67年前の赤ちゃん取り違え、都が生みの親捜しへ…同時期に生まれた人にDNA鑑定の協力求める

2025年4月25日(金)21時24分 読売新聞

小池百合子都知事

 東京都立墨田産院(閉院)で67年前に起きた赤ちゃんの取り違えを巡る訴訟で、都に生みの親を特定する調査を命じた東京地裁判決を受け、小池百合子都知事は25日の定例記者会見で、控訴せず、調査を始める方針を明らかにした。産院のあった墨田区や法務省と連携し、まずは取り違えが起きた時期に区内で出生した男性を捜す。

 原告の江蔵えぐらさとしさん(67)は1958年4月10日頃、同産院で生まれたが、2004年にDNA鑑定で育ての親と親子関係がないことが判明した。都に生みの親の調査協力を拒否されたため提訴。地裁は今月21日、「出自を知る権利は憲法が保障する法的利益だ」として都に調査を命じた。

 都によると、調査は判決が提示した方法に沿って行う。墨田区が保管する戸籍受付帳から、区内の病院で江蔵さんと同時期に生まれた人の氏名や本籍地を調べる。本籍地の自治体にある戸籍から現住所を特定し、一人ずつDNA鑑定への協力を求める。

 小池知事は会見の冒頭、「江蔵さんに多大なご心痛をおかけした」と謝罪し、「江蔵さんのお母様もご高齢だ。判決を尊重し、調査を実施する」と述べた。一方、「出自を知る権利」を規定する法律が整備されていないとし、「国によって早急に議論を進めるべきだ」と訴えた。

 都の控訴断念を受け、江蔵さんは25日、都内で記者会見を開いた。江蔵さんはインターネット中継で小池知事の会見を視聴したといい、「ほっとした。真実の親とお会いしてお話しすることを一番望んでいる。一日も早く調査していただきたい」と語った。代理人の小川隆太郎弁護士は「まだスタートライン。調査がしっかりと実行されるよう、我々も協力したい」と話した。

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