15~19歳でわずか3%しか受けていない教育があった!? 受けたいという声は6割に【ある学校教育の実態】

2022年8月8日(月)11時21分 マイナビ子育て

子どもと若者の性の社会問題に対する解決策の1つとして注目されている包括的性教育。国際的に用いられているものですが、日本ではまだ広まっているとは言えません。当事者である若者は包括的性教育についてどう考えているのでしょうか?

これからの性教育に対する若者の意見とは

学校で受けた性教育は不十分だと思う人が4人に1人、若者の声から見る性教育の実態【前編】では、「ユースから見た日本の性教育の実態調査報告書」(プラン・ユースグループ)をもとに、自らが受けた性教育に対する若者のリアルな声をご紹介しました。

昨今、学校教育における性教育の改革として「包括的性教育」の導入を期待する声が高まっていますが、実際に若者は包括的性教育についてどう思っているのでしょうか?

包括的性教育を知らない若者は74%

「包括的性教育」について知っていますか?

プラン・ユースグループ「ユースから見た日本の性教育の実態調査報告書」より

包括的性教育について「知らない」と回答した割合は74.0%となっており、4人に3人は知らないことがわかりました。

また、実際に「受けたことがある」という割合はわずか3.1%にとどまり、調査実施時点(2021年)で、ほとんどの若者は包括的性教育を受けた経験がなく、そのような機会が非常に少ないこともうかがえます。

————————-※設問では以下のように包括的性教育を定義して回答者に示した。『「包括的性教育」 とは、 性に関することを、 いわゆるセックス (性行為) のことだけではなく、 人間関係など幅広い内容について学ぶ教育です。 包括的性教育の目的は 「周りの人も大切にしつつ、 自分の権利を知ること。 それをもとに、 健康や幸せのための選択を自分で決められるようになること」 です。 自尊心や自信を身につけることにもつながります。 セクシュアリティ、 人権、 お互いが幸せである対人関係、 価値観の尊重、 暴力 (性暴力を含む) の防ぎ方、 LGBTIQ+の人々への偏見や差別をなくすことも教育に含まれます。』

性の多様性を学びたいという声が多数

どんなことを学校で学びたいですか?当てはまるものを全て選んでください。

プラン・ユースグループ「ユースから見た日本の性教育の実態調査報告書」より

学びたい項目としては「ジェンダーの多様性、LGBTIQ+ について」が51.4%と最も高くなりました。これは実際に学んだという人の回答(46%)よりも多い数字です(参照▶学校で受けた性教育は不十分だと思う人が4人に1人、若者の声から見る性教育の実態【前編】)。同様に、「恋人との良い人間関係について」「プライベートゾーンについて」学びたいという人の割合も、実際に学んだという人よりも高くなりました。

他方、「安全な避妊方法について(例:コンドームや緊急避妊薬)」(49.5%)、「性感染症とその予防について」(46.5%)など、これまでの性教育で中心的に取り扱われてきた内容に対するニーズが高いこともわかります。

より包括的な性教育を望む声が6割を超える

「包括的性教育」 と今まであなたが受けてきた「性教育」のどちらを学校教育で受けたいと思いますか?

プラン・ユースグループ「ユースから見た日本の性教育の実態調査報告書」より

包括的性教育と今までの性教育のどちらを学びたいかを聞いた結果は、「包括的性教育を受けたい」と回答した割合は29.3%、「どちらも受けたい」と回答した割合は32.1%でした。これを合わせると約6割にのぼります。

包括的性教育がこれまでの性教育の内容を含んでいるものであり、多くの若者はいままでの性教育の内容がより充実したものになることを望んでいるといえます。

包括的性教育を受けたい理由は?

最後に、「包括的性教育を受けたい」と回答した理由について、実際の声をご紹介します。

●より実用性が高い知識だと思うから(19歳女性・福岡)

●現代を生きる私たちに必要なことだと思うから。(16歳女性・京都)

●生きるうえでより大切なことまで知れそうだから(18歳女性・神奈川)

●ジェンダーや性の多様性を教えてもらいたかったから(18歳女性・鹿児島)

●偏った知識ではなく、多様性を重んじ、自分のことも大切にできる人が増えて欲しいから(18歳女性・愛知)

●学んでも恥ずかしくなさそう(16歳女性・愛知)

●今までの学校で受けてきたものは大事な部分をぼかしていて、 あまり役に立たないと感じるから(17歳女性・千葉)

●今まで受けてきた教育は正直ほとんど役に立っていなかった。受精する過程は学んだがそれ以前(性行為) について触れていなかった。そこをもっとオープンに話し学ぶことができる環境が必要であると思ったから。(19歳女性・茨城)

●性だけを学ぶという印象がそもそも悪い、ただ恥ずかしいとか面白おかしいで終わってしまうから。(19歳男性・岩手)

こうした声を見ると、包括的性教育が今の時代に合ったものとして捉えられ、求められていることがうかがえます。また、これまでの性教育はあまり役に立たなかったという意見も見られました。

女性はより早期の性教育を望む傾向

「包括的性教育」を受けるとしたら、いつごろ受けたいですか?

プラン・ユースグループ「ユースから見た日本の性教育の実態調査報告書」より

性教育を受けたい時期で最も多いのは「中学校から」でした。男女別でみると、女性では「小学校高学年から」が30.7%、「小学校低学年から」が17.5%と男性よりも割合が高く、女性の方が早期からの性教育を求めていることもわかりました。

まとめ

調査が行われた2021年時点で、若者の包括的性教育に対する認知度は低い結果となりました。その一方、包括的性教育の内容を学びたいという声が多いこともわかります。今後、早急に学校教育での導入が進んでいくことが望まれるでしょう。また、家庭でも性をよりポジティブなものとして話せる環境を作っていけるとよいですね。

(マイナビ子育て編集部)

<調査概要>

ユースから見た日本の性教育の実態調査報告書/プラン・ユースグループ調査地域:全国調査対象:15歳〜19歳の男女調査時期:2021年1月14日〜2021年1月15日調査方法:LINEリサーチプラットフォーム利用の調査有効回答数:1,050

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