門松ってなんで飾るの?正しい置き方は? 実は知らないあれこれを「日本正月協会」に聞いてみた
2022年12月30日(金)8時0分 Jタウンネット
年末から年始にかけて家の門などに置かれる、門松。
毎年、お正月の風物詩としてあちこちで見かけるが、そもそも門松がなぜ飾られるのか、そしてどう飾るのが正しいのかと聞かれると、すぐには答えられない人も多いのではないだろうか。かくいう記者もその1人だ。
そこでJタウンネット記者は門松を飾る意味と正しい飾り方を教えてもらうめ、2022年12月21日、日本正月協会<https://www.oshogatsu.org/>を取材した。
取材に応じてくれたのは、代表の今成優太さんだ。
今成さんは日本全国の各地を巡って郷土ごとのお正月の文化を研究・調査しているほか、学校での授業、図書館での講演などを通して情報発信をしているという。
まず、門松を飾ることの意味について聞いてみた。
飾れなくてもOK?
今成さんは、現代において門松を飾る最大の意味は「おめでたさを演出する新年の風物詩」だと考えれば良いと説明する。
また、年神様が年始に山からおりてきて家々を周る時の目印として飾られている、というのもよく聞かれる話だそうだ。
「ただ、時代をさかのぼると、門松なんて飾れないようなひもじい家にも、年神様がやってきたという昔話が残っていますので、『年神様の目印』という話も、どこまで本当かはわかりません」(今成さん)
お正月飾りの大定番ではあるものの、門松を飾らなければご利益にあやかれない、ということはなさそう。感覚としては、クリスマスのイルミネーションに近いのかもしれない。
では、次は門松の正しい飾り方や片付け方について聞いてみよう。
今成さんによれば、統一された「正しい飾り方やマナー」というものはなく、地域によっても多少の違いがある。
「正しさは人それぞれなのです」
例えば、今成さんが参照した愛媛県東温市横川原区の資料には、「三段になった雌雄の松を上等とする」「竹と梅の小枝を添えて松竹梅を作る家もあった」「雄松(黒松)雌松(赤松)を各1本ずつ選び家に持ち帰って門松を立てた」との記述があったという。
また、協会の調査によれば、関東では竹がメインになり松が添え物のように扱われ、中部地方からはそこに梅の木が加わる。また、関西では松がフサフサにあしらわれて竹を取り囲むように飾られる傾向があるとのことだ。
「高知県を筆頭として、紙に印刷された門松を玄関先に貼る地域もありますね。私の実家は群馬県ですが、うちも昔はそうしていました。また、雪国では門松に雪が積もって危ないので、そもそも門松を立てない地域もあります。そのような地域では玄関先に松飾りを吊るしていたりします」(今成さん)
いつ門松を飾るかにも地域差が存在し、一夜立て(正月飾りを大晦日に飾る事)は禁忌とされ、12月30日に立てることを慣例とする所もあれば、12月31日に飾り始めをする場所もある。
門松に、たった一つの正解は無い。「正しさは人それぞれなのです」と今成さんは結論づけた。
片付ける時は「どんど焼き」がおすすめ
一方、日本全国のいたるところで見られる風習もあるという。斜めに切った竹の切り口の下の方が「▽」のような形になっているものは「笑い竹」と言って縁起が良い、というものだ。
「門松に関しては、『地域性』というより『作る人それぞれのこだわり』が表れているように思います。笑い竹を作るには手間がかかりますから、その手間をかけて縁起のよさを演出していることを考えると、頭が下がりますね」(今成さん)
最後は門松の片付け方だが、これも地域や人によってそれぞれやり方や時期が違う。島根県など、地域によっては旧正月(二月のはじめ〜中ごろ)まで飾ることを良しとしている場所もあり、何が正しいかを一概に言うことはできないそうだ。
「ただ、私の個人的なおすすめとしては、やはりどんど焼きで燃やすのが一番です。竹は長く飾り続けると色あせてしまい、新年のおめでたさが抜けてしまいますので、そうなる前に焚き上げるのが気分的にもいいように思います」(今成さん)
とどのつまり、読者の皆さんそれぞれに一番適したやり方で門松を飾り、そして片づけることこそが、真に「正しい」やり方なのかもしれない。