フジHD新取締役人事 ダルトン案“拒否”の理由、書面提出や個別面談のお願いも
2025年5月16日(金)17時48分 スポーツニッポン
フジテレビの親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)の定例取締役会が16日、東京・台場の同局で行われ、新取締役候補の4人を発表した。大株主の米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が推薦していた12人は全員入らなかった。
フジHDは「本日、下記の通り役員の陣容が内定しましたのでお知らせします。本件は6月開催予定の第84回定時株主総会および取締役会において正式決定されます」と発表した。
新たに取締役候補として発表されたのは、ファミリーマート元社長の澤田貴司氏や元森ビル取締役専務執行役員CFOの堀内勉氏、フジテレビの柳敦史執行役員、渥美坂井法律事務所・外国法共同事業の花田さおり氏の4人。「ダルトン」はSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長ら12人を株主提案していたが、含まれなかった。
フジHDの公式サイトでは、「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」と題した文書を公開。選任プロセスに則った慎重かつ真摯な検討を行ったとし、株主提案の候補者に「提案株主から提供された資料とは別に、(1)志望の動機、(2)経歴・スキル、(3)推薦を受けられた経緯等の書面での提出をお願い」し、さらに「当社の複数の取締役(社外と社内の両方)による個別面談をお願い」したことを報告。
そして、「まず、提案株主からは、社外取締役12名の選任を求める株主提案の前提として、株主提案書において『4つの課題』が示されています。当社取締役会として、これら『4つの課題』についても真摯に検証いたしましたが、これらの指摘はいずれも、後述のとおり、当社グループによるこれまでのガバナンス改革・改革アクションプランの公表により、既により踏み込んだ対応がなされているか、あるいは事実認識が異なるため、取締役候補者を検討する前提とすることはできないと判断しました」と指摘。「加えて、こうした4つの課題に関わらず、株主提案にかかる取締役候補者についても、真摯に検討いたしましたが、以下の理由から反対することといたしました」とし、3項目に分けて反対する理由を記した。
「会社提案候補に替えて、あるいは加えて、株主提案候補を一括採用できない理由」として、「株主提案候補者は、全員が監査等委員でない取締役候補・社外取締役候補であることから、監査等委員である取締役や業務執行取締役が不在になり、会社法上不適法となるため」「監査等委員でない取締役が12名となった場合、不適法とならないために会社提案の業務執行取締役や監査等委員が就任したとすると、取締役会が肥大化して『コンパクトにする』考え方に反し、当社グループが取り組むべき課題に対し柔軟で迅速な意思決定が難しくなると考えられるため」と説明した。
また、「株主提案候補を一部でも会社提案に取り入れることができない理由」として、「新たな経営指針である『改革アクションプラン』を遂行し、次期『中期グループビジョン』へと進化させていくためには、独立した立場から業務執行に対する客観的な監督を期待でき、当社のスキルマトリックスで必要とされる項目において豊富な経験・知見を有している会社提案の候補者で構成される取締役会がベストであると考えるため」と解説。
最後に「個別候補に係る理由」として、「面談及び質問状への回答を拒絶され、当社の選考プロセスを十分に行えなかった方」「提案株主からの独立性に疑問があり、独立社外取締役としての資格に疑義がある方」「会社提案の取締役候補者と知見・経験等において重複が生じる方」「持株会社の社外取締役としての監督の視点よりも、個別企業の業務執行に関心が高いと思われる方」と記した。