界は広がります。
また、旬の食べ物を意識することは、四季がある日本ならではの習慣。食べ物を通して季節の移り変わりを感じることもできますね。
山や海、川などの自然に触れる
家の中にいてはできないこともあります。それは、本物の自然に触れること。幸い、日本は山も海も川もあり、ちょっと遠出をすればすぐに触れられますよね。壮大な景色や自然の恐ろしさ・不思議さに触れることで、周りに出来事に興味をもったり好奇心が芽生えたりします。
美術館や演芸を観に行く
少しハードルが高いかもしれませんが、本物の芸術に触れることもおすすめです。子どもの興味のある絵本の美術展や、キャラクターのコンサートでもいいですよ。
冠婚葬祭の行事に参加する
法事やお墓参りなどは、一見すると子連れでは大変なだけ……と思うかもしれませんが、実は情操教育のいい機会。成人式などや結婚式などの慶事も含め、自分の生い立ちを振り返ったり、先祖に思いをはせたり、生と死について考えたりと、冠婚葬祭の行事から学ぶことは多いです。
情操教育におすすめの習い事は? やってはいけないことって?
家庭ではなかなかさせてあげることが難しい体験は、習い事に頼るという手も。絵画やリトミックなどの芸術、スイミングやバレエなどのスポーツ、英会話など異文化に触れる習い事もいいですね。最近では、プログラミング教室なども出てきています。
ただし、習い事をさせる際にひとつだけ注意してほしいことがあります。それは、子どもが本当に楽しんでいるかということ。親が子どもにやってほしくて押しつけていては、情操教育どころか、日頃の親子関係にも悪影響が生じるかもしれません。
まとめ
情操教育とは何か、なんとなく理解していただけたでしょうか。家庭でできるものもたくさんあります。少しずつ取り入れて、お子さんの豊かな心を育みましょう。大人のわたしたちも、ちょっぴり心が豊かになるかもしれませんね。
(文:mamaco)
※画像はイメージです
参考文献[*1] 『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現〜(答申)』(中央教育審議会、2021)より引用[*2]『広辞苑』(岩崎書店)より引用[*3]『保育所保育指針解説』(厚生労働省、2008)より引用[*4]『幼稚園教育要領解説』(文部科学省、2008)より引用