吉本芸人オンカジ疑獄めぐり「犯人当てクイズ」 警視庁課長vsマスコミで“異例の攻防戦”が…
2025年4月22日(火)18時0分 文春オンライン
「世間をお騒がせしましたこと、関係者、ファンの皆さまにご迷惑・ご心配をお掛けしたこと、お詫び申し上げます」
こうコメントを発表したのは所属芸人のオンラインカジノ問題が発覚した吉本興業。その裏ではある攻防が繰り広げられていた。
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吉本所属の6人の芸人を書類送検
社会部記者の解説。
「警視庁は3日、オンラインカジノで金を賭けていたとして吉本所属の6人の芸人を賭博の疑いで書類送検した。6人は一昨年1月から昨年12月にかけてカジノサイトにアクセス。起訴を求める『厳重処分』の意見が付けられました」
書類送検されたのは、「ダイタク」の吉本大(40)、「9番街レトロ」のなかむら★しゅん(31)、「ダンビラムーチョ」の大原優一(35)、「ネイチャーバーガー」の笹本はやて(33)、「プリズンクイズチャンネル」の竜大(31)と最強の庄田(35)。

「6人は容疑を認め、『グレーだと思った』などと供述した」(同前)
賭け金が多かったのはこの2人
賭け金が高額だったケースもあった。
「吉本大は1年半で約2700万円を賭けて収支はマイナス500万円。昨年のM-1決勝に進出した実力派で、ギャンブル好きの双子芸人として知られており、最近はギャンブル系の仕事も舞い込んでいた」(吉本関係者)
もっとも賭け金が多かったのがなかむらだ。
「結成7年目のコンビ。2020年に新人お笑いコンクールで最優秀新人賞を獲得し、4年連続でM-1準々決勝に進出。なかむらは吉本公式ホームページにも趣味は『ギャンブル全般』と記載。2年半で約5100万円を賭けて収支は1200万円のマイナス」(同前)
髙比良くるまは、誰も手がつけられない状態になっていた
遡れば事の発端は2月5日の吉本からの発表だった。「コンプライアンス違反の疑い」があるとして、複数のタレントの活動自粛を発表。事実関係を調査中として実名は伏せられたが一部メディアで吉本大やなかむらの名前が取り沙汰された。同月14日には毎日新聞が史上初のM-1連覇を達成した「令和ロマン」の髙比良くるま(30)も事情聴取を受けていたと報じた。
「報道翌日、髙比良はYouTubeに謝罪動画を投稿。19年末から20年末までオンラインカジノを利用したと認め、謝罪。活動自粛した。時効だったので今回の書類送検の対象には含まれていません」(同前)
自粛から2カ月、髙比良はどうしているのか。
「相方の松井ケムリはくるまを尊敬している。そんなケムリがコンビを1人で背負って頑張っているが、くるまは自宅に女性を含めた知人を誘い、飲み呆けている。ケムリは何とも思ってないようだが、周囲は『ケムリが可哀想すぎるだろ』と評判は失墜。自暴自棄になり、誰も手がつけられない状態です」(同前)
警視庁による「犯人当てクイズ」が開催されていた
混沌を極める中、警視庁と報道各社との間では攻防戦があったという。
キー局担当記者が話す。
「書類送検の発表も匿名で行われましたが各社実名を抜きたい。担当の保安課長からはイレギュラー対応で送検の前日に『明日、送検する』と電話があった。その1時間後に質問して当ててと言われ、『各社2人まで芸人名を当てていい。送検は何人? と曖昧な質問には答えないけどドンピシャで芸人名を当てたら答える』などの制約のもと質問できました」
まさかの「犯人当てクイズ」が開催されていたのだ。
「2月の時点で髙比良らの実名を報道して“出禁”になっていたテレ朝も解禁されたのか質問できていた。NHKは6人全員の実名を放送していたので課長は『どこから聞いた!?』とキレていました」(同前)
吉本興業は「本件は捜査中の事案であることから、回答は差し控えます」。
記者の命運を“賭けた”戦いだった。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年4月17日号)