「私は女に見られない」と絶望したことも…男性にフラれ続けた“178cmの高身長女性”(35)が、コンプレックスを乗り越えて結婚した経緯
2025年3月8日(土)12時0分 文春オンライン
〈 「好きな男子から『背の高い女子はダメ』と言われ…」高身長が原因で失恋した“178cmの女性”(35)が語る、学生時代の容姿コンプレックス 〉から続く
身長178cmのたけべともこさん(35)は、中学時代から高身長ゆえの悩みがつきまとい、「隠れるようにして生きてきた」と言う。その後、たけべさんは26歳の時に一念発起。クラウドファンディングで自身の身長を公開してお見合い相手を募集し、恋人を見つけたのだ。そして現在はフリー素材のモデルを務めるなど、身長を活かした活動をするようになった。
そんなたけべさんに、“高身長コンプレックス”を持つに至った経緯や、高身長女性ゆえの悩みを聞いた。(全3回の2回目/ 3回目 に続く)

◆◆◆
「背の高い女性がタイプ」と言われるのも苦手だった
——たけべさんは、恋愛において高身長であることがネックになった、ということを明かされています。具体的にはどんなことでしょうか。
たけべともこさん(以降、たけべ) 好きになった男性に、「自分より背の高い人ってダメなんだよね」と言われるのがつらかったんです。相手にとって自分は恋愛対象としてスタートラインにも立てていなかったんだ、と知るのがショックだったんですよね。
逆に、「背の高い女性がタイプ」という方もいますけど、私は“背の高い女性”として見られるのも苦手で。
——身長目当てでアプローチされることに抵抗があった?
たけべ 「話していて楽しいです」とか「おしゃれですね」とかって言われたら嬉しいですけど、身長って自分が努力して手に入れたわけでもなく、変えようのない部分なので、そこを好きって言われても……という思いがありました。
というかそもそも、私自身が自分の身長を秘め事にしている以上、誰かとパートナーシップを築くのが難しい、ということに気付いたんですよね。
178cmの高身長を公表して、クラファンでお見合い相手を募集した理由
——高身長を隠していた?
たけべ 背が高いことは見たらわかるんですけど、私自身が「そこに触れてくれるな」という感じでしたし、身長を訊かれても「170ちょっとで……」みたく、ずっと曖昧にしていたんです。
でも、そんな風に隠していると、お相手の家族とかお友だちの中に、「えっ、めちゃくちゃ彼女、背でかいじゃん」とか、「子どもも大きくなるんじゃない」みたいなデリカシーのないことを言う人が出てきて、結局、お相手とも疎遠になってしまって。
だったらもう最初から、「178cmの私を受け入れられない人は来ないでください」と宣言しておけば傷つかずに済むのではないかと、26歳の時にクラファンでお見合い相手を募集したんです。
——昔から結婚願望はあった?
たけべ 結婚も視野に入れたお見合いではありましたけど、高身長の自分が婚活市場で需要があるかどうかを確認して、自分が女として見られていないなら早いとこ撤退して楽になりたかった、というのが一番でした。だから、結婚願望というのとはちょっと違うかもしれません。
「私なんて女扱いされない」合コンに行っても次につながらず…
——それまで、合コンといった出会いの場にも行かれていた?
たけべ 合コンにも行ってましたけど、次につながることはなくて。
ただ、それは身長以外の、私の性格とか他の要素が問題だったのかもしれないのに、うまくいかない度、「やっぱり男の人は小さくてかわいらしい女の子が好きなんだ」とか、「私なんて女扱いされない」と、どんどん卑屈になっていって。まさに負のループに陥っていたと思います。
——クラファンでお見合い相手を募った結果、11人の方から応募があったそうですね。
たけべ 私も女として見てもらえる世界があるんだと知れたのは良かったですが、一人も来ないかもしれないと思っていた自分としては予想外すぎて、逆にどうすればいいかわからなくなってしまって(笑)。
ただ、クラファンをやったことで、背が高いことをポジティブに捉えられるようになったのは確かで。それまでは男性ウケを狙って無理やりサイズの合わないフェミニンなファッションをしていましたが、それもやめました。
「178cm」という自分の身長がデジタルタトゥーとして残っちゃったし、今さら合コンで「170ちょっと」と言っても嘘になりますよね。だから、思考の切り替えにはなったという意味では、やって良かったなと思いました。
お見合い応募者と交際の末、破局してしまったワケ
——お見合いに応募された方はどんな方々でしたか。
たけべ 背が低いのがコンプレックスだったので、同じように身長で悩んでいる者同士仲良くできそうだからとか、逆に、自分も身長が高いから高身長同士で仲良くできそうみたいな、身長にまつわる部分で応募してくださった方もいれば、あなたの行動自体が面白そうだから話してみたい、と応募してくださった方もいました。
——そのうちのお一人と実際に交際まで発展したそうですが、決め手は?
