男子高校生の運動部退部は「競技レベルとつながりが強い」

2023年9月13日(水)10時15分 リセマム

早期離脱の状況

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明治安田厚生事業団は2023年9月8日、日本体育大学と共同で実施した青年期の運動・スポーツ活動に関する研究成果を発表した。体重やBMIの値が低い、怪我や障害(スポーツ障害など)の経験がない、競技戦績が低い(ない)、競技継続期間が短いなどの特徴が運動部からの早期離脱と関連することがわかった。

 本研究では、日本国内の私立男子高校に通う1年生全員のうち、運動部への所属者331名を対象に追跡研究を行った。ベースライン調査は2017年5月、追跡調査は2019年10月に実施。本研究では、2年生の終わりまでの退部を早期離脱と定義した。早期離脱の関連要因の候補項目は、先行研究を参考に、生物学的、個人内、個人間、組織的要因を設定し、これらの候補項目と早期離脱の関連性について、単変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した。

 追跡期間に早期離脱した生徒は41名(追跡情報に欠損がなかった者のうち15.0%)で、1年次で19名、2年次で22名が退部している。

 関連要因の分析では、体重やBMIの値が低い、怪我や障害(スポーツ障害など)の経験がない、競技戦績が低い/ない、競技継続期間が短いといった特徴が早期離脱と関連するという結果となった。競技レベルとつながりが強いと考えられる要因が多く挙げられたことが着目すべき点だという。競技レベルが低いことで、活動の継続意欲が揺らぐ経験をしやすいのかもしれない。このことを踏まえると、さまざまな競技レベルの生徒が参加する運動部活動では、部員同士の比較ではなく、部員ひとりひとりの技能の発揮や向上を重視する雰囲気を作っていくことが早期離脱予防の観点から重要と考えられるという。

 筆頭著者によると、本研究の対象校は、スポーツ強豪校であったため、ほかの学校や運動部においても本知見があてはまるかという点について、今後の検討が必要だという。また、現在、地域連携や地域移行をはじめとする運動部活動改革が進められていることにともない、従来の「学校生活を通じて1つの運動部での活動を最後までやり遂げるのが望ましい」というような規範も変化していくことが予想され、退部や引退の捉え方も変わっていく可能性がある、としている。

リセマム

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