駅前の一等地にデータセンター計画、「人が入れない施設が建っていいのか」と反対の声相次ぐ

2025年4月26日(土)11時39分 読売新聞

千葉ニュータウン中央駅前のイオンモールの隣にあるDC建設予定地(25日、印西市で)

 データセンター(DC)が集積する千葉県印西市で、商業施設やマンションが並ぶ駅前の一等地にDCを建設する計画が浮上している。隣接するマンション住人や市民から「こんな場所に」と、とまどいや反対の声が上がる。市は、DC先進自治体として立地をサポートしてきたが、藤代健吾市長は自身のX(旧ツイッター)に「この場所にふさわしいのはDCではない」と投稿した。(木村透)

 同市の北総線「千葉ニュータウン中央駅」から徒歩5分、商業施設「イオンモール」隣の駐車場跡地に、3日、DC建設計画の掲示板が設置された。1万60平方メートルの敷地に、高さ52・7メートル、6階建てのDCを建てるとの内容だ。

 事業主は「印西ファイブ特定目的会社」(東京都千代田区)。完成後は、欧州や日本などでDCを建設・運用している「Coltデータセンターサービス」(東京都港区)が同市5か所目のDCとして運用する。

 隣には2022年に建ったマンションがある。住人の30歳代女性は「商業施設の建設かと思ったが、データセンターとは。マンションに日が当たらなくなる」と不安げな表情を浮かべ、「住民はみんな反対」と話した。

 市には電話やメールなどで、騒音、排熱を心配する声や、「駅前に人が入れない施設が建っていいのか」など、50件を超える意見が届いている。

 藤代市長はXに「街の中心に位置し、市全体のまちづくりに極めて重要な場所。こうした地域にふさわしい施設が整備されるべきだ」とし、「事業者にもその旨を伝えた」と投稿した。

 一方、事業の企画を請け負った「トーワ綜合システム」(東京都港区)は「市や市民と話し合いを続け、事業として成功させたい」としている。

 DCはインターネット時代の社会基盤として各地で建設が進む。中でも地盤が固く、水害リスクも低い印西市は、成田空港や首都圏に近いこともあって、国内外から多くのDCが進出している。世界のIT業界では「INZAI」という地名がブランド化しているほどだ。

 市も電力確保のため、変電所の新設や地下送電ケーブル用のトンネル整備などに協力してきた。

 だが、首都圏では周辺住民の反対運動が相次いでいる。

 同市でも住宅街から離れた適地は減り、近年は商業施設の近くにもDCが建ち、住民から反対運動が起きるようになった。県内では隣の白井市で2件、柏市や流山市でも反対運動が起きた。いずれも住宅街の近接地だ。

 藤代市長はDCについて「固定資産税が増えてありがたい存在でもある」とする一方、生活に密接するエリアでの建設には「新たなルール作りが必要だ」との考えを示している。

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