「禁煙のためなら電子タバコを吸え?」精神科医が教える、禁煙成功のための方法・ベスト1

2024年3月8日(金)6時0分 ダイヤモンドオンライン

「禁煙のためなら電子タバコを吸え?」精神科医が教える、禁煙成功のための方法・ベスト1

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「禁煙のためなら電子タバコを吸おう」そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

Photo: Adobe Stock

心の底からタバコをやめたい

「ダメだとわかっているのにタバコがやめられない……」

 そんな悩みを抱えている人も多い昨今、自分の意志だけではどうしても禁煙に成功できない。そんな方もまだまだ多いのではないでしょうか?

「そんなこと言っても、禁煙なんてできない、禁煙外来で治療をしてみたけど、うまくいったためしがない」

 というように、「心の底から禁煙したいのにできない」と嘆く人も少なくありません。 パッチやガム、トローチなど、伝統的な禁煙方法がありますが、それでもうまくいかない場合、どうすればいいでしょうか?

「電子タバコ」は「タバコ」?

 そんななか、禁煙のため「電子タバコ」が注目されています。

「電子タバコも結局はタバコでしょ?」と思うかもしれませんが、イギリスでは「電子タバコ」が「禁煙補助ツール」の有用性として注目されています

 たとえば、イギリスでは、2016年からVAPEが医療品として認可され、医師の処方箋があればニコチン入りのVAPEリキッドを入手できます。イングランド公衆衛生庁(PHE)では、電子タバコは通常のタバコよりも害が少ないと報告されていて、禁煙治療の補助的な手段として一般的に認知されているのです。(註1)

 また、電子タバコは「禁煙のための補助ツール」としての効果が高いという報告がなされています。 マサチューセッツ大学アマースト校の公衆衛生、および、医療政策研究者が共同主導した最新のコクランレビューによると、ニコチン入り電子タバコは従来のニコチン代替療法(NRT)よりも禁煙を助ける効果が高いことが示されました。(註2)

 電子タバコには嗜好品としてだけではなく、医療のためのツールとしての側面もあるのです。

ただし「リスク」もある

 しかし、これらの報告や研究は、「電子タバコが無害」と示しているのではありません

 吸入しているのはニコチンであり、循環器系の障害や依存性の懸念があります

 また、未成年の使用が問題視されたことから、イギリスでは18歳未満での使用が禁止されています。 さらに、電子タバコには、ホルムアルデヒドなどの有害物質が検出されているという報告もあります。

 タバコに興味がない人は、そもそも使用はしないに越したことはないでしょう。

 それでも、「禁煙のための補助ツール」として考えるなら、電子タバコが喫煙者にとって有用な可能性があります

 電子タバコは新しい方法であり、長期的な影響はまだ不明な部分があるものの、紙タバコに含まれる5,300種類以上の化学物質や70種類以上の発がん物質に比べると、いくらかマシという報告は年々増えています。

 どうしても禁煙ができなくて「すぐにタバコへ手が伸びてしまう人」にとって、電子タバコは、害を「減らす」ための裏技になり得るのです。

(註1)McNeill A, Brose LS, Calder R, Bauld L & Robson D (2018). Evidence review of e-cigarettes and heated tobacco products 2018. A report commissioned by Public Health England. London: Public Health England.

(註2)Lindson N, Butler AR, McRobbie H, Bullen C, Hajek P, Begh R, Theodoulou A, Notley C, Rigotti NA, Turner T, Livingstone-Banks J, Morris T, Hartmann-Boyce J. Electronic cigarettes for smoking cessation. Cochrane Database of Systematic Reviews 2024, Issue 1. Art. No.: CD010216. DOI: 10.1002/14651858.CD010216.pub8. Accessed 04 March 2024.

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)

精神科医いっちー本名:一林大基(いちばやし・たいき)世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10〜20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。

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