エルニーニョ現象 夏まで発生しない可能性高い

2020年3月10日(火)17時32分 tenki.jp

日本の天候に影響を与えるエルニーニョ現象・ラニーニャ現象。2月現在、いずれも発生しておらず、平常の状態となっています。この後も夏にかけて、平常の状態が続く可能性が高くなっています。

2月の実況

気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。
2月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は0.0℃で基準値に近い値となりました。
太平洋赤道域の海面水温は、日付変更線付近を中心に平年より高く、東部で平年並となりました。海洋表層の水温は中部で平年より高くなりました。
太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より活発になりましたが、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年並でした。
このような海洋と大気の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっていることを示しています。

今後の見通し

気象庁によりますと、太平洋赤道域では、海洋表層の水温の平年からの隔たりが小さいため、東部の海面水温は今後しばらく平年並で推移すると考えられます。エルニーニョ予測モデルも、今後夏にかけてエルニーニョ監視海域の海面水温が基準値に近い値で推移すると予測しています。
以上のことから、今後夏にかけてエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が60%と高くなっています。

西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

<西太平洋熱帯域>
2月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値となりました。今後春は基準値より低い値か基準値に近い値で、夏は基準値に近い値か基準値より高い値で推移すると予測されます。
<インド洋熱帯域>
2月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値となりました。今後春は基準値より高い値で、夏は基準値より高い値か基準値に近い値で推移すると予測されています。

エルニーニョ現象・ラニーニャ現象とは?

太平洋の熱帯域では、貿易風と呼ばれる東風が常に吹いていて、海面付近の暖かい海水が西側に吹き寄せられています。一方、東部の南米沖では、海の深いところから冷たい海水が湧き上っているため、太平洋赤道域のの海面水温は西部で高く、東部で低くなっています。海面水温の高い太平洋西部では、大気中に大量の水蒸気が供給され、積乱雲が盛んに発生します。これが、平常時の太平洋赤道域の状態です。

<エルニーニョ現象>
エルニーニョ現象が発生している時は、東風が平常時よりも弱くなり、西部に溜まっていた暖かい海水が東側へ広がるとともに、東部では冷たい水の湧き上りが弱まります。そのため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が高い状態になり、積乱雲が盛んに発生する海域も、平常時より東へ移ります。
エルニーニョ現象が発生すると、日本付近では、夏は気温が低く・日照時間が少なくなる傾向があります。一方、冬は気温が高くなる傾向があります。

<ラニーニャ現象>
ラニーニャ現象が発生している時は、東風が平常時よりも強くなり、西部では吹き寄せられる暖かい海水の層がより厚くなり、インドネシア近海の海上では積乱雲がより盛んに発生します。一方、東部では冷たい水の湧き上がりが平常時より強くなります。そのため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が低くなります。
ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、夏は気温が高くなる傾向があります。一方冬は気温が低くなる傾向があります。

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