常磐線・亀有-綾瀬の高架下800mにこんな街が…美術館のような表情も
2025年4月20日(日)15時47分 読売新聞
国内外から集められた約5000点ものレコードが置かれている店舗には、幅広い世代の人たちが訪れる
JR常磐線の亀有駅と綾瀬駅を結ぶ約800メートルもの高架下に、“街”が形作られつつある。スーパーなどの店舗や保育園、ギャラリー、抜け道、はたまた畑まで。2023年に整備された高架下施設の名称は「ぽちかめ」(葛飾区)。亀有の散歩道になってほしいとの思いが込められている。
先月上旬の雨の日、ぽちかめの高架下駐車場で開かれていたのは、「パンまつり」。付近の13店舗のパン屋などが出店した。高架が雨よけとなり、出来たてパンをその場で味わうことができた来場者らは、笑顔を浮かべていた。
この日、ディスカウントストア脇の畑では、都立農産高校の生徒の手ほどきを受けながら、近隣住民が土いじり。子供たちが、慣れない手つきで、ニンジンの種をまき、ジャガイモの種芋を植え付ける。生徒と住民らで育て、実った野菜でカレーを作る計画だ。
ぽちかめに入居する店舗は少しずつ増えている。昨年11月にオープンしたのは、芸術系図書を取り扱う店舗やギャラリーなどが一体となったスペース「SKAC(スカック)」だ。高架下の特性を生かし、天井を高くした開放的な空間だ。倉庫としての機能を持たせながら、街中の「美術館」のような表情も見せる。運営に携わる城正樹さん(25)は「高架で分断されがちな空間を公園のような憩いの場にできれば」と狙いを話す。
「ぽちかめ」への近隣の期待も大きい。家族で訪れた近所の女性(46)は「みんなでゆっくりした時間を過ごせる場所。これからの変化が楽しみです」と声を弾ませた。(写真と文 野口哲司)