「離乳食は全部手作り」「テレビは見せない」完璧な育児を目指していた安藤夫妻。「以前は白砂糖も使わないようにしていたけど…」

2021年6月22日(火)11時15分 マイナビ子育て

世の共働き夫婦は、どう家事を分担して、どんな方針で育児をしているんだろう。うまくこなしている夫婦にインタビューして、その秘訣を探りたい。そんな想いから、スタートした企画。それぞれの家庭のルールやこだわりを7つにまとめ、その夫婦の価値観を紐解いていきます。

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【左】安藤修二さん(仮名/33歳/技術職)【右】安藤華さん(仮名/32歳/個人事業主/クリエイティブ・教育)

高校の部活の先輩・後輩として知り合ったふたり。高校時代に一度交際して別れたものの、8年後に再会。その後結婚し、現在1歳の長男を保育園に通わせながら、修二さんは技術職の会社員、華さんはフリーランスでデザインや編集ディレクター、大学講師として働いている。

修二さんは長男の誕生後、1年2ヶ月の育休を経て、現在時短勤務中。趣味は料理で、家族の食事は基本的に修二さんが作っているという。

こう聞くとうらやましい限りだが、修二さんの育休はふたりでよく考えてのことだ。華さんは妊娠中、「生き地獄だった」というほどつわりがひどく、本来であれば入院が必要なほどだった。しかしコロナ禍でそれが叶わず、精神的にも追い詰められたそう。夏には熱中症が重なって意識が朦朧とすることすらあり、修二さんも病院に送り迎えをしたり、スイカなどごく限られたものしか食べられなかった華さんのために買い物に走ったりと懸命にフォローした。夫婦二人三脚での育児は、この妊娠期間から始まっていたのだ。

産後も苦労は続く。子どもが熱を出しやすく、保育園に登園できないことがほぼ毎月、数日間あるという。

「うちは夫がなんでもやってくれるほうなので、私が家事育児と仕事の両立をしんどいと言ったら贅沢だと思われるのではないかと、抱え込んでしまった時期もありました」と華さん。

家事育児と仕事への向き合い方は人によって違う。夫が積極的に家事育児を担ってくれるからといって、妻に余裕があって悩みがないということにはならないし、つらくなることだって当然ある。

夫婦ふたり、真剣に育児に向き合い、ときに失敗したり、つまずいたりしながら日々アップデートしてきたという現在のセブンルールを聞いた。

7ルール-1 育児に関する情報はシェアし合う

第一子の育児は、誰でもどうしたらいいかわからず、迷うものだ。SNSやネットニュースで育児に関するさまざまな情報が飛び交い、何を信じたらよいかわからなくなることもある。

そこで安藤家では、目についた情報は夫婦でURLを送って共有し、何を選択するか一緒に考えているという。

「保育園の先生から言われたことはもちろん、友人知人から聞いた話やニュース、SNSで知ったこと、育児本で読んだことなどは、LINEや口頭で共有するようにしています。育児ハックなどは同じ知識があるとお互いの負担を減らせますし、万が一子どもが熱性けいれんを起こしたときはどうするかなど、緊急時の対応も共有することで親としてのレベルを高め合っています」(華さん)

離乳食や保育園、育児に関するニュースなど目についたものはなんでも共有

華さんは主に授乳中にスマホで情報を検索。「授乳は子どもの目を見てコミュニケーションをとりながらするといいと聞きましたが、授乳回数が多く時間も長いので、子どもが目を閉じて飲んでいる時は、情報収集の時間にすることにしました」と華さん。修二さんは仕事の移動中などに目を通し、自分でも気になったものがあれば華さんに送っている。

「全部読まなくてもいいという前提で、気軽に目についた情報をすべて共有しています」と修二さんも話してくれた。

7ルール-2 家庭のことはなんでも話し合って決める

情報共有した後は、必ず話し合って方針を決めるというのが安藤家のルールだ。

教育方針などはもちろん、離乳食の進め方や家庭のお金で買うものやインテリアなど、なんでもふたりで相談して決める。内容が多かったり重要だったりして時間が必要なときは、家族会議を開いているという。

子育てに関する本や雑誌などが豊富な安藤家。これらを参考にしながら話し合うことも多いそう

たとえば、テレビ。共働きで園に預ける時間も長い分、一緒にいるときはしっかり子どもと向き合おうと決め、生まれてから一度も家で子どもにテレビを見せていないそう。

「テレビをどれだけ見せたか気になったり、テレビ台の周りにベビーゲートで囲ったりするくらいなら、いっそテレビはやめようということになりました。ふたりとも子どもが生まれるまでは結構テレビを見ていたのですが、なければないで案外気になりません」(修二さん)

