フジHD ダルトン案蹴った 米ファンド提案12人に対し“独自”11人提案 “決戦”は6・25株主総会
2025年5月17日(土)4時10分 スポーツニッポン
フジテレビ親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)が16日、2025年3月期連結決算を発表し、純損益が201億円の赤字だった。中居正広氏(52)の「性暴力」に端を発するスポンサー離れなどが影響し、1997年の上場以来、初の赤字に転落した。なお、26年3月期は100億円の黒字に転換すると見込んでいる。
この日行われた取締役会では、大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が提案した12人の社外取締役候補案についても決議。金融大手SBIHD北尾吉孝会長兼社長、旧ジャニーズ事務所からタレントを引き継いだ「STARTO ENTERTAINMENT」の福田淳社長らが名を連ねていたが、反対することを決めた。
取締役会後に会見したフジの清水賢治社長は「会社提案の候補者が最適であり、望ましい取締役会の規模を考慮すると取締役の数を増やすのは適切ではない」と理由を説明。公表した資料には「独立性に疑問があり、独立社外取締役としての資格に疑義がある方」などと記した。関係者からは「STARTO社とは普段から取引している。福田氏はこの項目に該当したのだろう」との声が上がった。
会社提案の新たな取締役候補として、前ファミリーマート社長の沢田貴司氏、社内から会計・財務部門出身の柳敦史氏ら4人を充てる人事案も発表。清水氏ら7人も含めた計11人を6月25日の定時株主総会に諮る。
≪“否決”に北尾氏、激怒!?両陣営“株主委任状”集めへ≫
フジHDが提案した取締役候補案には、“物言う株主”ダルトン側の提案した候補12人から一人も入らなかった。6月の株主総会では、取締役選任の決議を巡って出席株主の議決権の過半数が必要となる。双方とも株主の委任状を集める多数派工作、通称「プロキシーファイト」を進めるとみられる。
北尾氏は先月の会見で「敵対するなら徹底的に勝負する」と“ケンカ上等”の姿勢を見せた。関係者によると、フジが自身を含む人事案を否決したことに「かなり怒っているようだ」という。
今後の展開について経済ジャーナリストの松崎隆司氏は「一般的に安定株主は現状維持を選ぶ」と指摘。ただ「フジの問題は世論も影響するだろう。“現経営陣はけしからん”というムードが続けば会社提案が不利」と続けた。「大塚家具のお家騒動の時も個人株主は総会での発言を聞いて決める人も多かった」といい「今回も当日まで結果は分からない」とした。関係者によるとフジ、ダルトン側とも現在までに、個人株主の30〜35%の支持を取り付けたという。対決ムードが強まれば本業立て直しへの悪影響も懸念される。経営は難局が続きそうだ。