どうして...? 伝説の香木「蘭奢待」がまさかのクッション化で話題→動機とこだわりを企画者に聞く

2023年11月14日(火)8時0分 Jタウンネット

天下人だけが手にすることが出来る——そんな伝説を持つ木を、この手にできる。

ロマンしか感じないアイテムが爆誕した。

東大寺正倉院(奈良市)に収蔵されている香木「蘭奢待(らんじゃたい)」......を、モチーフにしたクッションである。

足利義政、織田信長といった名だたる権力者たちがその沈香を切り取ったという蘭奢待。長さ156センチ、重さ11.6キロという大きな木。それが、2分の1スケールで、クッションになったのだ。

2023年10月27日、通販会社「フェリシモ」(兵庫県神戸市)が手掛ける公式部活「ミュージアム部」は、公式Xアカウント(@f_museumbu)でこのまさかの商品を紹介。1万3000件以上のいいね(11月9日夕時点)のほか、こんな声が寄せられ、話題になっている。

「めっちゃ欲しいw」 「またフェリシモがおもろいもの作り出したww」 「いや、蘭奢待クッションは渋すぎるだろ。 企画考えたの誰やねん、すげえ発想だな......」 「クッションは思えない再現力に並々ならぬ執念を感じます。すごい」 「香りは...香りはするのか...?」

称賛と驚愕の声の嵐である。

なぜ、伝説の香木はクッションとなったのか。Jタウンネット記者は6日、フェリシモを取材した。

「いつかモチーフにしたい宝物」としての蘭奢待

蘭奢待という木は、中が空洞になっていて、切り取られたあとがたくさん残っている。

いくつかの跡には、明治時代に付けられた「ふせん」が。織田信長、足利義政、明治天皇がそこから切り取った、と示すものだ。

フェリシモ「ミュージアム部」の蘭奢待クッションは、そんなふせんもバッチリ再現。

そんな驚きの蘭奢待クッションは、奈良国立博物館の特別展「第75回正倉院展」(2023年10月28日〜11月13日開催)とのコラボ商品。

6日、Jタウンネット記者の取材に応じた商品の企画担当者は誕生の経緯を次のように説明する。

「『蘭奢待』は、時の天下人たちが切り取った跡が残るなど歴史のロマンを感じることができる正倉院宝物のひとつです。 いつかモチーフにしたい宝物でしたので今回思い切って正倉院展ショップ『天平』さんにご提案をしてみたところ、『思い切った商品だけど面白いからやってみよう』ということになり実現することができました」

「宝物」ならではの苦労とは

そのこだわりのポイントは「二分の一スケールで表現したこと」。

「私たちが正倉院宝物を目にする機会はそう多くありませんので、商品を通じて少しでも正倉院宝物について知ることができればと思い、企画しました」(企画担当者)

これが知らない間に自宅のベッドの上に置いてあったら「どうして巨大な木片が!?」と腰を抜かしてしまいそうなほど。写真だと、本当に中が空洞になっているように見える。

だが、ホンモノの蘭奢待は硬く(たぶん)、蘭奢待クッションは柔らかい。異なる素材での再現には、苦労もあった。

「ふかふかした素材で、蘭奢待の複雑なカーブや枝分かれした形状を可能な限り近づけていく作業はとても大変でした。
また、試作を重ねて形状が決まった後はデザインを描き起こすのにも苦労しました。
現物を見ることができませんので、過去開催の図録や書籍、映像、立体化された模型などあらゆる資料をもとにデザインラフを製作し、各ご関係先に監修をしていただき、やっと完成することができました」

現物を見ることができないというのは宝物ならではの困難だろう。

抱きしめたくなる天下の名香 「蘭奢待クッション」はフェリシモ WEBサイト等で販売中。価格は5170円(税込)。

なお、香りは再現されていない。

Jタウンネット

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