テレビの配線はつなげず、捨てるつもりで放置していた。しかし最近はテレビなし生活を見直す話し合いもしているそう。

「子どものイヤイヤ期が始まり、思うようにならないと暴れて大変で……。授乳すると機嫌が良くなるのですが、卒乳も考えたいので、教育番組などで子どもの気が紛れるなら少しは見せてもいいのかも、と話し始めています」(華さん)

理想はあっても、「自分たちの心がもたないなら続けても意味がない」と修二さん。

最近では子どもがスマートフォンで自分の動画を見たがるため、夫婦で相談し、家にいるときはスマホを引き出しの中にしまうことにしているそう。これも状況に応じて変わる可能性があるが、「そのとき、子どもや自分たちに一番いいと思うことをふたりで決めています」と華さんは言う。

7ルール-3 子どもにはやりたいことを好きなだけやらせる

育児方針は、夫婦ともに納得していないとうまくいかないことが多い。安藤家の3つ目のルールはまさにそうで、どちらかひとりだけが決めても、相手が同意していないとストレスになってしまうだろう。

「モンテッソーリ教育的な考え方で、息子には多少大人にとって都合が悪いことでも好奇心の赴くままに自由に遊ばせています。危険なことや、他の人の迷惑になることだけは止めていますが、家の中で書類をびりびり破いてしまったり、ティッシュを箱から全部出してしまったりしてもOK。散らかっても『後でまとめて片付けよう』と覚悟を決めてしまえば、ストレスは少ない気がします」(華さん)

修二さんの枕カバーを自分ではがし、被って歩き回っている息子くん。こんなやりたい放題も夫婦で納得していれば、ストレスは少なくすむ

書類関係はすべてデータでも保存しているため、破られてもリスクはない。ティッシュも箱から出されたら、そのまま袋に入れて使用する。

園からの帰り道、子どもが工事現場で働く車を長時間観察したり、公園に咲く雑草をつんで回りたいと言われても、修二さんが家で夕食の支度をしてくれているため、華さんは根気強く子どもにつきあえるという。

余裕があるようだがそうではなく、おもちゃを好き放題広げさせている分、リビングは就寝前に片付けるまで、おもちゃで溢れかえっているそう。

「洗濯物をソファの上に置きっぱなしにしている間に、息子がいろんなところに運ぶのでしっちゃかめっちゃかです(笑)。ただ、息子にできるだけ興味のいくままに遊ばせるとふたりで決めているので、そこはまあよし、としています」(修二さん)

7ルール-4 家事・育児の負担はなるべく均等に

安藤家では家事・育児は夫婦のタスクであるとして、できるだけ均等にしている。

「息子がママ、ママと言ってくるので、私が子どもの世話をしている間に、夫が家事をしてくれています。おむつ替えはふたりともして、料理は夫、子どもに食べさせるのは私。子どものお風呂は夫が入れて、私が上がった後のケアをします。掃除はリビングが夫、トイレと洗面は私で、洗濯は夫なので、家事だけを考えれば夫のほうがしてくれていると思います」(華さん)

子どもを第一に考えつつ、合理的な家事・育児分担をしている安藤夫妻。ちなみに息子くんが歩くようになると、うんちのおむつ替えの時暴れて大変になってしまったため、お風呂まで連れて行ってシャワーで洗い流す方法に変更。これもふたりで話し合って決めたそう

夫婦で家事・育児を負担する、というと、家事分担だけを平等にするケースも多い。しかし子どもの相手をする時間も計算に入れておくのは、本当の平等を考えるなら不可欠だろう。

安藤夫妻の場合、イレギュラーな事情にもフレキシブルに対応できるよう、役割分担はしても「掃除は必ず夫」など属人化はしないようにしているとのこと。家事や生活まわりでも、日々変化する育児の状況に合わせて常に夫婦で話し合い、改善するようにしているそう。

「最近では、私がご飯を食べていると子どもの『かまって』がすごいので、私はキッチンの奥に入って、立って食べるようになりました。そのほうがずっとゆっくり食べられます」(華さん)

料理は修二さんの担当で、以前は「子どものために」とすべて手作りで白砂糖を使わずに作っていたが、今は時短を考えてコープのミールキットを愛用。

「家事は宅配を活用して時短していますが、お風呂掃除などは行き届いていないと思います。ただ、お互いにやれるだけの負担はしているので、ある程度は仕方ないですね」と修二さん。

完璧を目指さないのも、共働き夫婦の家庭円満の秘訣だろう。

7ルール-5 お互いのスケジュールと仕事の状況を共有

子どもの突然の発熱で園に迎えに行かなければいけないとき、基本的には華さんが対応しているが、打ち合わせなどで出られないこともある。そこで、スケジュール共有アプリの「TimeTree」を使って、仕事の予定を共有し、どちらが対応するべきかすぐにわかるようにしているという。

