桜の木を守れ!外来カミキリ撃退作戦…市民ハンターにはセレッソ大阪チケット贈呈も
2025年5月18日(日)9時54分 読売新聞
生態などを学ぶ講習が行われた(大阪府堺市南区で)
桜などの樹木を食い荒らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」による被害が大阪府堺市でも広がっている。市有施設・道路の樹木など計約2万本の4分の1にあたる約5000本が被害を受けており、市は今年度から「堺クビアカ防除大作戦」として、予防や早期の対策を徹底。また、市民を「クビアカハンター」に任命し、多くの目で発見・駆除にあたってもらうことで、枯死・伐採にいたる樹木を減らす。(北口節子)
「被害に遭っているかどうかは、樹木のどこを見ればわかる?」「ホームセンターで売っている薬剤で効果があるのか?」
4月下旬、市民約70人が参加し、堺市南区の大蓮公園で講習会が開かれた。府立環境農林水産総合研究所から講師を迎え、生態や好む樹木、退治や予防の方法などを学ぶ内容で、参加した男性(71)は「泉北地区には多くの桜があるが、被害が増えると花見もできなくなる。官民一体で防除作戦を効果的に展開しないといけない」と力を込めた。
クビアカツヤカミキリは中国などに生息していたが、2012年に国内で初めて確認された。桜、桃、梅などバラ科の樹木に卵を産み、幼虫が内部を食べ、数年で枯死させる。
大阪府内では、15年に大阪狭山市で被害が初めて確認され、南河内や泉州地域に拡大。堺市でも16年に美原区で確認されると、21年には市全域に及び、現在も拡大しているという。
市は所有・管理する道路や公園、学校などの樹木を点検し、薬剤散布やネット設置などの対策を進めてきたが、昨年12月末時点で1万9343本のうち4919本が被害に遭い、512本が伐採を余儀なくされたという。
被害を食い止めようと、市は約9000万円の予算を計上。27年度までに、市有施設のすべての対象木を点検し、被害に遭っていない樹木には予防措置をし、被害を受けているものは殺虫剤の注入などを行うこととした。
また、成虫が羽化して活動する6〜8月には、被害拡大を防ぐため市民の手も借りる。市内在住、在勤、在学者らに「クビアカハンター」に登録してもらい、市内各地で成虫を見つけたら殺処分してもらう。
堺市をホームタウンとし、桜をチームのシンボルとするJリーグ・セレッソ大阪の協力も得て、ハンター登録者に選手ステッカー(先着300人)を贈るほか、発見・駆除した人には抽選で観戦チケット(毎月10組)をプレゼントする。
ハンターの登録や発見・駆除の報告は、市が運営するウェブサイト「堺いきもの情報館」で受け付ける。永藤英機・堺市長は「効果を見ながら、さらに対策強化を検討したい」と話している。