スラムのレストランでポテトを頼んだらゴキブリが。しかし店員は違う理由で謝ってきた / カンバ通信:第324回

2023年8月31日(木)15時0分 ロケットニュース24

ジャンボ! 今月最後のカンバ通信は、オレのオハコ(十八番)であるポテト通信でシメてみたい。

今回行ってみたのは、キベラスラムにある「オゾン・カフェ(THE OZONE CAFE)」という名のレストラン。

そこはかとなく清潔なイメージのする店名だけど、店内は予想に反してスゴかった。

食器は床に置いてあり、それを店員さんが洗っていた。

店内はファンシーな柄(キティちゃん)の壁紙が貼ってあったが、とても狭かった。

「ポテトひとつ」

そうオレが注文すると、店員さんは「ポテトは作れますが、20分くらいかかります」と。

まあ、いい。ヒマだし──。

そして店内をぐるりと見渡し……ていた、その時!

床に置いてある食器のいくつかに、ゴキブリがいるのを発見してしまった。1皿ではない。「いくつか」だ。

ビビるオレに追い打ちをかけるように、ネズミも出現した。すぐにどこかへ隠れてしまったが……。大丈夫か、この店。

とにかくポテトが出来上がるのをオレは待った。するとスタッフさんが厨房から出てきて、

「ごめんなさい、ごめんなさい」

とオレに謝り始めたではないか。

──どうしたのですとスタッフさんに尋ねると、

「ポテトを料理していたところ、真っ黒になってしまいました。これを食べたら、おそらく体に問題を引き起こす可能性があるので、あなたに売ることができません。ごめんなさい」

──なぜ黒くなってしまったのですか?

「実は調理鍋の食用油が、使用し始めてから4日目のモノなのです。おそらくこの古い油で揚げたから、ポテトも黒くなってしまったのだと思います」

──どうすれば食べられるポテトを作れると思いますか?

「私はこの店に雇われているいち店員にすぎませんが、のちほどオーナーさんに連絡してみます。そして、調理鍋に入っている4日目の油を捨てても良いかと聞いてみます。

また、新しい食用油を買っても良いかとも聞いてみます。新しく綺麗な油で揚げたら、きっと食べられるポテトを作ることができると思います」

──なんて良い子なんだ。なんて正直な子なんだ。感動したオレは、このスタッフさんに、

「あなたはこの店のポテトの真実を正直に話してくれただけでなく、お客さんの体調や生活にまで気にかけていて、とても良い人間だと思いました。どうもありがとう」

そう伝え、店を出た。

ゴキブリはいたし、ネズミも出たし、鍋の油は真っ黒だったけど、お店のスタッフさんの心はキレイだった。

何も食べていないけど、オレはとても気持ちがよかった。ポテトの数だけ出会いがある。クワヘリ。

執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

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