長崎大病院、がん治療を3年半放置…患者に告知もせず
2025年2月20日(木)12時52分 読売新聞
記者会見で医療事故について説明する室田副病院長(左)
長崎大病院(長崎市)は19日、長崎市内の70歳代の男性患者の食道がんを告知せず、約3年半にわたって治療をしないまま放置していたと発表した。病院側は医療事故として男性に謝罪した。がんの進行度は変わっていないとしている。
男性は2021年4月に耳鼻咽喉科を受診し、下咽頭がんと診断。他の臓器にがんがないかを調べるために内視鏡検査を実施したところ、早期の食道がんが見つかった。診療科内で情報共有し、病状が進行していた下咽頭がんの治療の終了後に食道がんの治療をする方針としたが、食道がんを担当する消化器内科への連絡を怠り、男性への告知も行われなかった。担当医らが失念していたという。
男性は入院治療の後、同年9月に退院し、下咽頭がんの経過観察をしていた。24年10月に外来担当医が以前の検査結果を確認したところ、食道がんが見つかっていたことに気付いた。
病院では再発防止策として、検査報告書の重要な所見について管理するため、診療科外の第三者の医療従事者を新たに配置し、見つかった所見が診療につながっているかを確認する態勢をつくる。
室田浩之副病院長は「今回の事案を重く受け止め、安全管理体制の更なる強化に努めたい」と話した。