14の官民ファンドが累積赤字1900億円、投資126件で元本回収できない可能性…会計検査院
2025年5月16日(金)19時48分 読売新聞
政府の財政投融資などを原資とする官民ファンドについて、会計検査院は16日、主要23ファンドのうち2023年度末時点で14ファンドが累積赤字だったとの調査結果を公表した。赤字額の総額は計1900億円に上った。
赤字はコロナ禍の拡大に伴う投資環境の悪化や、海外案件の計画頓挫などが理由だった。黒字だったのは、半導体大手ルネサスエレクトロニクスへの投資で大きな利益を上げた「INCJ」など9ファンドにとどまった。
赤字額が最多だったのは、海外へのインフラ輸出を支援する「海外交通・都市開発事業支援機構」(JOIN)。米国での新幹線建設事業などが計画通り進まず、954億円の赤字となった。日本の食文化などの海外展開を支援する「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン機構)が397億円の赤字で続いた。
JOINは49年度に20億円、クールジャパン機構は33年度に10億円の黒字をそれぞれ目指すとの経営改善計画を策定している。一方、検査院の調査で、政府がJOINについては332億円、クールジャパン機構については150億円の最終黒字を目標としていることがわかり、検査院は、計画通りに収益が改善されても政府の目標に及ばない可能性を指摘した。
調査では、各ファンドの継続中の投資案件についても分析し、計928件(23年度末時点)のうち、126件で元本が回収できない可能性が懸念されるとした。