「後ろから突然、肩を鷲づかみにされた私。驚いて振り向くと中国人らしき男が笑顔で私のリュックを持っていて...」（東京都・50代男性）

シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜　投稿者：Sさん（東京都・50代男性）

Sさんが空港のトイレから出ると、後ろから怒鳴るような声が聞こえた。

それはSさんに向けられたものだったらしく、同時に肩も掴まれて......。

＜Sさんの体験談＞

数年前、海外資本の企業に勤務する私は毎月のようにドイツの工場を訪れていました。

経費削減のため直行便には乗れず、トルコとかを経由して16時間くらいかけてミュンヘン空港まで飛び、そして空港からかなり離れた本社工場にレンタカーで向かう、というのがいつものルーティン。当時は大きなトラブルが起きていたため、その対処で疲労困憊状態、頭痛とめまいにも悩まされていました。

ドスの利いた男の声がして...

その日もミュンヘン空港に着いて、トイレの個室で気合を入れてから、レンタカーのカウンターまで歩いて行こうとしました。

トイレを出て多くの人で混雑する空港の通路を50メートルくらい歩き進んだときでしょうか、背後から男性のドスの利いた怒鳴るような声が聞こえたと同時に突然肩を鷲掴みにされました。

驚いて振り返ると短パン、Tシャツ姿の恰幅の良い、中国人らしき中年男性が満面の笑みで立っているのです。

その人はなぜか私のリュックを持っていました。

一瞬何が起きたのか状況が把握できなかったのですが、なんと私はリュックをトイレのハンガーにかけたまま出てきてしまっていて、彼はそれに気づいて追いかけてきてくれたのです。

おバカな私はそのリュックにはパスポート、財布、パソコン、会社の重要書類などすべてを入れていました。そんな大切なものを失くしたらいったい私はどうなっていたことでしょう。

彼には一生懸命に心を込めて感謝の気持ちを伝えたつもりですが、何事もなかったかのように急ぐように雑踏の中に消えていきました。

彼がこのサイトをご覧になっているとはとても思えないのですが、彼の行いを少しでも知ってもらいたく投稿いたしました。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて！

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（※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください）