約100億円の損失も...「膨らんだモバイルバッテリー」どこに捨てる? 「ごみ清掃芸人」が問題提起

2025年4月17日(木)17時10分 J-CASTニュース

「ごみ清掃芸人」としても活動するお笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんが205年4月15日、「膨らんだモバイルバッテリー」の回収をめぐる自身の取り組みをまとめ、Xで問題提起した。

「清掃車火災だけではなく、自治体の廃棄物処理施設も燃えることが」

滝沢さんは「ごみ清掃員として働いていると電子タバコやモバイルバッテリー、携帯扇風機がよく可燃ごみに混じっているので、身の危険を感じる」とし、実際のエピソードも明かした。

「先輩芸人兼清掃員のタケウチパンダさんは不燃ごみを担当していて、二度、清掃車火災を出している」

「もし火災を起こすと消防署からちゃんと周知しろと怒られるという話を聞く」こともあり、清掃員らの悩みの種となっているそうだ。

また、「リチウムイオン電池は清掃車火災だけではなく、自治体の廃棄物処理施設も燃えることがあり、年間約100億円の損失だと言われている。それらを補填するのは税金になる」とも説明した。

なお、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト))のまとめによると、ごみに混入したリチウムイオン電池の発火などによる被害額は18年度から21年度の4年間で約111億円に達したという。

「良くないことはわかった上で、可燃ごみにわからないように入れる」

リチウムイオン電池は「自治体により回収方法が異なり、場所によっては全く受け付けていない所がある」ことから、困って可燃ごみの中に入れるケース、間違えてプラ資源に入れてしまうケースもあるという。

中でも一番多い相談は「劣化や衝撃で膨らんだモバイルバッテリー」で、「量販店、 回収協会、自治体でも回収できないと明記している」ためどこに捨てていいかわからず、ユーザーらは火事のリスクに怯えつつ自宅で保管するしかないという状況が頻発。

「良くないことはわかった上で、可燃ごみにわからないように入れる」人もいることで、清掃車や処理場の火災の原因となっているという。

中長期的に見れば各自治体での回収体制を整えたり、製造した企業が責任を持って回収する法律を整えたりすることが求められるとしつつ、まずは多くのユーザーが困っているリチウムイオン電池をめぐる対応を進めたいとした。

「まだまだ周知活動をしなければならないな」

現状では、ごみとしてリチウムイオン電池を回収すると法律違反になってしまうが、資源として回収するにも莫大な資金が必要になる。火災のリスクもあることから安全性を高める取り組みができないかと考えていたところ、「水を使わない消火剤の発表」を行っていた名古屋大学の石垣先生と出会い、連絡を取り合うように。

滝沢さんは環境省に赴いて相談をしたり、事業者向けの有識者会議に参加したりと精力的に活動を続け、全国の消防署に回収ボックスを設置するのはどうかと発案。SNS投稿を見た参議院議員の赤松健氏からも「そんないいアイデアはないから実現できるように動いてみる」との声を受けたという。

「膨らんだモバイルバッテリーを回収するだけでも、これだけ色々なところに障害があり、これにかかわる全ての人が力を合わせないと回収できないということがわかる」。

さらに、30代の一般人から「リチウムイオン電池って燃えるんですか? そもそもリチウムイオン電池ってなんですか?」との反応を受け、「まだまだ周知活動をしなければならないな」と痛感したという。

滝沢さんの取り組みには、「役所の指示通りメーカーに問い合わせして処分しようにも、頑張ってもメーカーの問い合わせ口にそもそも辿り着けなかった 」「燃えるリスクのあるもの家にも置いとくの怖いです。また膨らんだら捨てられないとして、どの段階まで使ってていいのかも分からずなのも困ってます 」など、応援の声やリチウムイオン電池をめぐる困りごとが多く寄せられている。

J-CASTニュース

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