【医者が教える】「いつも食べ過ぎてしまう人」が気づいていない、身体の仕組みとは?

2024年2月21日(水)6時0分 ダイヤモンドオンライン

【医者が教える】「いつも食べ過ぎてしまう人」が気づいていない、身体の仕組みとは?

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現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。

Photo: Adobe Stock

いくら食べても「餓死する」と身体は予測している

 インスリンはグルコースを細胞に—短期的なエネルギー貯蔵のためにグリコーゲンとして筋細胞肝細胞へ、長期的なエネルギー貯蔵のために脂肪細胞へ—送り込む。

 しかし、継続的な食べすぎ、私の言う「過剰な燃料補給」によって余分なグルコースであふれた細胞は、細胞の鍵を開けるインスリンの機能に抵抗するようになる。

 つまり、細胞に鍵がかかったままとなり、グルコースが入り込めなくなる。

 すると、膵臓にもっとインスリンを分泌するよう促して細胞のドアを開けようとする。

 しばらくはそれでうまくいくが、やがて細胞はさらに頑丈に鍵のかかった状態になる。細胞が過剰な燃料の流入を阻止しようとするのだ。

 細胞はこう叫んでいる。「無理に入れようとしても、そんなに大量の燃料は入らない! 燃料を入れるのはやめて! 燃料を代謝するエネルギーも、もうつくれない。いいかげんに休ませて!」。これがインスリン抵抗性だ。

 なぜ私たちの身体はインスリンに反応しなくなるのだろうか?

 科学者たちはこれを適応反応だと仮定している。

 古代の人飢餓にさらされると、使える糖が脂肪細胞に閉じ込められることなく脳に届くよう、身体を脂肪燃焼モードに切り替え、細胞のインスリン感受性を下げて、食料が少ない状態に素早く適応したとみられる。

 しかし、高炭水化物食品がいつでも大量に手に入ることが大きなストレスになっている現代の環境では、この仕組みがうまく機能しない。

 昔は手に入る食料が少なくて大きなストレスが生じていたが、いまは手に入る食料が多すぎて大きなストレスが生じているのだ!

 現代人はたっぷり食べることができてグルコースも大量に入ってくるのに、ストレスにさらされているせいで、いずれ餓死するかもしれないと身体が予測してしまう。

 できるだけ多くの脂肪を蓄え、脳が必要とする場合に備えて糖を血中に残す。

 昔も今も、ストレスホルモンがインスリン抵抗性を高めるのだ。

 常に食べすぎていると、すぐには使わない燃料の行き場が必要になって脂肪細胞が増加する。

 余分な脂肪とグルコースの最初の貯蔵場所は肝細胞と骨格筋細胞だ。グルコースは、取り出しやすいようにまずはグリコーゲンとして貯蔵される。

 この貯蔵場所がいっぱいになると、次の貯蔵場所は皮下組織(皮膚の下の組織)にある脂肪細胞だ。

 身体は余分なグルコースを取り込み、脂肪酸と結合させてトリグリセリド〔中性脂肪〕分子を形成し、脂肪細胞に蓄える。

(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)

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