フリーランス法 企業が率先し弱い立場保護を

2025年4月27日(日)5時0分 読売新聞

 企業から仕事を請け負う個人の立場は弱い。公正取引委員会は、フリーランスが不利な扱いを受けないよう、取引の是正に乗り出した。

 企業経営者は、これを機に、取引のルールを順守することを徹底してもらいたい。

 公取委は、フリーランス取引適正化法に基づき、アニメ制作など4業種45社に発注方法の是正を求める行政指導を行った。昨年11月の法施行後、初の指導となる。

 適正化法は、業務を発注する事業者が、フリーランスに対し、書面やメールで仕事の内容や報酬額を明示し、60日以内に報酬を支払うことなどを義務付けている。

 立場の弱いフリーランスは、口約束での発注も多く、足元をみて報酬額を減らされたり、休日返上での納期を求められたりすることがある。適正化法は、その是正を図ることを目的としている。

 今回の行政指導は、フリーランスとの取引を巡る悪弊が、法施行後も改まっていないことを明らかにした形だ。公取委は、一段と監視を強める必要がある。

 公取委はかねて、アニメやゲーム、フィットネスクラブ、整体などリラクゼーションの4業種で、フリーランス側の不満が多いという実態を調査してきた。

 法施行後、この4業種77社に集中調査を行ったところ、6割弱の45社で違反行為が見つかった。

 具体的には、ゲームのイラスト制作を依頼しながら報酬額や受取日を示さないケースがあった。フィットネスクラブなどでも、報酬の具体的な支払期日を設定していなかった事例が見つかった。

 これらは、法律が禁じている典型的な例である。発注側の企業は、指導を重く受け止めて、適正な取引を行うよう、社内体制を整備しなければならない。

 総務省の調査によると、本業がフリーランスという人の総数は209万人に上る。ITエンジニアやアニメーター、ライター、通訳などが代表的な職種である。

 多様な働き方が広がる中で、フリーランスと企業がともに成長する社会を目指すことは、今後、ますます重要になる。

 政府は、日本発のアニメやゲームを海外に輸出して成長産業に育成することを目指している。アニメ制作に携わる人材育成の強化に向け、今年度中に新たな組織を作り、支援するという。

 アニメーターやゲーム制作者にあこがれる若者は多い。フリーランスの労働環境の改善は、こうした業界の発展にもつながろう。

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