今や5人に1人が該当。HSPが持つ「4つの具体的な特徴」とは? 生きづらさを感じる時、自分自身ができること

2023年6月24日(土)7時7分 マイナビ子育て

様々な場面で敏感に反応してしまうため、人によっては生きづらさを感じ、ストレスをためやすいHSP(Highly Sensitive Person)。悩みや疲れがつのり、うつ状態などの二次的な症状へつながる可能性があります。HSPには具体的にはどんな特徴があるのでしょうか。生きやすくなるポイントも解説します。

(文:臨床心理士 大岡みほ/うららか相談室)

HSPの定義とは

HSPとは、Highly Sensitive Personの頭文字を並べたものです。とても繊細な人という意味で、アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士によって提唱されました。5人に1人が当てはまると考えられており、「繊細さん」という表現で日本でも広まりました。

HSPは心理学的な概念で、医学的診断名ではありません。でも、このところ「自分がHSPではないか」と医師に尋ねる人が増えているそうです。HSPの特徴は不安神経症や発達障害と似ている部分があるため、その違いについて説明をしてくれたり、相談に応じてくれる医療機関も増えています。

「HSPの4つの特徴」によって抱えやすい悩みとは?

それでは、HSPの特徴やストレスをためやすい状況について説明をしましょう。アーロン博士によると、HSPの具体的な特徴(DOES;ダズ、4つの特徴)として、以下の4つが挙げられています。

【1】Depth of prosessing(処理の深さ)

1つの刺激に対して、物事をより広く深く理解しようとします。いろいろな可能性に気付き、本質を見抜けるという利点がある一方で、考えすぎて疲れやすかったり、行動になかなか移すことができないかもしれません。

【2】Overstimulated(刺激の受けやすさ)

人が大勢集まっている場所などで、たくさんの刺激にさらされることが苦手です。サプライズで驚かされるような場面でもストレスを感じてしまうことがあるため、たとえ親しい友人と一緒だとしても気疲れしやすいでしょう。ちょっとした一言をいつまでも気にしてしまうなど、人間関係で悩むことも少なくありません。—————————関連記事▶︎HSPは「人嫌い」から抜け出せる?繊細で不器用な子供やパートナーにすべき4つのこと【心理カウンセラー解説】

【3】Emotional reactivity and high Empathy(感情的反応と共感力の高さ)

共感を生む働きを司る神経細胞・ミラーニューロンの活動が活発なため、他者の気持ちを察することが得意です。ただ、ニュースや映画などで悲しい場面や残酷な事実を知るなどしたとき、自分のことのように落ち込んでしまう可能性があります。

【4】Sensitivity to Subtleties(些細なことへの気付きやすさ)

音やにおい、感触などを敏感に察知します。小さな変化に気が付けるという点は活かすことができますが、あまりに気になることが多いと集中力の低下や疲労につながってしまうことがあります。—————————

※HSPは医学的根拠や診断基準のある概念ではありません。HSPと自己判断してしまうことは、類似性があるほかの精神疾患や障害などへの対応を見過ごしてしまうリスクがありますので、日常生活に問題を抱えている方は、医療機関の受診も検討することをおすすめします。

自分がHSP|つらさを軽減し、生活しやすくなる3つのコツ

HSPは生まれつきの個性、気質であって病気ではありませんが、その特徴の度合いによっては強いストレスや悩みとなってしまうことがあります。ご自身がHSPの場合に、以下のような点に気を付けて過ごすと良いでしょう。

① 一人の時間を大切にする

HSPの人は多くの場面で刺激を受けやすいので、予定を立てるときにはあらかじめ、一人になれる時間や場所を確保するようにしましょう。しっかりと睡眠と休息をとる必要があります。苦手な場所や人とはあえて距離を置くという選択も、ときには大切になります。

② 刺激から自分を守る

人が多く集まる場所や戸外が苦手でも、どうしても出かけなければいけないこともあるでしょう。そういったときには、ヘッドフォンや耳栓、サングラスなどを使用して受け取る刺激を和らげる工夫をしてみてください。身に付ける衣服や小物も安心できる素材を選ぶようにしましょう。自分に直接関係のない他者の感情や会話の内容に対しては、必要以上に共感しようとせず、「少し素っ気ないくらいでも大丈夫だろう」と考えてみるようにしてください。

③ 自分自身についてきちんと理解する

HSPは、深く物事を理解できる一方で、ストレスには弱いという特徴があります。そういった特徴をふまえて、気にしすぎる性格が悪いといった誤解で自尊心を低めるようなことがないように気を付けてください。場合によっては、HSPであることを周囲に伝えることで過ごしやすくなるでしょう。

(文:うららか相談室 大岡みほ/構成:マイナビ子育て編集部)

※写真はイメージです

この記事は「繊細で感受性が強い「HSP」への対処法|自分が/相手がHSP…楽になる方法とは【心理カウンセラー解説】」をもとに、一部抜粋・再編集されたものです。全文はこちらからご覧ください。

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参考文献エレイン・ℕ・アーロン、富田香里(翻訳)、『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』SBクリエイティブ、2008高田明和、『脳科学医が教える他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法』幻冬舎、2017イルセ・サン、『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016高田明和, 2020, 12個以上当てはまったら“超過敏”。HSP自己診断テスト, 幻冬舎plus|自分サイズが見つかる進化系ライフマガジン

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、専門家の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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