たけべ 11人の方が応募してくださったので、結果的に私が女王様みたいなことになってしまい、なおかつ、クラファンの返礼品として“公開お見合い”を実施したこともあり、その場がプレゼン大会のようになってしまったんですね。
「僕はマンションも持ってるし、君にこんなに贅沢させてあげられるよ」と、自分の魅力をバーッとアピールするような方が多い中、一人だけ、自分の過去の失敗を話してくださった方がいて。この人とだったら一緒にいるイメージができるなと思って、お付き合いをさせてもらうことにしたんです。
——しかし、そのお相手とも別の道を歩むことになったそうで。
たけべ すごくいい方で、婚約までしたのですが、当時、“クラファン公開お見合い”が話題になったことで、複数のメディアから「結婚する時には密着取材させてください」とか、「結婚式はスポンサー付けさせてください」みたいなお申し出があったくらい注目を浴びてしまって。
そもそも交際中から、お相手の方は「クラファンの彼氏」と言われ続けていたんです。加えて、子どもが生まれたとして、子どもがクラウドファンディングで結婚した家の子どもと言われていじめを受けた時にどう守っていくかなど、将来の課題が山積みになり。
「出会い方は珍しいかもしれないけど、今は普通の男女として向き合っているのに、どこに行っても“プロジェクト扱い”されるのがしんどい」と彼から言われた時、私は何にも返せなかったし、それを乗り越えられなかった、というのが破局の原因です。
パートナーは「まったく容姿に興味のない人」コンプレックスを乗り越えて結婚した経緯
——現在は3年前に結婚した方と生活をされているそうですが、高身長コンプレックスを持たずに済むお相手だった?
たけべ 仕事関係で出会った方なんですけど、まったく容姿に興味のない人で、逆に髪を切っても何も言ってくれないのがさみしいくらいです(笑)。
——身長をポジティブに捉えられることも増えた?
たけべ 彼は私よりも背が低いんですけど、わりと筋肉質なので、洋服のサイズが同じことがよくあって、2人ともユニクロとかで同じTシャツを買っていると、「どっちがどっちのかわからないね」と言って、適当にクローゼットにしまってます(笑)。
ファッションの兼用ができるのは楽しいですし、私の容姿に踏み込んでくるようなことをしない人なので、今はすごく心地良く生活できています。
——さっきお子さんの話がありましたが、高身長がコンプレックスだったゆえに、お子さんを持つのが怖いと思うこともありますか。
たけべ もし娘が生まれて、その子が自分と似たような身長になって同じ苦しみを味わうのかと思うと、やっぱり子どもは産めない、というのが正直なところです。それくらい、自分は思春期の時が辛かったんですよね。
ただ、結果的に私たちは別の理由で子どもは作らないと決めたんですけども。
「その人がコンプレックスだと言えば、それはコンプレックス」
——あらためて、9年前にクラファンでご自身の身長を全世界に公開したことをどのように振り返りますか。
たけべ それまでは「背が高くてカッコいいね」みたいに、高身長をポジティブなことと捉えられやすかったんですけど、「背が高いことが悩みになるとは思わなかった」みたいな声をもらった時に、やって良かったなと思いました。
たとえばきれいなストレートヘアの持ち主がいたとして、私から見たら「きれいでいいな」と思っても、本人にとって直毛が悩みなのであれば、他者がそれを否定するのはすごい失礼なことなんですよね。
自分も忘れて失敗しがちなんですけど、その人がコンプレックスだと言えば、それはコンプレックスだと思うんです。
撮影=細田忠/文藝春秋
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(小泉 なつみ)
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