客室乗務員ら「休憩なしで勤務」、ジェットスターに禁止と1人11万円の賠償命じる判決…東京地裁
2025年4月22日(火)18時20分 読売新聞
東京地裁
格安航空会社(LCC)「ジェットスター・ジャパン」(千葉県成田市)の客室乗務員ら35人が、労働基準法に定められた休憩時間を与えられていないとして同社を訴えた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。高瀬保守裁判長(木地寿恵裁判長代読)は「休憩が不十分な勤務を命じ、安全配慮義務に違反した」と労基法違反を認定し、同社に対し、休憩なしの勤務命令の禁止と原告1人あたり11万円の賠償を命じた。
判決などによると、同社は2019〜22年、客室乗務員の原告らに対し、国内線や国際線で複数の便に連続して乗務する勤務を指示。原告らは、運航中は乗客へのサービスや客室の巡回などの業務を行ったほか、乗り継ぎ時は、到着後に機中の清掃などを、出発前には客席の準備などを行った。
訴訟で原告側は、運航中は緊張から解放されず、乗り継ぎ時も十分な休憩が取れないとし、労基法が義務付ける休憩時間(勤務6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上)を満たしていないと主張。同社側は、運航中でも乗客へのサービス終了後に休憩に準じる時間を確保しているほか、乗り継ぎ時に十分な休憩を取れているなどと反論した。
判決は、運航中のサービス終了後の時間帯は乗客の要望や急病への対応を求められ、「緊張度が低い時間ではない」として休憩に準じるとは言えないと指摘。乗り継ぎ時に生じる業務外の時間も5〜40分程度の計算となることから、同法の基準を満たさないと述べた。
その上で、同社が19年12月〜22年7月、原告らに対して少なくとも複数回、休憩時間が同法に満たない勤務を命じたと判断。原告らに十分な休憩時間のない労働を強いたとし、精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを命じた。
労基法は、一度に6時間以上かかる長距離を移動する航空機などの乗務員には休憩時間の規定を適用しない例外があるが、判決は、原告らが搭乗した個々の便の運航時間は6時間に達していないなどとして、例外は適用されないと判断した。