200年前の考古学者のメッセージが入ったボトルがフランスの古代遺跡で発見される

2024年9月27日(金)19時0分 カラパイア


image credit:Facebook @Eu [https://www.facebook.com/villedeu/posts/pfbid0j55N3r31asqDoJbUDr534MPav9qng7SmhhqLAmDAXeqV2uLjXck1jiMT7ipkkz17l]


 フランスにある、古代ヨーロッパケルト人(ガリア人)居住地域の発掘作業を行っていた学生グループが、土中に埋められていた壺の中からガラス瓶を発見した。


 瓶の中には非常に保存状態の良いメモが入っていた。このメモを書いたのは、19世紀の考古学者、P.J.フェレ氏だ。


 彼のメッセージは、200年の時を超えた未来の考古学者へ託された、タイムカプセルだったのだ。


遺跡の発掘中にガラス瓶に入ったメモを発見


 2024年9月16日、フランス・ノルマンディーの海岸沿いにあるディエップという町の近くで、学生のボランティアグループが遺跡の発掘を行っていた。


 この日、学生たちは掘り進むうちに、土器の壺に入ったガラスの小瓶と2枚のコインを発見した。


 ここは、ガリア人 [https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%AA%E3%82%A2%E4%BA%BA] (古代ローマ人にガリアと呼ばれたケルト人の一派)が居住していた地域だ。


  今回発掘が行われていた遺跡は、ローマ帝政時代には属州だったとされるエリアにあり、「カエサルのキャンプ」とも呼ばれている。



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200年前の先輩考古学者からのタイムカプセル!


 瓶の中には丸めてヒモで巻かれたメモが入っており、その保存状態は信じられないくらい良好だった。


 メモを開いてみると、そこにはこのように書かれたメッセージが。


ディエップ出身で、さまざまな知的団体に所属するP.J.フェレは、1825年1月にここで発掘調査を行いました。
彼はシテ・ド・リムまたはカン・デ・セザール(カエサルのキャンプ)として知られるこの広大な地域で調査を続けています



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 学生たちのグループを率いていた、地元の考古学サービスの責任者であるギョーム・ブロンデル氏は、このメッセージを見つけた瞬間を「まさに魔法のようだった」と表現している。


過去にこの場所で発掘調査が行われていたことは知っていましたが、200年前のこんなメッセージを見つけるとは、まったくの驚きでした
考古学の現場で、このようなものが見つかるのは非常に珍しいことです。大工が家を建てる時に残したタイムカプセルは時々見かけます


しかし、考古学では珍しいのです
たいていの考古学者は、自分たちがすべての仕事をやり尽くしたのだから、後から誰かがやってくることはないだろうと考えたがるんです



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この遺跡を最初に発掘した考古学者


 P.J.フェレことピエール・ジャック・フェレは、確かにこの遺跡で最初に発掘調査を行った人物であり、地元の名士でもあったらしい。町の公式記録もそれを裏付けているそうだ。


 今回のブロンデル氏たちによる発掘調査は、遺跡の海に面した崖の部分が浸食されたため、緊急で行われたものだった。


 すでに遺跡のかなりの部分が浸食により消失してしまっているが、かつてはこのガリアの村から、直接海へアクセスできるようになっていたらしい。


「シテ・ド・リム」という名称は、既に14世紀には墓石や文書などに登場していたと言うが、現在では「カン・デ・セザール(カエサルのキャンプ)」という呼び方が一般的になっているとのこと。


 下の画像は1879年の遺跡への道を描いた印刷物。現在ではこの崖までが海に浸食されているようだ。



See page for author [https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gravure_alamy.jpg] , Public domain, via Wikimedia Commons


 今回は発掘開始から約1週間で、ガリア時代の遺物(主に2,000年前の陶器の破片)などが発見されたらしい。


 フェレはもうここから出土するものは何もないと思っていたのだろうか。それとも将来の考古学者に、自分の見つけられなかった発見を託そうとしたのだろうか。


 ここがガリア人の村であることはわかっていますが、村の中で何が起こっていたのかは知る由もありません。ここは重要な場所だったのでしょうか


 遺跡はこの2,000年間で、約5ヘクタールが海に侵食されて失われたとされている。一度消えてしまった遺跡は、二度と元には戻らない。


 今回のような自然による浸食も、開発という名の人間による破壊も、二度と取り戻せないという結果に関しては同じである。


 ちなみにこの遺跡からは古代ローマのコインも出土しているようだが、フェレの瓶といっしょに置かれていたコインは、どうやらルイ16世時代のフランス革命期のコインではないかとのこと。今後の詳しい鑑定が待たれている。


 貴重な古代の遺物が失われてしまう前に、少しでも記録にとどめたい。ブロンデル氏と学生たちは、今後も発掘を続ける予定だ。 


カラパイア

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