《懲役は…》「娘の人生を奪った男を極刑にしてください」と遺族は主張…浮気グセの直らない元妻(21)を殺害した男(30)のその後
2025年5月18日(日)18時10分 文春オンライン
〈 「子どもを堕ろして彼女を傷つけたくない」と言ってたのに…元夫(30)が妊娠5カ月の元妻(21)を殺害した「悲しすぎる理由」 〉から続く
「娘の人生を奪い、私たちを3週間騙していたことは許せない。極刑にしてください」
浮気性のおさまらない元妻(当時21)を殺害した元夫(30)は、その後どうなったのか? 2007年に起きた事件のその後をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/ 最初から読む )

◆◆◆
元妻を殺害後、男は…
友美さんの家出を装うために部屋から携帯電話、現金、バッグ、靴、母子手帳などを持ち出した。
その上で実姉に友美さんの風俗勤務を、彼女の両親に暴露してくれるように依頼。事情を知らなかった実姉は「友美さんも風俗嬢だったのに、なぜ弟が離婚後の家賃まで支払わされるのか」などと電話した。
その後、絶妙なタイミングで友美さんの携帯を使い、〈風俗で働いていてごめんなさい。もう顔を合わせられない〉などと両親にメール。さらに自分の携帯にも〈両親に言ったんでしょ。死ね!〉などと風俗勤めを暴露したことを激怒するかのようなメールを送り、それを両親に見せることで自分の犯行を隠蔽していた。
井上はリネン袋に詰めた友美さんの遺体を港湾の防波堤に運び、ダンベル2個をくくりつけて海中に投棄した。友美さんの両親とはその後も連絡を取り合い、心当たりのある場所を一緒に探すなど、何食わぬ顔で“遺族”を装っていた。
それから3週間後、袋詰めされた妊婦の遺体が発見されたというニュースを見ると、前妻と子供たちが住む街にレンタカーで逃亡。前妻に犯行を告白し、出頭を勧められた。警察署に向かう途中、知人のヘルス嬢に会い、食事とカラオケに行き、それから警察署に出頭した。友美さんの両親は井上が逮捕されても、「何かの間違いじゃないか」と信じないほどだった。
「被害者に殺意を抱いたことは一言では説明できないが、一生懸命愛情を注いでいるのに、前カレに会ったりして、裏切られた怒り、前カレへの嫉妬、それが怒りや憎しみに変わり、殺意に発展した。
マンションで前カレとの会話を聞いたときは絶対許せなかったし、殺してやると思った。お腹の子のことを考える余裕はまったくなかった。その日の午後に殺害計画を考え、外に持って出そうなものは持ち出そうと考えた。最初は携帯しか思いつかなかったが、家出に見せかけるためにすべてを持ち出そうと思った。財布には5000円札が1枚と1000円札が4枚入っていた。窃盗の意図はなかった。いつまでも自分が持っていてはおかしいので、いずれ捨てるつもりだった」
井上は犯行の経緯を公判でも冗舌にしゃべったが、空気が一変したのは、友美さんの父親が遺族の意見陳述をしたときだった。
裁判で「極刑にしてください」と語った父親
「友美が亡くなって5カ月経ちました。今でもベビー用品売り場でほほ笑んでいる姿が目に浮かびます。井上のことはトラック運転手と聞いていましたが、夜間の運転は危ないので、保険料を支払ってあげました。友美と暮らすための新居のお金も出してあげました。それなのに本人は借金まみれで、税金も滞納している。出産費用を出すなんてとても無理。生活能力もないのに、前カレから奪うために、友美を妊娠させたのです。
友美が前カレと電話やメールをしていたことについては厳しく叱責し、井上にも『君も携帯なんか見るな』と注意しました。それでも前カレの会社に恫喝の電話をかけたり、前カレのトラックのキーを抜いたりするという異常行動に出たので、それをたしなめると『それがどうした? いかんの?』と開き直られた。離婚届については家内に叱ってもらうことを期待して電話をかけてきましたが、逆に『アンタはまたこんなものを書いて…』と説教され、友美にも『カズくんはこういうことをするからイヤになる』と言われていました。
離婚届は私が預かり、市役所に提出することも報告していたのに、なぜ殺害する気持ちになったのかまったく理解できない。死人に口なしで、言いたい放題言っている。まだ遺体が見つかっていなかった頃、『メアドを変えたので登録してください』という連絡があり、井上と連携して友美を探していた。友美の高校時代の彼氏の会社を突き止めたと言うので、私と家内と井上の3人で探しに行ったこともあった。井上の隠蔽工作は巧妙で、すっかり信じ込んでしまった。警察にも『井上が犯人とは思えない』と言ってしまったほどです。
罪を償うということは、刑務所に行くことではありません。人の命を奪った者は死をもって償うということです。友美の人生を奪い、私たちを3週間騙していたことは許せない。極刑にしてください」
懲役は…
井上は顔面蒼白になり、最終意見陳述で「最後に何か述べておきたいことはありますか?」と裁判長に尋ねられたが、絶句して言葉が出てこず、「特にないということでよろしいですか?」と尋ねられると、蚊の鳴くような声で「はい」と答えた。
裁判所は「被告人が憤るのも理解できないことはない。しかし、自由奔放な21歳の女性と結婚したのであり、一方的に好意が満たされないことを逆恨みし、完全犯罪を企図した。人間性に欠けた冷酷無情な犯行で、酌量の余地は乏しい」と断罪し、懲役20年を言い渡した。
もし、コンテナ船が手漕ぎボートを見つけなかったら、今でもリネン袋は海洋を漂流していただろうか。
(諸岡 宏樹)
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