墜落の空自T4練習機、高度1400mで異常発生か…搭乗の2人はなお安否わからず
2025年5月15日(木)20時52分 読売新聞
自衛隊員によって回収された破片(15日、愛知県犬山市で)=青木瞭撮影
航空自衛隊の「T4」練習機が愛知県小牧市の小牧基地を離陸した直後に墜落した事故で、空自トップの内倉浩昭・航空幕僚長は15日の定例記者会見で、「高度1400メートルで旋回中、高度を失っていったことを確認した」と明らかにした。事故機は離陸後約1分間でこの高度まで上昇。その後、異常が発生し、数十秒の間に墜落したとみられる。
空自によると、事故機は14日午後3時6分頃に離陸し、約2分後、同基地から北東約13キロの地点にある同県犬山市の
内倉氏によると、事故機の飛行計画では、小牧基地を離陸した後、大きく右旋回しながら高度5000メートルまで上昇し、太平洋に出た後、宮崎に向かう予定だった。離陸から約1分間は安定して飛行し、管制官とのやりとりも正常に行われた。だが、レーダーがとらえた航跡情報を解析したところ、高度約1400メートルで東から南に旋回中、高度が下がり始めていた。
内倉氏は、事故機からの緊急事態を伝える交信や信号は「確認されていない」と述べた。
T4は1988年から運用が始まった機体で、空自は現在、約200機を保有している。もともと高度や速度などの飛行データを記録するフライトデータレコーダー(FDR)を搭載しておらず、空自は順次、装備してきた。だが、事故機を含めてまだ約60機には搭載されていない。航空機事故の原因究明ではFDRの情報が重要で、今回の事故調査は難航する可能性が指摘されている。
事故機が墜落した
現場では自衛隊などがボートで破片の回収を続け、池に隣接する観光施設「博物館明治村」付近では潜水による捜索も行われた。
捜索を見守っていた愛知県春日井市の会社員男性(54)は「子どもの頃からよく釣りをした場所が大変なことになっていると知って、思わず駆けつけた。隊員が早く救助されることを祈っている」と話した。