仕事の予定もTimeTreeで共有。作業予定や締切を見える化することで、お互いの忙しさをなんとなく把握することができる

「以前は仕事の予定と子どもの予定を分けて管理していたのですが、TimeTreeにどちらの予定も一緒に入力することにしました。そうすると、スケジュール管理がスムーズにできますし、仕事の納期なども夫と共有できるので便利です。どちらかの仕事が忙しいときには、家事の役割分担を変えたりして、フォローし合えるようになりました」(華さん)

おもちゃのサブスクも利用しているため、その交換日といった家族の予定も一括で管理し、お互いに声かけをすることで、予定を忘れることも防いでいるそうだ。

7ルール-6 【夫】急に仕事を休んでも困らないように調整しておく

修二さんは1年2カ月の育休を取得し、今も時短勤務で働いている。理解のある職場であることは間違いないが、子どもの病気などで急に仕事を休まなくてはならないときもあるため、日頃から周りのメンバーへの業務の共有や根回しを徹底しているそう。

ほぼフルリモートで勤務しているという修二さん。同僚と顔を合わせて話す機会が少ない分、スムーズにタスク共有ができるように下準備を怠らない

「急に休んでも仕事が止まらないよう、自分の仕事の手順書を作って他の人に共有するとともに、仕事を効率化して前倒し進めておくようにしています。細かいタスクはマクロを書いたりプログラムを書いたりして自動化しているのですが、同時に他の人のタスクも自動化しておくことで、万が一のときにサポートしてもらっても同僚に負担がかかり過ぎないように意識しています」(修二さん)

日頃の心掛けにより、今のところ急な対応にも気持ちよくサポートしてもらえているそう。

特に子どもが体調を崩しやすい場合、仕事で困らないようお互いに日頃から調整しておくことが重要だろう。

7ルール-7 【妻】 夜は寝かしつけと同時に寝て、仕事は早朝から

「子どもが寝たあとの時間=大人の自由時間」としている人は多いだろう。しかし、そうは考えないのが華さんのルールとなっている。

「以前は寝かしつけをしたあとに仕事をしていたのですが、子どもが寝そうで寝ないときにイライラしてしまったり、やっと寝たと思って立ち上がったときに子どもを起こしてしまったりして、ストレスになりやすいんですよね。一緒に寝落ちしてしまって焦るのも嫌なので、最初から夜は子どもの寝かしつけと同時に寝てしまうことにしています。20時〜21時くらいに子どもと一緒に寝ると朝は早く目が覚めるので、早朝に仕事の時間をとっています」(華さん)

寝かしつけをしたあとに無理に起きるより、しっかり寝て早朝4時や5時に起きたほうが仕事もはかどる。どうしても夜のうちにやらなければならない場合は対応するが、急ぎの仕事はできるだけ受けず、余裕のあるスケジュールで進行できるようにしているそう。

早朝に仕事を済ませたいが、最近は息子くんが4時台に起きてしまうことも……。こうしたイレギュラーな事態にも対応できるよう、スケジュールには余裕を持つようにしている

「平日は園に行ってくれると思って仕事の予定を立ててしまうと、子どもが熱を出して3日お休みしたときに、5日分の仕事を2日でこなさなければいけなくなります。最初のころにそれで痛い目に合ったので、スケジュールの立て方には気をつけています」(華さん)

彼らの7ルールを一言で言うと……?

安藤家のルールの根底には、小さなことでもすべて夫婦で話し合い、そのときの状況に応じてアップデートしていくという姿勢がある。

この「小さなことでも」というのが重要で、日々変化する状況に対し、あらゆる選択をふたりで考えて決めることで、育児という責任と苦労を分け合い、二人三脚で走っていくことができている。

「今でも子どものイヤイヤがずっと収まらなくて途方にくれたり、子どもの熱が何日も続いて仕事がたまってしまい家が回らなくなったりして、立ち上がるのもつらいような日もよくあります。そういうとき、『ほかのママはできているのに、どうして私はできないんだろう』と落ち込んでしまうんです」と華さん。

そんなときも修二さんに相談すると、「ひとりでがんばっている人も、完璧にできているわけではないはず。うちはうちのペースでやっていこう」と、励ましてくれるそう。

修二さんの育児休暇や時短勤務は、単に家事育児のタスクの分担のためだけでなく、夫婦の対話を深めることにも役立っているのだろう。にこやかに話すふたりを見ていると、日々話し合い、一緒に育児に向き合うことで、一歩一歩、親として成長しているように見えた。

(取材・文:中島 理恵、撮影:梅沢 香織、イラスト:二階堂 ちはる)

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