鎮火に8日も…“火の不始末”で山火事を招いた消防士は、その数日前にも「チャーシュー事件」を起こしていた《山梨県大月市》

2025年4月24日(木)18時0分 文春オンライン

 2月に山梨県で発生した山火事の原因は、東京消防庁の男性職員による火の不始末と見られている——3月18日に信じがたい不祥事が報じられたが、この男性は、山林火災を招く直前にも別の騒動を起こしていたという。


◆◆◆


地域の集会で両親が謝罪


 この冬、大船渡や岡山、今治(いまばり)など全国各地で相次いだ大規模山林火災。その1つが2月26日に発生し、鎮火まで8日間を要した山梨県大月市の山火事だ。地元記者が解説する。


「親族宅の掃除に来た男性が枯れ草などを燃やしていたところ、山林に燃え移ったと見られています。男性は東京消防庁の職員で、山梨県警が森林法違反の疑いで任意聴取しています」


 焼失面積は東京ドーム23個分に当たる約107ヘクタール。けが人はいなかったが、県内の山林火災では過去20年で最大規模となった。火災現場付近で暮らす住民が明かす。


「住宅地の近くまで火の手が迫り、かなりの恐怖でした。山火事を起こした本人からの謝罪はなく、現場でも姿を見なかった。火が消えた後、地域の集会に両親が謝罪に来ました」


山火事を招く数日前、“事件”を起こしていた


 火の用心を訴える立場のはずが、自らの失火で大惨事を招いてしまった職員は、一体何者なのか。


「福(ふっ)生(さ)消防署に勤務する30代の男性消防士です。働きぶりは真面目ですが、時々言動の軽さが気になる人物。今回の不祥事を機に、消火現場からは外されているようです」(都庁関係者)


 この消防士は山火事を招く数日前、とある“事件”を起こしていたという。


「低温調理器を庁舎で使っていたところ、ブレーカーを落としてしまった。ラーメン用のチャーシューを自ら仕込むつもりだったそうです。わざわざ自宅から料理器具を持ち込み、数時間に渡って煮込むという“本格的”なもの。事件後、『ブレーカーには電気火災を防ぐ役割があり、それが反応するのは火災の恐れがあったという事なので気を付けるように』と厳重注意を受けた」(東京消防庁関係者)


「乾燥注意報」を無視していた


 自身の不注意から火災の予兆を指摘されたにも関わらず、その直後に山火事を招いたのだ。


「当時、県内には継続して乾燥注意報が出されており、消防や警察は火の取り扱いに注意するよう呼び掛けていた。本人は調べに対して『乾燥注意報が出ているのは知っていた』と話したそうですが、あまりにも軽率すぎます」(同前)



東京消防庁(右)の公式HPでは山火事への注意が呼びかけられているが……


消防署内で“口止め工作”


 強風と乾燥を物ともせず、焚火を敢行した消防士。厳しい処分は避けられないが、消防署内では事を荒立てないための工作が行われたという。


「山火事について作成した報告書類には当初“チャーシュー事件”の内容が含まれていたそうですが、幹部らは『それを書いたら不利になるから。彼を助ける方向でいこう』と庇った。その後も『本件は口外しないように』などと“口止め工作”を続けている」(同前)


 当の本人は何を思うか。メールなどで取材を申し入れたが応答はなし。一方、東京消防庁からは次のような趣旨の回答があった。


「職員から(出火原因について)報告があったのは事実。火災原因調査および捜査の結果を踏まえて適切に対処してまいります。(チャーシュー事件は)現在まで確認できていませんが、出火防止を目的とした指導が行われていたことは事実です。口止め工作等の事実はありません」


 本人の代わりに地元住人に謝罪したという父親はこう語る。


「私も本人に会えておらず、新聞に載っていることしか分からないのです。地元には申し訳ないので、少なくとも我々だけでも謝りに行こうと思って……。警察からは捜査に時間がかかると言われていますが、何があったか知りたい気持ちは我々も同じです」


 消防士が自らの口で説明する日は来るのだろうか。


(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年4月17日号)

文春オンライン

「月」をもっと詳しく

「月」のニュース

「月」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