「岡山から福島へ、1人で祖父母宅を目指す小2の私。東北弁飛び交う特急『ひばり』で緊張していると、乗客が涙を流し...」(50代男性)

2022年7月12日(火)11時0分 Jタウンネット

シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Hさん(50代男性)

40年以上前、小学校2年生だったHさんは自宅のある岡山・倉敷から祖父母の家のある福島・郡山までたった1人で行くことになった。

幼い子供の1人旅、孤独な時間になると思いきや......。

<Hさんの体験談>

私は小学校2年生の時、母の出産に伴って夏休みを祖父母と過ごすため、当時住んでいた岡山県倉敷市から福島県郡山市まで1人で旅をすることになりました。

倉敷からは新幹線で東京に。上野からは、まだ新幹線がなかったので特急ひばりに乗車。小さな身体に大きなリュックを背負い、それこそリュックが歩いているように見える状態での移動でした。

東北弁が飛び交い、優しい雰囲気だった

親からは乗り換えの順番を詳しくノートに書いてもらい、駅員さんにも聞きながら、どうにか特急に乗りました。

車内は祖父母が話すのと同じ東北弁が飛び交い、優しい雰囲気です。

当時は小さな子供の独り旅は珍しかったのでしょう。座席に緊張してちょこんと座っている私に、周りのお年寄りやおじさん、おばさんが「どこから来たの? どこまで行くの?」など、心配して色々話しかけてくれたのです。

事情を話すと「小さいのに偉いね」と褒めてくれて、涙を流す方も。

皆さんは「郡山で間違いなく降ろしてあげるから、安心しなさい」と言って、冷凍ミカンやお菓子などを買ってくれました。

中には、自分の孫と同じ歳だからと「これでおもちゃでも買いなさい。おじいちゃん、おばあちゃんを大切にね」とお小遣いをくれるお年寄りまでいました。

後の人生に影響も

東北の方々はなんと優しいのだろう——子供ながらに感動したものです。

その後も、1人で祖父母の元へ行きましたが、毎回の様に特急ひばりでは大人の方々にお世話になりました。

そして大学生になり、就職活動をしている時、祖父母から跡継ぎとして家督継承を依頼されました。そんな時、子供の時にお世話になった特急ひばりの方々の事が脳裏に浮かび、福島で跡取りになろうと決めました。

年月が過ぎ、今は移動手段も東北新幹線になりましたが、上野駅を通る度に幼かった頃の特急ひばりでの出来事を思い出しています。名前も知らない当時の方々に感謝しながら、今度は次世代を担う子供たちにお返しをしたいと考えております。

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