「サウナ人口」7年間で1200万人も減っていた 「ととのう」ブームだったはずがオワコンなのか
2025年4月20日(日)12時0分 J-CASTニュース
都市型の大型店の閉店などをもとに、さまざまなメディアが「サウナブームに陰り」「サウナブームの終焉」と報じることが増えてきた。果たして、サウナは「オワコン」となってしまったのだろうか。
コロナ禍には「サウナバス」や「サ旅」が登場
近年のサウナブームは、マンガ原作のドラマ「サ道」(テレビ東京系、2019年放映)や、芸能人やインフルエンサーのサウナ体験が注目されたあたりから始まった。
SNSでもサウナ愛好者=「サウナー」、サウナ・水風呂・外気浴の組み合わせで得られる爽快感=「ととのう」といった言葉が定着。2021年には「ととのう」が、「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた。健康志向の高まりもあり、オジサンの嗜好だと思われてきたサウナの利用者層は、若者にも広まっていった。
各施設では「サ飯」ことサウナ飯の充実や、イベントの開発など、顧客体験の充実化をはかっていった。
コロナ禍においても、時間予約制や個室サウナなど、システム・施設のリニューアルによって対応。大きな打撃を受けた交通機関や旅行会社などでは、バスをサウナに改造した「サウナバス」や、全国各地のサウナ施設を訪ねて回る「サ旅」といった施策を打ち出したことも話題となった。
ブームで興味を持ったライト層の減少
こうしたサウナブームの実態をとらえる、ひとつのデータがある。
2017年より日本におけるサウナ・温冷浴の実態調査を行っている一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所(日本サウナ総研)による、「日本のサウナ実態レポート2025〜サウナブーム、コロナ禍を経た利用実態に迫る〜」だ。
2025年1月、全国1万人を対象にインターネット調査によってとられたデータによれば、そもそも新型コロナウイルス感染症の流行前の2020年度以前から、流行後の2021年度以降で推定1000万人ほど利用者を減らしており、その数値は2024年度にいたるまで戻っていないことがわかる。
サウナ総研はその理由を、先に挙げた時間予約制や個室型サウナなども含めた、コロナによる生活様式の変化が考えられる、としている。
また、「月4回以上」利用するヘビーユーザーを「ヘビーサウナー」、以下「月1回〜3回」の利用者を「ミドルサウナー」、「年1回から2〜3か月に1回」の利用者を「ライトサウナー」と称してその推移を調査。
ミドル以上の一定の愛好者層はコロナ後でも利用頻度は微減となっており、ブームで興味を持ったライト層の減少が多いことがわかっている。
さらに利用頻度が減少した理由も調査されており、ヘビー・ミドル層においては、付帯施設の機能が変わってしまったのが大きな要因で、施設の利用費や混雑度合いといった影響は薄いとされている。
サウナはカルチャーとしての成熟期に入った
この結果を見ると、単にサウナを「オワコン」と言うなら、コロナ禍の時点でそう呼べなくもない。しかし、ブームが報じられて興味を持った流行好きのライトユーザーは、どんなブームでもすぐに離れるものだ。
むしろヘビーユーザー離れが目止まりしていることを考えれば、サウナは「ブーム」ではなく、ひとつのカルチャーとして成熟しつつあると言ってもいいのではないか。
ひとつ、同じように成熟期に入ったといわれるものにアウトドア・キャンプブームがある。最近、そのアウトドアとサウナを掛け合わせた「テントサウナ」が注目されている。
それまでの室内のイメージと違い、薪を使ったサウナで温まったあとは、河川で身体を冷やすという、自然のなかで「ととのう」形式のサウナである。
サウナは「オワコン」ではなく、「新しい時代」に入りつつあるのだ。